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本編
87.黒狼王子は追いかける
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黒狼王子に視点を移す。
「ぐっ……白豚王子め! まったくもって碌な事をしでかしませんな! 今度という今度は只では済ませませんぞ!!」
激昂する宰相は声を荒げ、第一王子を追って会議室から飛び出していく。
ガトー王子は呆然とした面持ちで、その場に取り残されていた。
「………………」
硬直して動かなくなってしまったガトー王子を心配して、側に控えていた御供達が声をかける。
「……ガトー殿下、大丈夫ですか?」
「これはどういった事なのでしょう……」
ガトー王子は第一王子が立ち去った後を見つめ固まったまま、小さく呟く。
「……俺は……助けられたんだ……」
颯爽と現れ去っていった第一王子の姿を思い浮かべ、ガトー王子は思いを巡らせていた。
(第一王子は傍若無人な愚者を演じて、俺の事まで救ってくれたんだ……王族が守るべき民だけではなく、不甲斐ない隣国の王族である俺の事まで……第一王子は身を挺して守ってくれた……)
守られたのだと思えば、ガトー王子の胸はじんわりと熱を持ち始める。
(生まれながら呪われの身だった俺は、誰かに守られる事など無かった……親族にすら使い捨ての駒として扱われ続けてきたんだ。それは仕方ない事だと納得もしていた。当然の事だと思っていた……それなのに、そんな俺の事まで第一王子は守ってくれた……)
熱を持つ胸が切なく痛み、ガトー王子は心臓が締め付けられていくように感じる。
(この熱は、この痛みは、この感情は、なんなのだろう……初めて出会った日、第一王子は『ダーク』と俺の忌み名を口にしていた……俺が呪われの王子だと第一王子は知っていたのだろうか? ……知っていても、それでも尚も、守ろうとしてくれたのだろうか?)
第一王子との記憶を辿り、ガトー王子は思いを馳せる。
ガトー王子を助ける為に身を挺して魔鉱石を全て平らげた、愚者を演じるその姿。
難民達を救う為に身体を張り、上位者として責を負い謝罪する王族然とした姿勢。
貧民達を守る為に力無い者でありながらも、脅威に立ち向かっていた果敢な勇姿。
過去を振り返り思い起こせば、ガトー王子はある事に気付く。
(もしや、第一王子が魔鉱石を口にしたのは、今回だけの事ではないのではないか? 俺を助けた時だけではなく、難民達を救った時だけではなく……もっと前から、第一王子は同じようにして誰かを守っていたのではないか?)
そうかもしれないと考えだすと、もうそうだとしか思えなくなっていく。
(そうだ、思い返せば、初めて出会った時もそうだった。第一王子は国王誕生祭で特大のケーキを一人で平らげて、それで倒れていたんだ……あれは、大量の魔鉱石を摂取して耐えきれずに倒れていたのではないか? ……第一王子はずっとそうしてきたから、だからこそ躊躇なく食べ尽くして見せたのではないか?)
それは決定的な出来事だったように思えて、ガトー王子は第一王子の心情を思う。
(魔力が無い事で疎まれ王侯貴族に蔑まれながらも、それでも出来る限りの事をしようと、第一王子は一人で足掻き続けてきたのではないか? どんなに悪し様に言わようとも、王族として国民を守ろうと身体を張っていたのでは……)
その想像は確信に近く、ガトー王子は次第に焦燥感に駆られていく。
(第一王子はずっとそうやって守り続けてきたんだ……魔鉱石の毒素は蓄積され身体が機能しなくなっていく。あの魔法使いらしからぬ体型は、魔鉱石の影響なのだろう……これ以上、第一王子に身を削らせるような事をさせてはいけない! 早く止めなければ、第一王子の命が危ぶまれる!!)
