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第3章 秋
◆お向かいさんが王家!?うち、農家だよ?
「ここにおったんか」
遠くから、バッカスさんがこちらに駆けてくるのが見えた。
「はぁ、はぁ……あんまり遅いんで、モードのところに迎えに行こうかと思っとったわい」
息を整えながらそう言われて、私はハッとする。
「あっ!そうだ!」
今、最も大事なことがあった。
「バッカスさん!この子の鞘、作ってもらえません?」
自立式とはいえ、ずっと抜き身の剣を連れて歩くのはどう考えても物騒だ。
農場の平和のためにも、まずはそこからだよね。
「鞘ぁ……?」
怪訝な顔をするバッカスさんの前に、ルゥが一歩進み出る。
「バッカス殿とお呼びして差し支えございませんか。ルゥ=グラディアと申します。我が主、ノエル様の御友人であり、さらに私の鞘をお作りくださると伺い、深く感謝しております。以後、お見知りおきを」
刀身が傾ぐ。
多分、一礼のつもり。
「……お前さん、覚醒させたんか?」
バッカスさんが、ルゥを見て、私を見て、またルゥを見る。
私はちょっと胸を張った。
「ふふん。ガチャ丸がダンジョンで隠し部屋見つけて、そこにこの子がいたの!すごいでしょー?」
「ま、そういうことだ。俺たちもびっくりだったよ」
シヴァさんが肩をぽんぽんと叩く。
バッカスさんは深く息を吐き、頭を掻いた。
「ったく、お前さんは…。鞘は作る。作るが……そうじゃなくてな。ほれ、あれが完成したんじゃ」
シヴァさんに目配せをしているバッカスさん。
「あれ?」
私は案内されるまま農場の外へ出た。
そして――固まった。
「……うそ、でしょ?」
道向かいに、見知らぬ建物がそびえ立っていた。
白い石造りの壁。
無駄に優雅な装飾。
馬車が余裕で回り込める噴水付きの円形広場。
その奥に建つ、三階建ての洋館。
左右対称の造り。大きな柱。広い窓。
門扉には、王家の紋章。
どう見ても――
「お貴族様のお屋敷……だよね?」
「研究所じゃ」
バッカスさんが即答した。
「……え?」
間の抜けた声が、自分の口から出る。
「王家主導の国家プロジェクトじゃ」
さらっと言うな。
私はゆっくり首を動かし、もう一度建物を見た。
消えない。幻じゃない。
「ほんとに王家……」
頭が追いつかない。
「……な、なんで?」
私の農場の向かいに?
なんで?
どうして?
いや、ここ王都門の外だし、私の土地じゃないけど、だからってここはおかしくない!?!?
バスクオスカ平原の入り口だよ!?!?
バッカスさんは腕を組んだ。
「この前の薬師ギルドの一件、あったじゃろ」
あった。
忘れるわけがない。
いきなり召喚されて、囲われかけて、わけのわからない理屈で収監寸前。
みんなに助けてもらった。
思い出すと、今でも胃がきゅっとする。
「お前さんは無防備すぎる、という結論になっての」
「え?」
「王、王妃、伯爵、商人、ギルド長、それにわしらが集まって話し合った」
とんでもない単語が、軽い口調で並ぶ。
「ちょっと待って?」
頭が追いつかない(二回目)。
そのとき、門が静かに開いた。
中から現れたのは、仕立ての良いフロックコートに身を包んだ壮年男性。
「お帰りなさいませ、ノエル様」
「えっ」
深々と一礼された。
「当研究所の執事長を任されておりますモーリス・ローデンです。王家直轄第一研究施設、通称“向かいの家”へようこそ」
「向かいの家って言った!?」
シヴァさんが肩を震わせている。絶対笑ってる。
「こちらは、ノエル様が生み出す品々を事前検証し、安全確認を行う一次施設でございます」
「一次って何!?」
「流通前の緩衝材、とお考えください」
緩衝材。
私、爆弾扱い?
