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9.最後の愛の花
花の光を浴びるたび、おぞましく膨れ上がっていた王の醜悪な巨体は、少しずつ小さくなっているように、令嬢には見えていた。
真っ黒い化物の姿をしていた人々もまた、少しずつ人らしい姿を取り戻しているように、令嬢には感じられた。
「……あの花……それに、この星空……」
小さな愛らしい花や美しく暖かい夜空に見覚えのあった令嬢は、しきりに辺りを見回して闇の魔物の姿を探す。
「……ナイト? ナイト? どこにいるの、ナイト?」
令嬢は闇の魔物が心配でならない。
酷い大怪我を負い瀕死の状態だというのに、こんなに力を使ってしまって良いはずがないのだ。
闇の魔物は令嬢のために無理をしているに違いないのだから。
(きっと、ナイトはまたわたしのために無茶をしてる。こんなわたしなんかを助けようとしてくれている)
不安と焦燥感にかられ、令嬢の泣き濡れた目元はさらに熱を帯び、涙がこみ上げてくる。
「もういい、もういいからっ! ナイトお願い、これ以上は無茶しないでっ!」
花の降りしきる星空に向かって、令嬢は擦れた声で懸命に叫んだ。
すると、辺りを覆っていた薄暗い闇の中、どこからもとなく令嬢に囁きかける声が聞こえてくる。
『――リリス――』
周囲の影が一点に集結していき、令嬢の目の前に真っ黒い塊が出現する。
「ナイト!」
ぐにゃぐにゃとした不定形の黒い塊は令嬢の方へと近より、触手のような真っ黒い手を伸ばしていく。
その姿に感極まった令嬢が涙をこぼせば、黒い手が令嬢の頬を優しく撫で、溢れる涙を拭う。
「泣かないで、リリス。大丈夫だから」
「……っ……」
大丈夫なわけがないと、あれだけの傷を負って無事であるはずがないと、無理をしてくれていると思うのに――それでも闇の魔物の生きている姿に、変わらぬ優しい手に、令嬢は途方もなく安堵してしまう。
磔にされた令嬢の拘束を解いて、倒れそうになる令嬢を抱き止めつつ、闇の魔物は言う。
「また、リリスの祝福に救われたんだ」
闇の魔物は身体の中から一房の花を取り出し、令嬢に見せた。
一見すると枯れ果ててしまっているように見える花房。だが、よく見れば一部分だけまだ花が咲き残っている。
見覚えのあるその花は、過去に令嬢が闇の魔物を人と間違え、傷を癒やすために与えた祝福の花だったのだ。
「こんなに枯れているのに、ずっと持ていてくれたの?」
「リリスが祝福してくれた証なんだ。枯れたとしても、何よりも尊い至宝だ」
祝福の花は使用すれば朽ちる。枯れた祝福の花は効力が無くなった塵芥として、すぐに捨てられてしまうのが常だった。
けれど、闇の魔物は令嬢から与えられた花が枯れたさまになっても、大切にずっと持ち続けていたのだ。
そして、わずかに咲き残っていた『祝福の花』の効力によって、瀕死の傷を負っていた闇の魔物は命を取り留めることができたのだった。
闇の魔物が大事そうに花房を身体の中にしまうと、令嬢に優しく語りかける。
「この花で他の魔物達の傷も癒やせる。だから、そんなに悲しまなくていい。この花も、空から降り注ぐ花も、リリスの愛だ。リリスの愛が皆を救うんだから」
「本当? 本当に救えるの? 皆を救えるのなら、わたしはどうなってもかまわない! だからお願い、どうか皆を救って!!」
令嬢が必死に訴えれば、闇の魔物は令嬢の手を引いて立ち上がらせ、諭すように言い聞かせる。
「闇の魔物に皆を救うような力はない。できることは、一時の微睡みと『花降る星空』を見せることくらいだ。人を、皆を救うことができるのは、リリスの『祝福の花』だけだ」
闇の魔物は令嬢の目の前へ、一輪の花の蕾を差しだす。
「ナイト、この花……」
それは、衛兵に闇の魔物もろとも踏み潰されてしまったはずの祝福の花、令嬢が人々の幸せを一心に願い咲かせようとしていた花の蕾だった。
闇の魔物は令嬢の願いがこめられたその蕾を、身を挺して守ったのだ。
約束を違えず、闇の魔物は守り抜いてくれた。そのことが、令嬢は何よりも嬉しいと思った。
そしてまた、祝福の蕾に希望を見いだした令嬢はようやく微笑む。
