【完結】どうも、使い魔の人間です。~魔族しかいない世界でモフモフ魔族に溺愛されてます~

胡蝶乃夢

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31.使い魔との新しい関係 ※R18エロ

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 ノヴァを心配して、混ざり者達がすぐさま駆けつけてくる。

「大丈夫か、ノヴァ! しっかりするんだ!」
「あらあら、大変。魔力切れかしらね?」
「ノヴァ、ぎゅうしてあげるー」

 混ざり者達がノヴァに触れようと手を伸ばした。すると――

 バチバチッ! バチッ! バチーンッ!

 ――鋭い破裂音と黒い火花が散り、混ざり者達は吹き飛ばされてしまった。

「うわぁーん!」
「あらあら、大変。弾き飛ばされちゃったわ」
「なんと! これは魔力過剰の拒絶反応か!?」

 混ざり者達は何故か弾かれて、ノヴァに近づくことができないようなのだ。

「これはいったい、何がどうなってるの?」

 ノヴァを抱きとめたまま、僕が困惑していると、イブが見かねて説明してくれる。

「あれだけの膨大な魔力を無理やり体内に抑え込んだのですから、魔力過剰反応で他の魔力を弾くのは当然でしょう。余剰分の魔力を発散しないかぎり、魔力を持つ者は触れることすらできませんよ」
「えっ、そうなの?!」

 びっくりしながらノヴァを窺えば、朦朧とした様子で眉を寄せ、苦しそうに呻いている。

「うぅ……うっ、ぐ……」
「こんなに辛そうなのに、なんとかできないの?」

 僕がイブを見上げて訊けば、やれやれといった感じで教えてくれる。

「使い魔のあなたなら触れても問題はありません。早々に発散させてあげるのがよろしいでしょうね……早く手を打たないと、体内の魔力が暴走して、精神にまで影響が及びかねませんから」

 イブの声音が僅かに暗くなる。

「あれだけの膨大な魔力です……最悪の場合、魔力暴走による自我崩壊の危険性も……」
「そ、そんな! じゃあ、早くどうにかしないと!!」

 僕は必死に解決策を考える。

(魔力を発散させる方法か……接触や吸血でエナジー・ドレインする方法しか知らないや。えっと、大きな魔法を使った戦闘とか? いやいや、意識がはっきりしてないこの状態じゃ危険すぎる。ブラック・ホールを無理やり抑え込んだのだから……)

 考えあぐねて、そろりとイブを窺いながら訊いてみる。

「発散ってどうしたらいいの? ブラック・ホールを出して、どこかにぶつけるわけにもいかないよね?」

 具体的にどうすればいいのかわからなくて、僕は音を上げる。

「あら、あなた達はどこまで…………いえ、無粋ですね」

 イブは言い淀み、少し考えてから僕を手招きする。

「マナト、耳をお貸しなさい」
「なに?」

 なんだろうと思いつつ、耳をイブの方に傾ける。
 ごにょごにょごにょと耳元で囁かれる内容は、僕の想像しえない発散方法だった。

「ふぇっ!!?」

 僕が赤面してあわあわと狼狽えていると、イブは追い打ちをかけるように言う。

「大切な半身なのでしょう? ならば、使い魔であるあなたが、なんとかしなければなりませんね」

 そんなことを言って、イブは悪戯っぽく微笑んだのだった。


 ◆


 スラムの新築した部屋へとなんとか連れ帰り、僕はノヴァをベッドへと横たえさせる。
 苦しげに眉を寄せて息を吐くノヴァは、熱っぽく全身を火照らせ、ひどくぐったりとしていた。

「体が熱いね……今、水持ってくるから待ってて」
「いい、行くな。くっついている方が楽になるから、このまま…………離れたくない」

 いつもは凛々しいノヴァが、気弱になり僕を頼る姿を見ると、何がなんでも守ってあげなきゃいけないと強く思う。

「辛いよね、ノヴァ……今、楽にしてあげるから」
「……マナト?」

 ノヴァの露出している首元に手を当てれば、すごく熱くなっているのがわかる。

「はぁ……はぁ……う……っ……」

 体内の魔力を持て余し、熱っぽい息を吐き続けるノヴァ。
 なんとも艶めかしい姿に、これからのことを考えると、僕はドキドキしてしまう。
 ノヴァの素肌に直接手を這わせ、接触面を増やしてみるけど、それじゃあまだまだ足りない。

 僕はノヴァの衣服の前を開いてはだけさせ、僕も同様に上着を脱いで服の前を開いていく。

「はぁ……はぁ……何、してるんだ?」
「魔力の発散方法、イブに教えてもらったから……ノヴァはそのままでいいよ」

 仰向けに寝そべるノヴァの上に乗って、肌と肌が触れ合うように抱きしめる。

「マナトっ……なんで……やめ、ろ……って……」

 困惑するノヴァが焦った顔をして僕の肩を掴み、離そうとするが、力が弱すぎて引き離せない。

「精気を魔力に変換できるのと同じく、魔力も精気に変換できるって教えてもらったんだ。それから、精気は性行為で大量に放出するから、膨大な魔力も発散できるだろうって……今は使い魔の僕しかノヴァには触れられないし……だから、僕で我慢して」

