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        ハル

 ヴィーちゃんが、屋敷に突撃して来て、今僕は、いや、僕達はソファに隣同士に座り、ヴィーちゃんに手を握られてキラキラした目を向けられています。
 僕の顔に何かついてる?ってくらい凝視されてるもんだから、困ってしまってチラッと横眼でセバスさんに助けを求める。

 「ヴィヴィアン様、そんなにハル様を見られると、ハル様に穴が開いてしまいますよ。ハル様が素敵な方なのは分かりますが
そろそろ、お話をされては、いかがでしょうか?」

 セバスさんが助け船を出してくれた。

 「ふぅー本当に何て可愛らしい方なのかしら。黒髪も素敵だけど、この瞳、吸い込まれそうなくらい、綺麗!顔だって、もうもう、本当に可愛い!兄様、羨ましいわぁぁ!あっ!しかも、ピアノ!聞いたわ、凄くお上手なんでしょう?聞きたいわ!ね!
ハルちゃん、私にも聴かせてくれる?」

 黙って見つめていたかと思えば、次は息つく間もなく、喋り始めたので僕は目を見開き唖然としてしまう。
 何とか、言葉を出そうとするんだけど、何から答えていいのか・・・・・・
 あぁ、ピアノか今日はまだ弾いていないな。そう思うとピアノが弾きたくなってくる。
 
 「えっと、ピアノ弾いてもいいかな?」

 ヴィーちゃんと、手を繋ぎながらホールへ向かう。
 ヴィーちゃんは、嬉しいそうに笑いながら、時折僕に話しかけてくる。
 表情がくるくると変わり、とっても可愛い。僕は、一人っ子だったから、妹がいたら、こんな感じなのかな?と嬉しくなる。
 あっそうか、ジークと結婚すればヴィーちゃんは、本当の妹になるんだ。
 自分で考えてて、結婚って言葉に恥ずかしくなって、顔が赤くなる。
 ホールに着き、僕はピアノの椅子に座りポケットから鍵を取り出して開ける。
 鍵盤に指を置き、少しだけ軽く指ならしをして、椅子から立ち上がり、ヴィーちゃんに向かって礼をする。
 ヴィーちゃんは椅子に座り、後ろには
お付きの方、侍女さん?達がいて、その後ろにセバスや、セシル達がいた。
 僕はゆっくりと椅子に座り、軽く深呼吸して鍵盤の上に指を滑らす。
 あぁ、やっぱり楽しい!
 楽しくて、嬉しくて奏でる旋律に心が身体が満たされる。

 一曲弾き終わり、鍵盤から指を離す。

 お礼をしようと、椅子から立ち上がろうとしたら、わぁぁぁとの声と共に割れんばかりの拍手がして、ビックリした。
 ヴィーちゃんを見ると、また泣いてけど笑顔だったから、良かった。 

 拍手が鳴り止まない中、
僕は、胸に手を当てて深々と礼をした。

 顔を上げると、ヴィーちゃんが小走りで来て僕を抱きしめた。
 僕もありがとうの意味を込めて軽く抱きしめ返した。
 僕がヴィーちゃんの背中を軽くぽんぽんと叩くと、身体を離したヴィーちゃんは、僕の手を握りしめて

 「ハルちゃん!凄く凄く感動したわ!なんて素晴らしいのかしら!」
 目を潤ませながら、気持ちを表してくれて、僕も目から涙が出そうになりながら、ありがとうと、笑った。
 ヴィーちゃんは、一瞬目を大きく開けると、フニャんと顔が笑み崩れた。

 僕達が手を取り合って笑い合ってると、
2人の男女が近いて来て、ヴィーちゃんの肩に手を置いた。
 ん?誰?と、そちらを見ると、ヴィーちゃんが、

 「父様!母様!」と、呼んだので、僕は、慌てて姿勢を正し、ご挨拶しようと、
口を開く瞬間、ヴィーちゃんを押し除けて、2人が僕に抱きついたので、うっ!と思わず声が出た。
 苦しさと、どうしていいか分からなくて、ピキーンと固まったままの僕に、またも、セバスさんが助けてくれた。

 「大旦那様、奥様、ハル様をお離し下さいませ。苦しそうで可哀想でごさいます。
さあ、あちらでお話しては、よろしいかと思いますが、いかがされます?」

 「あ、あぁ済まない。あまりの可愛いさに、我を忘れるところだった。ほら、ミリアナも、離してあげなさい。」
 「えー嫌だわ。こんな可愛いんですもの?」

 分かるわ!母様!とヴィーちゃんは、うんうんと頷いている。
 僕は苦笑いをしながら、ここはちゃんと挨拶をしないと、とまだ僕の肩に手を置いているお母様の手を優しくぽんぽんと叩くと、手を離してくれたので、深々と頭を下げ、顔を上げて、

 「初めまして。サクラバ・ハルと申します。あの、ジークバルトさんに助けて頂いて、お世話になっています。」

 すると、お父様が

「初めまして、ジークバルトの父で、ユーリアス・サーヴァントだ。君がジークバルトの番だな。こちらに来てくれてありがとう。違う世界から来た事は聞いた。不安な事もあるだろうが、何も心配しなくていいからね、ジークも私達も君を守るから。だから安心してジークと共に過ごして欲しいそれだけが私達の願いだ。」

 そう優しい言葉をくれた。
 嬉しくて、僕の目から涙が溢れた。
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