「ありがとう、守ってくれたのね」
「リリスの祝福が皆を真の幸福に導くんだ。リリスの『願い』は叶うから。さぁ、この花を咲かせよう」
令嬢は力強く頷き、闇の魔物が掲げる花の蕾に向かって祈りはじめる。
(……毒花のせいで怖ろしい化物に変ってしまった人々を元に戻して……貧しくも穏やかだった頃の人々に戻して……魔物達を癒して、共に謝り償おう……そして、もう一度やり直すの。まだ、皆を救うことはできる……人も、魔物も、皆で幸せになるの……)
夢で見た人々のように、皆で助け合い支え合い、慈しみ合って生きていく――希望に満ちた未来を信じ、令嬢は精魂をこめて祈った。
――……ォォ……ォォォォォォォォ――
令嬢の祈りに静かな共鳴が起こる。共鳴は徐々に大きくなっていく。
――ォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォ――
蕾の花弁がほころび、ゆっくりと花開いて、祝福の花は――咲いた。
それは美しい大輪の白百合だった。流れ星のように煌めく、皆を幸せに導く奇跡の花だ。
祝福の花が咲き誇るのを見て、闇の魔物は感嘆の溜息をこぼし呟く。
「咲いた。リリスの愛の花…………ごめん、もう限界みたいだ……」
令嬢に祝福の花を手渡すと、力を使い果たした闇の魔物はふらりとよろめき、空を覆っていた星空が薄れていく。
会場を覆っていた薄暗い闇が消えて、夜が昼の景色へと移り変わり晴天に戻る。
人々は微睡んでいた夢現から目覚め、口々に呟きだす。
「……なんだ、まだ昼じゃなかい。夢でも見ていたのか?」
「あの懐かしく感じる星空は……幻だったのか?」
令嬢が人々を見れば、人らしい姿を取り戻しているように見えた。
振り返る王の姿もまた、純朴な王子だった頃から幾分か年を重ねた姿に見える。
「あぁ、リリス――」
忘れ去られていた令嬢の名を王は呼んだ。それから、王は令嬢の方へと歩み近づいてくる。
令嬢はこれで皆を救えると、皆で幸せになれると微笑み、祝福の大花を王に手渡そうと差し出す。
「リリス!」
「え?」
闇の魔物が叫ぶ声と同時に、何かを切り裂くような音が聞こえた。
真っ黒い化物の姿をしていた人々もまた、少しずつ人らしい姿を取り戻しているように、令嬢には感じられた。
「……あの花……それに、この星空……」
小さな愛らしい花や美しく暖かい夜空に見覚えのあった令嬢は、しきりに辺りを見回して闇の魔物の姿を探す。
「……ナイト? ナイト? どこにいるの、ナイト?」
令嬢は闇の魔物が心配でならない。
酷い大怪我を負い瀕死の状態だというのに、こんなに力を使ってしまって良いはずがないのだ。
闇の魔物は令嬢のために無理をしているに違いないのだから。
(きっと、ナイトはまたわたしのために無茶をしてる。こんなわたしなんかを助けようとしてくれている)
不安と焦燥感にかられ、令嬢の泣き濡れた目元はさらに熱を帯び、涙がこみ上げてくる。
「もういい、もういいからっ! ナイトお願い、これ以上は無茶しないでっ!」
花の降りしきる星空に向かって、令嬢は擦れた声で懸命に叫んだ。
すると、辺りを覆っていた薄暗い闇の中、どこからもとなく令嬢に囁きかける声が聞こえてくる。
『――リリス――』
周囲の影が一点に集結していき、令嬢の目の前に真っ黒い塊が出現する。
「ナイト!」
ぐにゃぐにゃとした不定形の黒い塊は令嬢の方へと近より、触手のような真っ黒い手を伸ばしていく。
その姿に感極まった令嬢が涙をこぼせば、黒い手が令嬢の頬を優しく撫で、溢れる涙を拭う。
「泣かないで、リリス。大丈夫だから」
「……っ……」
大丈夫なわけがないと、あれだけの傷を負って無事であるはずがないと、無理をしてくれていると思うのに――それでも闇の魔物の生きている姿に、変わらぬ優しい手に、令嬢は途方もなく安堵してしまう。
磔にされた令嬢の拘束を解いて、倒れそうになる令嬢を抱き止めつつ、闇の魔物は言う。
「また、リリスの祝福に救われたんだ」
闇の魔物は身体の中から一房の花を取り出し、令嬢に見せた。
一見すると枯れ果ててしまっているように見える花房。だが、よく見れば一部分だけまだ花が咲き残っている。
