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本編
41.ドレス・アップ・ダウン
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僕は極めて難しい顔をして、一人呟く。
「……解せぬ……」
何をどう頑張ってみても、キラキラしたスイーツが我慢できない。
僕はキラキラを見ただけで、甘い香りを嗅いだだけで、我を忘れて無我夢中で食べてしまい、我に返れば完食してしまった後なのだから。
(味は美味しいけど、気持ち的には全然美味しくない。僕は幸せを手に入れて、最高に美味しいスイーツを食べたいんだから……)
きっと、あの無駄にキラキラと光り輝く美味しすぎる砂糖菓子がいけない。
城内のいたる所に何故かキラキラした砂糖菓子が配置されている。
こんな環境下では際限なく食べてしまって、痩せる事なんてまず不可能だ。
あれやこれやと思考を巡らせて、僕は一つの結論に辿り着いた。
「よし、城から出よう!」
キラキラの砂糖菓子さえ無ければ、無意識に食べてしまう事も無いのだから。
(それに、栄養が偏ってたり足りていないと空腹感が満たされず過食になりやすいと聞いた事があるし、砂糖菓子だらけの食生活なんて絶対身体に良くない。栄養満点でヘルシーな菓子を自分で作ろう。前世はスイーツ作りが趣味だったし、材料さえあれば何かしら作れるからね)
「うん、そうしよう!!」
幸か不幸か、この城内に僕を見張っている者はいない。
僕には護衛も側近も近侍もいない、専属の従者もいないのだ。
身の回りの世話は王宮務めの従者達が交代で離宮に来て、最低限しているだけ――という事は、僕は城下町へも出放題なのだ。
城下町へ何を持って行こうかと、辺りをキョロキョロと見回して物色してみる。
ふと、鏡に映る自分の着ていた派手な衣装が気になった。
「この格好は派手過ぎるかな、もっと落ち着いた服装に着替えた方が良いよね。どうしようかな……」
僕は衣装部屋に入り、できるだけ落ち着いた色合いのドレスを探して引っ張り出してみる。
「……こっちはギラギラでダメ……あっちはスケスケでエッチ……これと、それがいいかな……」
衣装部屋にある衣装は、ほぼ妾妃のドレスだ。
本来、離宮も含め離宮にある全ての物は、国王が妾妃へと与えた贈物だった。
僕が生まれてから僕用に新調された物は特に無くて、今身に着けている衣服も妾妃のドレスを衣装係のお針子が無理矢理作り直した物なのだ。
なので、テラテラしていたり、フリフリしていたりと、生地が女性的というか、少々派手派手しかったりする。
「……あ、裁縫道具があった。丁度良かった……」
僕は厳選したドレスにチョキチョキとハサミを入れてパーツを切り出し、チクチクと縫い合わせていく。
前世ではスイーツ作りと同じく、手先が器用なので細かい作業も得意だった。
なので、ダンス用の衣装とかハロウィンのコスプレ衣装とかも自分で作っていた。
白豚王子の身体でも器用な手先は変わらないようで、難なく作業できる。
「ふんふん♪ ふふん♪ ふんふん♪ ふふん♪ ……よし、できた!」
僕は出来上がった衣服に早速着替えてみる。
クリーム色のシャツに、ボルドー系のハーフパンツ、サスペンダーを付けて、ブラウン系のローブを羽織り、ポーチをベルトに掛け、衣装リメイク完成。
「うんうん、良い感じ♪ なかなかの出来栄えじゃないかな♪」
鏡の前でくるくる回って、自分の装いを確認して見て、僕は自画自賛する。
大分、地味になったので、どっかの裕福な家の太り過ぎちゃった子供とかに見えなくもない。
ただ、一つ問題があるとすれば、僕はお金を持っていない事だ。
仕方ないので、換金できそうな小さめの装飾品をいくつかポーチに詰め込んだ。
「……さて、出発し――」
「第一王子、ご夕食をお持ちしました」
「――わ、わ、わっ! ちょっと待ってっ!! 待っててっ!!!」
給仕係の声に驚いて、僕はわたわたと慌てて着替え、作った衣装を隠した。
窓の外を見れば、衣装作りに没頭していたせいで、日はすっかり傾いていた。
城に出入りする時間も考えないといけないなと、僕は思案するのだった。