 ノヴァは荒い息を吐きつつ、力の入らない体で僕を止めようともがく。

「はぁ……そんな……ダメ、だ…………」
「このままノヴァが辛そうにしてるのも、魔力暴走して自我崩壊なんてことも、絶対に嫌だよ……お願い、ノヴァ。僕として」

 涙を浮かべて必死に頼み込めば、ノヴァは息を呑む。

「っ……マナト」
「ノヴァ……」

 ノヴァを見つめ、緊張に少し震えながら、僕は薄く開いた口を近づけていく。
 唇が触れ合いそうになる、その瞬間――

「――おい、やめろって言ってるだろうが!」
「むがっ?!」

 怒ったノヴァに僕の顔面は鷲掴みにされ、制止させられてしまった。
 極めて不服そうな表情で、わなわなと震えながらノヴァが喚く。

「そういうことは、本当に愛し合う者同士ですることだ!!」

 真剣な顔のノヴァに両手で顔を挟まれ、僕はお説教されてしまう。

「使い魔だからって、無理にそんなことさせられない。本当に好きな相手とするべきだ。仕方ないという理由で、お前とそんな関係を結ぶのは嫌だ!!」

 フーフー威嚇する猫みたいに怒っているノヴァ。
 愛し愛されたいのだと訴えるその姿が、どうしようもなく愛おしい。
 僕は魔力暴走の危機を恐れるあまり、ノヴァの気持ちを置いてけぼりにしていたなと、猛反省する。

「たしかに、それもそうだね」
「ふぅ……」

 これで僕の暴走が収まると思ったのか、ノヴァはホッとした様子で息を吐く。
 僕は一度体を離してノヴァの前に正座し、気を取り直してノヴァの気持ちの確認をする。

「それじゃあ、改めて言うね。僕はノヴァが好きだよ。ノヴァの使い魔で、相棒で、恋人になりたい。他の誰かがノヴァの相手するなんて嫌だよ。誰よりもノヴァと深い関係になりたいと思ってる。ノヴァはどうかな? 僕のこと、そんな風に見れない?」

 ノヴァは起き上がり、突然の僕の告白を聞いて呆気に取られる。

「は…………本気で言っているのか?」
「もちろん」

 迷いなく真剣な顔で頷いて見せると、ノヴァは戸惑いつつも、答えようとしてくれる。

「お、俺は……俺もお前が……」

 目を泳がせ少し考え込んでから、意を決した表情で僕を見つめ、ノヴァは言う。

「マナトが好きだ。誰にも渡したくない。俺だけのマナトでいて欲しい」

 真っ直ぐに僕を見つめる真紅の瞳には、頬を染めて目を煌めかせる僕の姿が映っていた。
 胸がギュッとして、心がじんと熱くなり、幸せな気持ちで満たされていく。

「僕達、両思いだね」

 なんだか、気恥ずかしくて、えへへとはにかんでしまう。
 ノヴァもそんな僕に釣られてはにかむ。それから、少し心配そうに言う。

「ただ、こういったことは不慣れで……経験がないから、どうすればいいのかよくわからないんだ」
「えぇ! ノヴァ、カワイイ♡ 全部、お兄さんの僕に任せて♡ ……と言いたいところなんだけど、僕も初めてなんだよね。でも、愛があればなんとかなるから、大丈夫大丈夫」
「なんだそれ…………ふ」

 呆れた顔をしたノヴァは、次いで小さく笑った。
 緊張が解れた様子で両手を伸ばし、僕を抱きしめる。

「マナトが苦しくなるようにはしたくない……魔力が暴走しないよう、ゆっくりしよう」
「うん、ゆっくり少しずつね」

 僕もぎゅっと抱きしめ返し、ノヴァの顔中に啄むようなキスの雨を降らせる。
 ノヴァはくすぐったそうに笑って、お返しだと言わんばかりにバードキスし、キスの合間に甘く囁く。

「ふふ……マナト、好きだ……好き……好き……好き……」
「うん。僕も好きだよ。ノヴァ、大好き……好きだよ……好き……」

 じっと見つめ合い、互いの唇がようやく触れ合う。刹那――

「っ!」

 ――魔力が一気に溢れてくるような、全身を痺れるような快感が駆け抜けた。
 僕はこの感覚を知っている。吸血された時に感じた、酩酊しておかしくなってしまいそうな、どうしようもなく甘い快楽。
 これが、魔力を精気として発散している感覚なんだろうか、気を抜いたらどこまでも溺れてしまいそうだ。

「……んっ……ふぅ……ん、ちゅっ……ちゅう……」

 柔らかく触れ合う唇から伝わる温もりが、抑えきれない甘い衝動に変わっていく。
 軽く触れるだけだったキスは、お互いの気持ちを確かめるように、少しずつ深く深く、甘く痺れる舌を絡め合うようなものに変わっていった。

「……はぁ、ん……ちゅ、ちゅっ……あ、は……ちゅぷ……」

 いつしか、僕の下腹部にノヴァの熱くそそり立った硬いものが押し当たり、そこから張り詰めた欲望が伝わってくる。
 僕はそれに応えるように、服の上からそっと指を滑らせ、硬いものを優しく撫であげた。

「は、あっ……ふぅ……ん……」

 ノヴァは息を詰め、上気した顔で眉を寄せ、艶めかしい流し目を送ってくる。
 その表情に、抑えられないほどの愛欲を感じ、僕の心臓はさらに高鳴っていく。

 唇を離せば銀糸が引き、どちらのものともわからない唾を飲み込んで、僕はノヴァを見つめ尋ねる。

「気持ち、いい?」
「ああ……気持ちいい」

 吐息混じりの掠れた返事が、僕の胸を甘く痺れさせる。
 切なげな瞳で見つめてくるノヴァが、たまらなく愛おしい。

「じゃあ、もっと気持ち良くしてあげるね……」
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