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しおりを挟むセバス
本当によろしゅうございました。
ジークバルト様に番様が現れて。
若い頃に、番を見つけようと、大陸中を視察団に参加して、探して周り、ほとんど屋敷には、帰る事はなかった。
大旦那様と、奥様は気が済むまで、放っておきなさい。と。半ば諦めていたようです。
毎日、毎日山の様に釣書が送られてくる。しかも、屋敷に突撃してくる令嬢もいる。令嬢に限らず、見目麗しいオメガの子もやってくる。
よりによって、「ジークバルト様にお会いしたら、私が番かもしれません。」
などと、のたまう。
もしかしたら?と思う事はあったが、ジークバルト様からは、王都にはいない。と聞いていたので、追い返すのに苦労しました。
まぁ、ジークバルト様は、神が造りもうた様な、恐ろしいくらいの美形なのだが、又、銀髪、紫の目で、人を惹きつけるのである。
しかも、公爵家嫡男、近衛騎士団、皇国軍の総長で、陛下の右腕。
モテないはずがない。
ですが、15年ジークバルト様は探し続けました。
「この国には、俺の番はいない。」
そう呟いた。
今年は、陛下の婚儀が決まっているので、ジークバルト様の中で、何か諦めたのでしょうね。
屋敷に戻り、大旦那様から家督を譲られ公爵家当主となり、王宮と屋敷を行き来しながら、忙しくしておりました。
たまには、息抜きをしてください。
何度申したか、、、
全く聴く耳を持ってはくださいませんでした。
きっとジークバルト様の表情筋は死んでいたのでしょう。
喜怒哀楽、表す事なく、皆が噂するように、まさに、「氷の騎士様」
街中で声を掛ける者は、ギロリと睨まれれば、その場から動けなくなるくらい、圧をかけられる。失神するものも居たと言う。
だが、そんなジークバルト様が嘘の様に笑い、泣き、楽しそうで、なんと番様の影響は凄いものだと、感心しました。
ハル様ですね。
はい。とても可愛らしく、優しく、ピアノの才能は素晴らしいの一言です。
トーマスに、すぐにホールへ来る様に報告を受けて、今日はハル様を屋敷の中を案内する予定ですが、何があったのでしょうか?
急いで駆けつけ、ピアノの音が聞こえたので、誰だと、訝しんでいると、まさかのハル様が弾いているではありませんか。
なんと、素晴らしい。
聞いた事がない曲ではありますが、心が暖かくなり、全身から総毛立つほどに、感動しました。
使用人達も、駆けつけてうっとりと、聴き入っていました。
今日ばかりは、お小言は止めにしましょうかね。
弾き終わると、ジークバルト様は涙を流しながら、ハル様をじっと見つめていらっしゃいました。
それから、とても良い笑顔でハル様に感動を伝えておられました。
本当に、ジークバルト様のあんな笑顔は、いつ振りでしょうか?
表情筋は死んでいなかったのですね。
えーと、こほん。
それからは、衝撃的なハル様の話ですが、両親共に亡くされている事、そして、これが1番の衝撃でした。
あんなに幼く見えてなんと、18歳だと、
しかも、誕生日が後3日後。
18歳と言う事に驚きましたが、しかもその18歳の誕生日が、すぐではありませんか。
これは、盛大にお祝いしなければいけませんね。
トーマスやマリアンヌ、セシル、その他の使用人を見ると、皆、わかっております。と言う顔をして、頷いています。
早速とりかからなければ。
そんな事を思っていると、ジークバルト様がハル様の前に膝をつき、愛しい、そんな表情でハル様の唇にキスを落とした。
なんて素敵な光景なんでしょう!
一枚の絵を見ているようなそんな感覚を感じました。
皆もそうだったのでしょう、叫びながら拍手喝采でした。
なかには、涙ぐんでる者もいましたね、
ハル様は照れながらも、とても嬉しそうでした。
ジークバルト様が何やら考える素振りを見せ、私の方をチラッと見る。
セバスはわかっておりますよ。
明日、仕事をお休みしようと、考えている事でしょう。
駄目でございますよ。
陛下の方から、再三に渡り、早く報告をしろと、侍従の方が何度も屋敷にお越しになっておりますからね。
明日は、出仕して下さいね。
私は、ジークバルト様に向かって、小さく首を振る。
それから、ハル様はジークバルト様と共に食事休憩しながら、ピアノを弾いていました。
陽も傾き始めましたので、今日はここまでの様ですね。
さあさあ、忙しくなりますね。
大旦那様も奥様も、もう領地を出られた事でしょう。
ハル様の誕生日には、間に合いそうですね。
この事も、お知らせしなければいけませんね。
きっと、大騒ぎになる事でしょうね。
あぁ、そうだ。
今は、王宮にいらっしゃる、ヴィヴィアン様も帰ってこられるかもしれませんね。
ジークバルト様、ハル様を独り占めには出来そうにないようですね。
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