ざまあするつもりはなかったのだが

白柿

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02. おれの嫁たちに埋もれる美女

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 便所を後にすると、もうすでにかのじょとの待ち合わせの時間まであと30分を切っていた。
 そろそろ自宅を出て待ち合わせ場所である駅前へ向かわなければならない。なるべく早く出なければ、かのじょをこの猛暑の中待たせることになってしまう。
 しかし、それはよく分かっているのに、早く出てなるべく待たせないようにしなければならないのに──動悸と冷や汗と震えが、止まらない。

 このおれが──女性と、デートだと?
 生まれてこのかた20年間、女性とのあれこれを避けてきたわけでもないのに縁遠く生きてきたが、それがいきなり、ギャル(そう自称している)とお付き合いできた上に、かのじょとデートできるなど──舞いあがるように嬉しいのに、おれは──絶望している。
 終わりだ。絶対に今日で──付き合って二日目でフラれて終わりだ。
 何故ならば──哲学的な弁舌を許されるのならば、言おう──三次元の女性は二次元の女性よりも、リアルだからである。
 二次元の女性より、一緒にいて楽しいだの、つまらないだの、違う人がいいだの、アンタキモいだの、デブのオタクは無理ですだの、口臭いだのと、リアルなのである。

 だから──ああ、こういうときは。
 こういうときは、おれの嫁──バニラたんのぬいを吸わないと。
 そうすれば、この意味の分からないドキドキもおさまるに違いない。
 バニラたんが二次元だけの存在だとしても、それでいいのだ。リアルな女性とのデートなど、所詮、おれには無理ゲーである。

 ああ、胸が苦しい。
 臭い口で必死に吸って吐いてを繰りかえしながら階段を駆けあがり、バッと自室の扉を開けた。
 ああ、おれのバニラたんたち、お出迎えありがとう──とほっとするどころではなかった。

 おれは凝視したまま、フリーズすることしかできない。

 情報の処理が追いつかない。
 この状況を、理解できない。
 うまくのみこめない。
 
 何故なら──バニラたんたちに混じって、見知らぬびしょーじょが──ドヤ顔で立っていた。

 とてつもなく、かわいい顔をしているが──ドヤっている。

 状況がのみこめずフリーズしていると、びしょーじょは言った。

「私の鏡割れちゃったから貸して、おにいちゃん」
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