ガトー王子は表情を険しくして、焦り急いで駆け出す。
「止めさせなければ!」
「「ガトー殿下!?」」
唐突に駆け出したガトー王子に驚き、御供達も慌てて後を追う。
「第一王子を追う!!」
「ガトー殿下、お待ちください!」
「我々も御供します」
黒狼王子達は白豚王子の後を追いかけていった。
◆
「ぐっ……白豚王子め! まったくもって碌な事をしでかしませんな! 今度という今度は只では済ませませんぞ!!」
激昂する宰相は声を荒げ、第一王子を追って会議室から飛び出していく。
ガトー王子は呆然とした面持ちで、その場に取り残されていた。
「………………」
硬直して動かなくなってしまったガトー王子を心配して、側に控えていた御供達が声をかける。
「……ガトー殿下、大丈夫ですか?」
「これはどういった事なのでしょう……」
ガトー王子は第一王子が立ち去った後を見つめ固まったまま、小さく呟く。
「……俺は……助けられたんだ……」
颯爽と現れ去っていった第一王子の姿を思い浮かべ、ガトー王子は思いを巡らせていた。
(第一王子は傍若無人な愚者を演じて、俺の事まで救ってくれたんだ……王族が守るべき民だけではなく、不甲斐ない隣国の王族である俺の事まで……第一王子は身を挺して守ってくれた……)
守られたのだと思えば、ガトー王子の胸はじんわりと熱を持ち始める。
(生まれながら呪われの身だった俺は、誰かに守られる事など無かった……親族にすら使い捨ての駒として扱われ続けてきたんだ。それは仕方ない事だと納得もしていた。当然の事だと思っていた……それなのに、そんな俺の事まで第一王子は守ってくれた……)
熱を持つ胸が切なく痛み、ガトー王子は心臓が締め付けられていくように感じる。
(この熱は、この痛みは、この感情は、なんなのだろう……初めて出会った日、第一王子は『ダーク』と俺の忌み名を口にしていた……俺が呪われの王子だと第一王子は知っていたのだろうか? ……知っていても、それでも尚も、守ろうとしてくれたのだろうか?)
第一王子との記憶を辿り、ガトー王子は思いを馳せる。
ガトー王子を助ける為に身を挺して魔鉱石を全て平らげた、愚者を演じるその姿。
難民達を救う為に身体を張り、上位者として責を負い謝罪する王族然とした姿勢。
貧民達を守る為に力無い者でありながらも、脅威に立ち向かっていた果敢な勇姿。
過去を振り返り思い起こせば、ガトー王子はある事に気付く。
(もしや、第一王子が魔鉱石を口にしたのは、今回だけの事ではないのではないか? 俺を助けた時だけではなく、難民達を救った時だけではなく……もっと前から、第一王子は同じようにして誰かを守っていたのではないか?)
そうかもしれないと考えだすと、もうそうだとしか思えなくなっていく。
(そうだ、思い返せば、初めて出会った時もそうだった。第一王子は国王誕生祭で特大のケーキを一人で平らげて、それで倒れていたんだ……あれは、大量の魔鉱石を摂取して耐えきれずに倒れていたのではないか? ……第一王子はずっとそうしてきたから、だからこそ躊躇なく食べ尽くして見せたのではないか?)
それは決定的な出来事だったように思えて、ガトー王子は第一王子の心情を思う。
(魔力が無い事で疎まれ王侯貴族に蔑まれながらも、それでも出来る限りの事をしようと、第一王子は一人で足掻き続けてきたのではないか? どんなに悪し様に言わようとも、王族として国民を守ろうと身体を張っていたのでは……)
その想像は確信に近く、ガトー王子は次第に焦燥感に駆られていく。
(第一王子はずっとそうやって守り続けてきたんだ……魔鉱石の毒素は蓄積され身体が機能しなくなっていく。あの魔法使いらしからぬ体型は、魔鉱石の影響なのだろう……これ以上、第一王子に身を削らせるような事をさせてはいけない! 早く止めなければ、第一王子の命が危ぶまれる!!)
ガトー王子は表情を険しくして、焦り急いで駆け出す。
「止めさせなければ!」
「「ガトー殿下!?」」
唐突に駆け出したガトー王子に驚き、御供達も慌てて後を追う。
「第一王子を追う!!」
「ガトー殿下、お待ちください!」
「我々も御供します」
黒狼王子達は白豚王子の後を追いかけていった。
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