◆
翌日、気を取り直して僕は作った衣装に身を包み、こそこそと離宮を出た。
「……解せぬ……」
何をどう頑張ってみても、キラキラしたスイーツが我慢できない。
僕はキラキラを見ただけで、甘い香りを嗅いだだけで、我を忘れて無我夢中で食べてしまい、我に返れば完食してしまった後なのだから。
(味は美味しいけど、気持ち的には全然美味しくない。僕は幸せを手に入れて、最高に美味しいスイーツを食べたいんだから……)
きっと、あの無駄にキラキラと光り輝く美味しすぎる砂糖菓子がいけない。
城内のいたる所に何故かキラキラした砂糖菓子が配置されている。
こんな環境下では際限なく食べてしまって、痩せる事なんてまず不可能だ。
あれやこれやと思考を巡らせて、僕は一つの結論に辿り着いた。
「よし、城から出よう!」
キラキラの砂糖菓子さえ無ければ、無意識に食べてしまう事も無いのだから。
(それに、栄養が偏ってたり足りていないと空腹感が満たされず過食になりやすいと聞いた事があるし、砂糖菓子だらけの食生活なんて絶対身体に良くない。栄養満点でヘルシーな菓子を自分で作ろう。前世はスイーツ作りが趣味だったし、材料さえあれば何かしら作れるからね)
「うん、そうしよう!!」
幸か不幸か、この城内に僕を見張っている者はいない。
僕には護衛も側近も近侍もいない、専属の従者もいないのだ。
身の回りの世話は王宮務めの従者達が交代で離宮に来て、最低限しているだけ――という事は、僕は城下町へも出放題なのだ。
城下町へ何を持って行こうかと、辺りをキョロキョロと見回して物色してみる。
ふと、鏡に映る自分の着ていた派手な衣装が気になった。
「この格好は派手過ぎるかな、もっと落ち着いた服装に着替えた方が良いよね。どうしようかな……」
僕は衣装部屋に入り、できるだけ落ち着いた色合いのドレスを探して引っ張り出してみる。
「……こっちはギラギラでダメ……あっちはスケスケでエッチ……これと、それがいいかな……」
衣装部屋にある衣装は、ほぼ妾妃のドレスだ。
本来、離宮も含め離宮にある全ての物は、国王が妾妃へと与えた贈物だった。
僕が生まれてから僕用に新調された物は特に無くて、今身に着けている衣服も妾妃のドレスを衣装係のお針子が無理矢理作り直した物なのだ。
なので、テラテラしていたり、フリフリしていたりと、生地が女性的というか、少々派手派手しかったりする。
「……あ、裁縫道具があった。丁度良かった……」
僕は厳選したドレスにチョキチョキとハサミを入れてパーツを切り出し、チクチクと縫い合わせていく。
前世ではスイーツ作りと同じく、手先が器用なので細かい作業も得意だった。
なので、ダンス用の衣装とかハロウィンのコスプレ衣装とかも自分で作っていた。
白豚王子の身体でも器用な手先は変わらないようで、難なく作業できる。
「ふんふん♪ ふふん♪ ふんふん♪ ふふん♪ ……よし、できた!」
僕は出来上がった衣服に早速着替えてみる。
クリーム色のシャツに、ボルドー系のハーフパンツ、サスペンダーを付けて、ブラウン系のローブを羽織り、ポーチをベルトに掛け、衣装リメイク完成。
「うんうん、良い感じ♪ なかなかの出来栄えじゃないかな♪」
鏡の前でくるくる回って、自分の装いを確認して見て、僕は自画自賛する。
大分、地味になったので、どっかの裕福な家の太り過ぎちゃった子供とかに見えなくもない。
ただ、一つ問題があるとすれば、僕はお金を持っていない事だ。
仕方ないので、換金できそうな小さめの装飾品をいくつかポーチに詰め込んだ。
「……さて、出発し――」
「第一王子、ご夕食をお持ちしました」
「――わ、わ、わっ! ちょっと待ってっ!! 待っててっ!!!」
給仕係の声に驚いて、僕はわたわたと慌てて着替え、作った衣装を隠した。
窓の外を見れば、衣装作りに没頭していたせいで、日はすっかり傾いていた。
城に出入りする時間も考えないといけないなと、僕は思案するのだった。
◆
翌日、気を取り直して僕は作った衣装に身を包み、こそこそと離宮を出た。
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