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しおりを挟む10、蓮
やっと、顔の腫れも治り、身体の痛みも良くなった。
さぁ、今日から仕事がんばる!
「蓮、今日から店に出るのか、大丈夫か無理はするなよ。」
「うん、ありがとう叔父さん。もう大丈夫だよ。少しだけ胸の所が痛いけど、普通にしてれば大丈夫。さて、がんばるよ!」
「無理は駄目だぞ。肋骨は多分折れてはいないだろうが、ヒビが入ってる。蓮、病院に行って診てもらった方がいい。」
「大丈夫、大丈夫。心配かけてごめんねでも、病院に行ったらね、、、」
「わかった。蓮がそう言うなら。でも、次はないからな。わかったな。」
「うん。わかってる。それじゃ早めに要さんの所に向かうね。」
「あぁ、気をつけて。いってらっしゃい」
「いってきます!」
僕は、ゆっくり歩きながら、
「叔父さんごめんね。」
無理矢理病院に連れて行く事も出来るのに僕が嫌がるから、家で手当てしてくれる。
だって、病院に連れて行かれたら、お父さんが警察に捕まってしまう。
それは、嫌なんだ。
僕が我慢すればいいだけだ。
でも、今回は酷かったな。
お酒の量も増えてるし。
困ったな。
また、叔父さんに相談してみよう。
さぁ、お仕事がんばるぞっ!
要さんの会社に着き、受付の人に挨拶する
「おはようございます。今日からまた、よろしくお願いしますね。」
「蓮君!大丈夫なの?風邪だって聞いたから。」
「はい。もうすっかり良くなりました。」
「そう、良かったわ。社長はじめ皆心配してたわよ。元気な顔が見れて良かった。また後で寄ってね。」
「はい。ご心配をおかけしました。ありがとうございます。また、後で!」
そして、エレベーターの所に行くまで、色々な人に声をかけられる。
皆優しいな。
嬉しくて笑顔になる。
最上階の要さんの居る部屋をノックする。
いつもは、秘書の橘さんが出てくるんだけど、今日は、要さんが迎えてくれた。
「おはよう!蓮君!具合はどう?」
「おはようございます。要さん。ご心配ありがとうございます。もう、大丈夫です」
「そう、良かった。」
「あ、そうだ。お見舞いありがとうございました。フルーツとっても美味しく頂きました。」
「口にあって良かった。では、蓮君お願い出来るかな?」
「はいっ!」
僕は、元気よく返事をして、花を飾る為に部屋に入る。
僕が、花を変えたりしている所を要さんがずっと見てるので、少し緊張しながら作業してると、
「社長、そんなに蓮君を見てると、蓮君に穴が空いてしまいますよ。はい、コーヒーでも飲んで待っててあげて下さい。」
と、コーヒーを要さんの前に置くと
要さんは、
「なっ!橘、何て事言うんだ!俺は、元気になって良かったなっ!って思っただけだよ!」
へぇ~要さん「俺」って言うんだ。
いつもは「私」って言うのに。
と、全然関係ない事考えてた、僕だった。
「もう、大丈夫なんだよね?」
と要さんが言うから、
「はい。もう大丈夫です。心配してもらいありがとうございます。」
「あまり無理しないでね。花を飾るのも、ここだけもいいからね。」
「大丈夫ですよ。色々な所を飾るのも楽しいですから。あ、あの、迷惑なら、、、」
「いや!迷惑なんて思わないから!会社も明るくなって、皆喜んでるよ。ありがとうね。」
そう言ってくれる要さんが、優しい笑顔で僕が嬉しくなる。
それからは、会社に花を飾って、店に戻り、仕事して忙しくしていた。
まだ、急に動いたりすると、胸が痛む時がある。
叔父さんには、
「あまり、無理をしたら、駄目だよ。力仕事は、叔父さんがやるから、蓮は、軽い物だけにするんだよ。」
叔父さんが気を使うのが、分かるから申し訳ないな。と、思いながらも言葉に甘えてしまう。
その日も、無理はしないようにと、何度も言われながら、要さんの会社に向かう。
いつも通り、花の水を変えたり、水あげしながら、仕事していたんだけど、ふと、足元のセロファンにあしが乗り、ズルッと滑りそうになり、身体に力を入れた途端に胸に激痛が走る。
「ウッ!」
と、胸を押さえて倒れた。
痛みで、気を失いそう。
「蓮君!蓮君!大丈夫か?救急車呼ぼう」
そう、遠くから聞こえる。
「ダメ、よ…よばな……で……」
僕は、多分そう言うと、完全に意識を失った。
ふっ、と意識が戻って目を開ける。
目の前には、要さんが泣きそうに心配顔で僕を見ていた。
僕は、ハッとして、胸を押さえながらゆっくり起き上がる。
要さんは、背中を支えてくれた。
「蓮君?大丈夫?」
「は、はい。僕、、倒れちゃったんですね。迷惑かけてごめんなさい。」
「全然迷惑じゃないから。そんな謝らないでいいから。送って行こうか?」
「い、いえいえ、大丈夫です。ありがとうございます。えっと、じゃあ僕、帰りますね。また、明日。」
そう言って部屋から出た僕は、自分の着ている服が乱れてないのを確認して、ホッとする。
要さんに見られたかな?
この身体を要さんに見られのは嫌だなぁ
嫌われるかな?
こんな身体、誰が好きになってくれる?
好き?
僕は、要さんに嫌われたくない。
何故?
僕が要さんが好きだから。
そうなんだ。
僕は、要さんが好きなんだ。
でも、待って!
要さん、男の人だよね?そうだよ。
人として好き。
ずっと側にいたい。
それって、恋愛感情。
そうだ。
僕は、要さんが好きなんだよ。
優しくて、カッコよくて、ドキドキする。
でも、それは僕の心の中に、しまっておこう。
身分的にも、叶わないしね。
いいんだ。
僕は、要さんに会えるだけで幸せ。
その気持ちだけで、生きていける。
想うだけならいいよね。
大事に大事にしまっておこう!
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