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蓮君が来ない。
どうしたんだろうか?
ハッ!まさか、俺の気持ちがバレたのか?
気持ち悪くて、来なくなったのだろうか?
・・・ありえる・・・
そんな事を考えてると、携帯が鳴った。
画面には[フラワー凛]の文字が現れた。
俺は、叱られる覚悟で電話に出る。
通話が終わり、深く息を吐く。
「蓮君、風邪だった。」
良かったのか、悪かったのか。
しかし、昨日は元気そうだったが。
今週は、蓮君に会えないのか。
寂しいな。
秘書の橘が、
「社長、心の声がダダ漏れです。全て口に出てますよ。寂しいのは、皆一緒です。さっ!仕事して下さい。」
なんて、冷たい。
が、引っかかる言葉が聞こえた。
「ん?寂しいのは皆一緒?って、皆って誰だ?」
「皆と言えば皆です。」
「だから、誰だ?」
「そうですね、受付、秘書課、後は、重役の方とか?」
「はぁぁ?何で!」
「何でって、、、はぁ、社長が花を色々な部屋に飾るように言ったからでしょうが」
「いや、そうはいったが、それが何故皆寂しがるんだ?」
「皆、蓮君が可愛くて、仕方ないみたいですよ。ふふっ。相当皆が可愛がってますから、いつもは、無愛想な重役達がニコニコしてるから、周りは気味が悪いと思ってたみたいですが、蓮君を見て納得したみたいですよ。常に飴を持ち歩く者もいるとか聞いてますよ。」
「何だと!そんな事になっていたのか。」
「えぇ、まぁ。会社も、至る所に小さな花が飾ってあるのが、好評らしいですよ。」
「あぁ、それは聞いたな。どこの花屋に頼んでいるのかとか、誰がデザインして置いてあるのかとか、まぁ、誤魔化したがな。そうか、蓮君は凄いな。」
「そうですね。社長、取られないよう、頑張って下さいね。」
「はぁぁ?何言ってんだ?」
「えっ?社長、蓮君の事好きなんでしょうが、違うんですか?」
「~っ、ち、違わない。いや、しかし、そんなにわかりやすいのか?」
「まぁ、そうですね。」
「はぁ、まぁいい。仕事しよう。」
それから、心の中では蓮君を心配しながらも、仕事に集中した。
2日後に、蓮君の様子見がてら見舞いに店の方に出向く。
「こんにちは。蓮君の調子はどうですか?」
「あ、いらっしゃいませ。わざわざありがとうございます。蓮は、大分良くなりましたので、来週からはそちらに行けると、思います。」
「あぁ、良かった。これ、蓮君に。お大事にと、お伝え下さい。」
果物の入った籠を叔父さんに渡す。
それではと、店を出る。
車に乗り込んで、少し考える。
いくら風邪でも、顔くらい見せそうなものだが、合わせてくれなかったな。
感がいいのも、考えものだなと、失笑するが、この予感だけは、外れて欲しいと願う
もしかすると、暴力を振るわれている?
そうだとすれば、許さない。
誰だ?叔父さん…ないな。あれは蓮君を可愛がってる。
それは、見てると分かる。
多分………親父か?
そういえば、お母さんの話を聞かないな。
居ないのか。離婚か、死別か。
まぁ、だとしても、気になる。
あの小さな身体で、そんな事に耐えているのかと、考えるだけで胸が苦しい、辛い。
どうしてやる事も出来ない自分に腹が立つ
奥歯を噛み締める。そうしないと涙が溢れそうだ。
本当に、苦しい。悔しい。
どうすればいい?どうしたら助けてやれるのか。
「社長、まずは、社長の気持ちを伝える事が先ではないですか?」
隣りにいた、橘がそう言う。
「そう、それはわかってる。だが、多分蓮君は、、、」
虐待ではと、言いづらい。
「えぇ、多分社長の思った通りだと思います。失礼だとは思いましたが、蓮君の事は少し調べさせて貰いました。」
橘は、蓮君の生い立ちを話始めた。
蓮君のお母さんは、蓮君を産むと同時に亡くなったそうだ。
やはり、父親が蓮君に暴力を振るったようだ。
叔父さんも何度も、警察や相談所に行ったようだが、取り合ってはもらえなかったようだと。
父親は、日雇いのバイトなどをしていて、蓮君が生活を支えているようだった。
「なぁ、橘。俺はどうしたらいい?蓮君を幸せにしてやりたい。守ってやりたい。誰よりも、幸せに笑ってて欲しい。俺が。」
「社長、それは、社長の考えであって、蓮君は関係ないですよね。社長と、蓮君が恋人同士ならわかりますが。蓮君は、社長に助けて貰いたいとは、思ってないように思えますが、、、まずは、蓮君との距離を縮める事に頑張れば、よろしいかと。」
「そう、そうだな。ははっ!まずはそこから頑張るか。道のりは遠いかもな。なぁ橘。ありがとう。また、俺が暴走しそうなら、止めてくれ。」
「それが私の仕事ですからね。」
「そうだな。頼もしい秘書だよ。」
それまで、仕事を頑張ろう。
蓮君に会えないのは、寂しい。寂しいが、今は、我慢だ。
その後、色々な部署から、蓮君はいつから来るのかと、苦情が上がったとか。
俺が一番!!
言いたいんだっ!!!
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