見覚えのあるその花は、過去に令嬢が闇の魔物を人と間違え、傷を癒やすために与えた祝福の花だったのだ。
「こんなに枯れているのに、ずっと持ていてくれたの?」
「リリスが祝福してくれた証なんだ。枯れたとしても、何よりも尊い至宝だ」
祝福の花は使用すれば朽ちる。枯れた祝福の花は効力が無くなった塵芥として、すぐに捨てられてしまうのが常だった。
けれど、闇の魔物は令嬢から与えられた花が枯れたさまになっても、大切にずっと持ち続けていたのだ。
そして、わずかに咲き残っていた『祝福の花』の効力によって、瀕死の傷を負っていた闇の魔物は命を取り留めることができたのだった。
闇の魔物が大事そうに花房を身体の中にしまうと、令嬢に優しく語りかける。
「この花で他の魔物達の傷も癒やせる。だから、そんなに悲しまなくていい。この花も、空から降り注ぐ花も、リリスの愛だ。リリスの愛が皆を救うんだから」
「本当? 本当に救えるの? 皆を救えるのなら、わたしはどうなってもかまわない! だからお願い、どうか皆を救って!!」
令嬢が必死に訴えれば、闇の魔物は令嬢の手を引いて立ち上がらせ、諭すように言い聞かせる。
「闇の魔物に皆を救うような力はない。できることは、一時の微睡みと『花降る星空』を見せることくらいだ。人を、皆を救うことができるのは、リリスの『祝福の花』だけだ」
闇の魔物は令嬢の目の前へ、一輪の花の蕾を差しだす。
「ナイト、この花……」
それは、衛兵に闇の魔物もろとも踏み潰されてしまったはずの祝福の花、令嬢が人々の幸せを一心に願い咲かせようとしていた花の蕾だった。
闇の魔物は令嬢の願いがこめられたその蕾を、身を挺して守ったのだ。
約束を違えず、闇の魔物は守り抜いてくれた。そのことが、令嬢は何よりも嬉しいと思った。
そしてまた、祝福の蕾に希望を見いだした令嬢はようやく微笑む。
「ありがとう、守ってくれたのね」
「リリスの祝福が皆を真の幸福に導くんだ。リリスの『願い』は叶うから。さぁ、この花を咲かせよう」
令嬢は力強く頷き、闇の魔物が掲げる花の蕾に向かって祈りはじめる。
(……毒花のせいで怖ろしい化物に変ってしまった人々を元に戻して……貧しくも穏やかだった頃の人々に戻して……魔物達を癒して、共に謝り償おう……そして、もう一度やり直すの。まだ、皆を救うことはできる……人も、魔物も、皆で幸せになるの……)
夢で見た人々のように、皆で助け合い支え合い、慈しみ合って生きていく――希望に満ちた未来を信じ、令嬢は精魂をこめて祈った。
――……ォォ……ォォォォォォォォ――
令嬢の祈りに静かな共鳴が起こる。共鳴は徐々に大きくなっていく。
――ォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォ――
蕾の花弁がほころび、ゆっくりと花開いて、祝福の花は――咲いた。
それは美しい大輪の白百合だった。流れ星のように煌めく、皆を幸せに導く奇跡の花だ。
祝福の花が咲き誇るのを見て、闇の魔物は感嘆の溜息をこぼし呟く。
「咲いた。リリスの愛の花…………ごめん、もう限界みたいだ……」
令嬢に祝福の花を手渡すと、力を使い果たした闇の魔物はふらりとよろめき、空を覆っていた星空が薄れていく。
会場を覆っていた薄暗い闇が消えて、夜が昼の景色へと移り変わり晴天に戻る。
人々は微睡んでいた夢現から目覚め、口々に呟きだす。
「……なんだ、まだ昼じゃなかい。夢でも見ていたのか?」
「あの懐かしく感じる星空は……幻だったのか?」
令嬢が人々を見れば、人らしい姿を取り戻しているように見えた。
振り返る王の姿もまた、純朴な王子だった頃から幾分か年を重ねた姿に見える。
「あぁ、リリス――」
忘れ去られていた令嬢の名を王は呼んだ。それから、王は令嬢の方へと歩み近づいてくる。
令嬢はこれで皆を救えると、皆で幸せになれると微笑み、祝福の大花を王に手渡そうと差し出す。
「リリス!」
「え?」
闇の魔物が叫ぶ声と同時に、何かを切り裂くような音が聞こえた。
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