20 / 85
20
しおりを挟むジークバルト
あぁ、なんて綺麗なのだろう。
ピアノを弾いてるハルを見て、嬉しそうに口角が上がり、黒いまつ毛が影を作り少し伏せめな眼。黒髪がふるふる揺れて光に当たりキラキラしてる。
こちらで聞いた事がない曲だったが、すんなり馴染んで、胸が苦しいくらいに、高鳴ってるのがわかる。
ハルの感情が伝わって来て、知らない内に涙が溢れていた。
ハルから目が離せなくて、もう愛しくて愛しくてしょうがない。
「どうしたの?大丈夫?」
ハルに聞かれて、ハッとして、持っていたタオルでぐいっと涙を拭って、笑った。
感動した事、素晴らしい演奏だった事を伝えて、小さな頃から弾いていたのか聞いてみる。
そう、両親の影響だったんだな。
きっと大事に、愛されて来たんだろう。
ハルは、両親の元へ帰りたいのだろうか?そうだよな、こんなまだ幼いのだから。
恐る恐る、帰りたいのか聞いてみる。
俺は、絶句した。
まさか、両親共にいないなんて。
しかも、、、待って、ハルが18歳?
嘘だろう?
すっと、周りを見ると、ハルのピアノを聴きに来たのだろう使用人達がいて、俺達の会話を聞いて、固まってた。
トーマスは、空いた口が閉まらないくらいにビックリしてる。
しかも、3日後には誕生日だと言う。
これを聞いている屋敷の者は、張り切って用意するだろうな。
でも、本当に18歳だとは思えなくて、思わず「もっと子供かと思ってた」と呟いてしまった。
ハルを見ると、ムッとしているみたいで、頬がぷくりと膨らんでて可愛い。
ハル、、、本当は嬉しいんだよ。
だって、子供ならキスも出来ない。我慢する事ないよな?
こちらの世界では、16歳が成人だからな。
俺はハルの前に膝をついて、ハルの頬を両手で包む。
「愛してる」
の言葉を送り、ハルにそっと口付た。
ゆっくり唇を離せば、ハルは目を開けて嬉しそうに笑った。
すると、後ろから、わぁぁぁーっと言い声と共に拍手が一斉に鳴った。
いままで、固唾を飲んで見守っていた、セバスを始め屋敷中の皆が揃っていた。
ヴォルフも走って来て、ハルの膝の上に頭を乗せて擦り寄ってる。
ハルは、皆がいる事にビックリして恥ずかしそうにしていたが、ヴォルフをワシャワシャと撫で回してた。
俺は、幸せで幸せで本当にハルに出会えて良かったと心からそう思った。
愛してるよ、ハル。
俺の番、唯一無二の人。
俺の最愛。
ハルは、可愛いくて、こんなピアノの才能もあって、送り人。
あーーー両親が離さないだろうな。
特に、母上は、、、可愛物好きだからな。あぁぁ、ヴィーもか。
明日は、仕事に行かないといけないからな、うん、休もう!
チラッとセバスを見る。
俺の考えてた事が分かったんだろうな、首を横に振られた。
はぁぁもう、仕方ない。
とりあえず、今はハルを堪能しよう。
「ハル、まだピアノ弾くか?」
と聞けば、「弾きたい!」って言うから「いいよ」と答えると、ハルはヴォルフを撫でながら、聞いててね、と椅子に座り直し、ピアノに向かう。
それから、途中食事休憩をはさみながら、時間も忘れてハルは、ピアノを弾いた。
屋敷の皆も、代わる代わるホールを覗いては、うっとりと聴き終わると拍手をして、礼をしながら又仕事に戻る事を繰り返していた様だ。
今日は、セバスも使用人には、甘い日だったのだろうな。
もう陽も傾いて来た所で、
「ハル、疲れてないか?今日はここまでにして、又明日弾けばいい。」
そう言うと、
「うん、そうだね。ありがとうジーク。付き合ってもらって、お仕事とか、大丈夫だった?」
「大丈夫。今日は休みだし、ハルと一緒に居たかったからな。ハルの事色々知れたし、嬉しかった。ハルの事もっともっと好きになったしな。」
ハルは、顔を赤くしながら、ありがと。
とそう呟いた。
その顔が可愛いくて、そっと抱き上げハルを腕の中に閉じ込める。
ハルも俺の首に腕を回して、ギュッと力を込めた。耳元でハルが
「ジーク、大好き」
そう言われて、嬉しくて嬉しくて泣きそうだ。
俺もハルに、
「俺も、ハル大好き」
と、耳元で言う。
それから、顔を見て笑いあった。
197
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
【16話完結】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー
AI比較企画作品
夜が明けなければいいのに(洋風)
万里
BL
大国の第三皇子・ルシアンは、幼い頃から「王位には縁のない皇子」として育てられてきた。輝く金髪と碧眼を持つその美貌は、まるで人形のように完璧だが、どこか冷ややかで近寄りがたい。
しかしその裏には、誰よりも繊細で、愛されたいと願う幼い心が隠されている。
そんなルシアンに、ある日突然、国の命運を背負う役目が降りかかる。
長年対立してきた隣国との和平の証として、敵国の大公令嬢への婿入り――実質的な“人質”としての政略結婚が正式に決まったのだ。
「名誉ある生贄」。
それが自分に与えられた役割だと、ルシアンは理解していた。
部屋に戻ると、いつものように従者のカイルが静かに迎える。
黒髪の護衛騎士――幼い頃からずっと傍にいてくれた唯一の存在。
本当は、別れが怖くてたまらない。
けれど、その弱さを見せることができない。
「やっとこの退屈な城から出られる。せいせいする」
心にもない言葉を吐き捨てる。
カイルが引き止めてくれることを、どこかで期待しながら。
だがカイルは、いつもと変わらぬ落ち着いた声で告げる。
「……おめでとうございます、殿下」
恭しく頭を下げるその姿は、あまりにも遠い。
その淡々とした態度が、ルシアンの胸に鋭く突き刺さる。
――おめでとうなんて、言わないでほしかった。
――本当は、行きたくなんてないのに。
和風と洋風はどちらも大筋は同じようにしようかと。ところどころ違うかもしれませんが。
お楽しみいただければ幸いです。
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます
水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。
家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。
絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。
「大丈夫だ。俺がいる」
彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。
これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。
無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる