ざまあするつもりはなかったのだが

白柿

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01. 童貞の右手というものは

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 あの男はこう言った。

「ああ、そうだ。ひとつだけ、お前にアドバイスしておこうか。」

 そう言ってにやりと笑いながらこちらへ迫り来たかと思うと、耳元へくちびるを近づけ、吐息まじりにこう囁く。


「魅力的な女性とのデートの前は、用を足しておくことを忘れるなよ?」


 おれの肩をトンと軽く叩くと、背後のおれに片手で別れの挨拶をしながらこの店を去っていく、その後ろすがたと言ったら、もうそれは──ただのオタクである。
 何故なら、ティーシャツのバックプリントがプリキュア。

 そしてまさに今、用足し中のおれであるが──気持ち良くはあるが、同時に自分に呆れ果てる。
 このおれが、童貞の言うことを鵜呑みにしてしまうとはなんと愚かな──いや、厳密に言えばあの男が童貞なのか卒業済みなのか知らないし、知らなくていいが、必然的に童貞なのである。このおれよりあの男が優れているはずがない。
 こんな自分の流されやすさと自分の右手の要領の良さにほとほと呆れてしまうが──しかし、かのじょが今日こそは、あの豊かなるおっぱいをしまってきてくれるのか否かは、計り知ることができないのである。
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