「貴族方面はブラッドベリ伯爵閣下が、市井は商人モルトン殿が。治安は冒険者ギルド長アーノルド殿が担われます」
「窓口多すぎない?」
「国家事業ですので」
さらっと言うな。
私はじっと洋館を見上げる。
豪華すぎる。
場違いすぎる。
農場の向かいに建つには主張が強すぎる。
そして――
「……風、止まらない?」
全員が固まった。
「そこ!?」
さっきまで笑っていたシヴァさんが残念なものを見る目をしている。
「だって大事だよ!?この規模の建物できたら風向き変わるよ!?湿気溜まったら病気出るんだよ!?うち、南風が命なんだから!」
執事長の顔色が変わる。
「ご、ご安心ください。夏季南風は従来通り抜けます。むしろ乱流軽減により環境は安定いたします」
私はほっとして自分の畑を振り返る。
ふかふかの土。
黄金芋の葉。
ハーブの香り。
小さなお店。
そしてまた、豪奢な洋館を見る。
バッカスさんが肩を叩いた。
「お主はこれまで通り、作るだけでええ。厄介ごとは全部ここが受け止める」
「厄介って言った」
「褒めとる」
(ほんとに?ほんとに褒めてる?なんか怪しい…)
執事長が静かに言う。
「ノエル様は、これまで通り畑を耕し、料理をし、作りたいものをお作りください。我々が盾になります」
重い。
ものすごく重い。
でも……
「……じゃあ、何か作ったら持ってくればいいの?」
「はい」
「検証してくれるの?」
「はい」
「私のお店は守ってくれる?」
「最優先で」
少し考えて、私は頷いた。
「……なら、まあ、いいか」
シヴァさんが呆れたように笑う。
「お前、もうちょい驚けよ」
「十分驚いたよ!?心臓ばくばくだよ!?」
その時――
「ノエルさーん!!」
ロニーさんの声が飛んできた。
「タリサ様がプリン早く!って怒ってます!」
「もうっ!!」
私は反射的に踵を返した。
国家プロジェクトも、王家直轄研究所も、向かいの家も、今はそれどころじゃない。
「私、帰ってきたばかりなんだけど!?ルゥの紹介もまだ済んでないんだけど!?」
叫びながら、全力で農場へ走る。
だって、今、うちの最重要案件はプリンだ。
◇ ◇ ◇
執事長は遠ざかる背を見送り、静かに呟いた。
「……あの方が、国を揺るがす中心とは」
バッカスがカラカラと笑う。
「そうじゃろ?だから儂が王家と組んで、ここまでやったんじゃ」
円形広場の噴水が、静かに水を弾く。
向かいの家は、威厳を湛えてそこに建っている。
だがその視線の先では、
「待って待って!今つくるからってタリサに言っといてー!!」
国家最高機密級の少女が、農場めがけて走って行く背中。
王家主導の国家プロジェクトは、こうして静かに始動した。
そしてその隣では、いつも通りの日常もまた――続いていくのだった(?)。
——————————————————
≪週2回、土・日更新+不定期≫
いつも読んでくださって、本当にありがとうございます。
「今日も良かったな」「続きが気になるな」と思っていただけたら、
“♡” や “応援” でそっと教えてもらえると、とても嬉しいです。
良い夜を。
また次回お会いしましょう。
遠くから、バッカスさんがこちらに駆けてくるのが見えた。
「はぁ、はぁ……あんまり遅いんで、モードのところに迎えに行こうかと思っとったわい」
息を整えながらそう言われて、私はハッとする。
「あっ!そうだ!」
今、最も大事なことがあった。
「バッカスさん!この子の鞘、作ってもらえません?」
自立式とはいえ、ずっと抜き身の剣を連れて歩くのはどう考えても物騒だ。
農場の平和のためにも、まずはそこからだよね。
「鞘ぁ……?」
怪訝な顔をするバッカスさんの前に、ルゥが一歩進み出る。
「バッカス殿とお呼びして差し支えございませんか。ルゥ=グラディアと申します。我が主、ノエル様の御友人であり、さらに私の鞘をお作りくださると伺い、深く感謝しております。以後、お見知りおきを」
刀身が傾ぐ。
多分、一礼のつもり。
「……お前さん、覚醒させたんか?」
バッカスさんが、ルゥを見て、私を見て、またルゥを見る。
私はちょっと胸を張った。
「ふふん。ガチャ丸がダンジョンで隠し部屋見つけて、そこにこの子がいたの!すごいでしょー?」
「ま、そういうことだ。俺たちもびっくりだったよ」
シヴァさんが肩をぽんぽんと叩く。
バッカスさんは深く息を吐き、頭を掻いた。
「ったく、お前さんは…。鞘は作る。作るが……そうじゃなくてな。ほれ、あれが完成したんじゃ」
シヴァさんに目配せをしているバッカスさん。
「あれ?」
私は案内されるまま農場の外へ出た。
そして――固まった。
「……うそ、でしょ?」
道向かいに、見知らぬ建物がそびえ立っていた。
白い石造りの壁。
無駄に優雅な装飾。
馬車が余裕で回り込める噴水付きの円形広場。
その奥に建つ、三階建ての洋館。
左右対称の造り。大きな柱。広い窓。
門扉には、王家の紋章。
どう見ても――
「お貴族様のお屋敷……だよね?」
「研究所じゃ」
バッカスさんが即答した。
「……え?」
間の抜けた声が、自分の口から出る。
「王家主導の国家プロジェクトじゃ」
さらっと言うな。
私はゆっくり首を動かし、もう一度建物を見た。
消えない。幻じゃない。
「ほんとに王家……」
頭が追いつかない。
「……な、なんで?」
私の農場の向かいに?
なんで?
どうして?
いや、ここ王都門の外だし、私の土地じゃないけど、だからってここはおかしくない!?!?
バスクオスカ平原の入り口だよ!?!?
バッカスさんは腕を組んだ。
「この前の薬師ギルドの一件、あったじゃろ」
あった。
忘れるわけがない。
いきなり召喚されて、囲われかけて、わけのわからない理屈で収監寸前。
みんなに助けてもらった。
思い出すと、今でも胃がきゅっとする。
「お前さんは無防備すぎる、という結論になっての」
「え?」
「王、王妃、伯爵、商人、ギルド長、それにわしらが集まって話し合った」
とんでもない単語が、軽い口調で並ぶ。
「ちょっと待って?」
頭が追いつかない(二回目)。
そのとき、門が静かに開いた。
中から現れたのは、仕立ての良いフロックコートに身を包んだ壮年男性。
「お帰りなさいませ、ノエル様」
「えっ」
深々と一礼された。
「当研究所の執事長を任されておりますモーリス・ローデンです。王家直轄第一研究施設、通称“向かいの家”へようこそ」
「向かいの家って言った!?」
シヴァさんが肩を震わせている。絶対笑ってる。
「こちらは、ノエル様が生み出す品々を事前検証し、安全確認を行う一次施設でございます」
「一次って何!?」
「流通前の緩衝材、とお考えください」
緩衝材。
私、爆弾扱い?
「貴族方面はブラッドベリ伯爵閣下が、市井は商人モルトン殿が。治安は冒険者ギルド長アーノルド殿が担われます」
「窓口多すぎない?」
「国家事業ですので」
さらっと言うな。
私はじっと洋館を見上げる。
豪華すぎる。
場違いすぎる。
農場の向かいに建つには主張が強すぎる。
そして――
「……風、止まらない?」
全員が固まった。
「そこ!?」
さっきまで笑っていたシヴァさんが残念なものを見る目をしている。
「だって大事だよ!?この規模の建物できたら風向き変わるよ!?湿気溜まったら病気出るんだよ!?うち、南風が命なんだから!」
執事長の顔色が変わる。
「ご、ご安心ください。夏季南風は従来通り抜けます。むしろ乱流軽減により環境は安定いたします」
私はほっとして自分の畑を振り返る。
ふかふかの土。
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そしてまた、豪奢な洋館を見る。
バッカスさんが肩を叩いた。
「お主はこれまで通り、作るだけでええ。厄介ごとは全部ここが受け止める」
「厄介って言った」
「褒めとる」
(ほんとに?ほんとに褒めてる?なんか怪しい…)
執事長が静かに言う。
「ノエル様は、これまで通り畑を耕し、料理をし、作りたいものをお作りください。我々が盾になります」
重い。
ものすごく重い。
でも……
「……じゃあ、何か作ったら持ってくればいいの?」
「はい」
「検証してくれるの?」
「はい」
「私のお店は守ってくれる?」
「最優先で」
少し考えて、私は頷いた。
「……なら、まあ、いいか」
シヴァさんが呆れたように笑う。
「お前、もうちょい驚けよ」
「十分驚いたよ!?心臓ばくばくだよ!?」
その時――
「ノエルさーん!!」
ロニーさんの声が飛んできた。
「タリサ様がプリン早く!って怒ってます!」
「もうっ!!」
私は反射的に踵を返した。
国家プロジェクトも、王家直轄研究所も、向かいの家も、今はそれどころじゃない。
「私、帰ってきたばかりなんだけど!?ルゥの紹介もまだ済んでないんだけど!?」
叫びながら、全力で農場へ走る。
だって、今、うちの最重要案件はプリンだ。
◇ ◇ ◇
執事長は遠ざかる背を見送り、静かに呟いた。
「……あの方が、国を揺るがす中心とは」
バッカスがカラカラと笑う。
「そうじゃろ?だから儂が王家と組んで、ここまでやったんじゃ」
円形広場の噴水が、静かに水を弾く。
向かいの家は、威厳を湛えてそこに建っている。
だがその視線の先では、
「待って待って!今つくるからってタリサに言っといてー!!」
国家最高機密級の少女が、農場めがけて走って行く背中。
王家主導の国家プロジェクトは、こうして静かに始動した。
そしてその隣では、いつも通りの日常もまた――続いていくのだった(?)。
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