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しおりを挟むジークバルト
ふっ、思わず笑み溢れる。
嬉しいそうに俺と手を繋ぎ、食事をとる部屋へと、歩く。
少し下を見ると、黒髪が見え旋毛が見えて、それすらも愛しくて。
俺は、ハルが何をしても可愛くて、愛しいんだろうな。
笑っている時はもちろん、泣き顔も怒った顔も困った顔も、全て愛しい。
番と言うだけで、たまらない存在なのだろう。もし、ハルが我儘だったり、傲慢で人に対して酷いようだったとしたら、ここまで愛すべき人となるのだろうか?
それさえも、可愛いと思えるのだろうか?
突き離す事は、出来ないだろうが、やはり、どこかしら辛くなっていくんではないだろうか。
いや、考えてもしょうがない。
俺の番がハルで良かった。
さて、食事にしよう。
が、やっぱり、両親、ヴィーが居た。
当主の席に父上が座り、その横に母上、ヴィーと座り、対面に俺とハルが座る。
3人がニコニコ笑ってて、少し気持ち悪い。隣を見ればハルもニコニコしてる。
可愛いいぃぃ!本当に可愛い。
そんなハルに見惚れてると、食事が運ばれて来た。
いつもの様に黙って、フォークとナイフを持ち、食べ始めようとすると、ハルが両手を合わせて、小さな声で
「いただきます。」
と、言ってフォークとナイフを手に取った。
??ハル?それは?
なんでも、あちらの世界では食事の前にそう挨拶をするそうだ。
全ての食材に対して、作ってくれた人、この食材を育ててくれた人に感謝の意を乗せて、いただきます。と。
なんと、素晴らしい事か。
だから俺もハルに習って同じ様に感謝して食事を始めた。
こちらに来てから食事を一緒に食べる事もあったが、その時には声が小さく、何かな?とは思っていたが、そんな意味があったんだな。
それを見ていた皆も同じ様に感謝して食べ始める。
いつもは、ただカチャカチャと無機質な音がするだけの食事だが、今日は違った。
とにかく、両親、ヴィーがハルと話しをしたくて、しょうがないようだ。
「ハルちゃんは、綺麗に食べるわよねぇ向こうの世界では、貴族か何かだったの?凄く所作が綺麗ねー」
母上が興味津々で聞く。
ハルは、
「いいえ、普通の家ですよ。あちらの世界には、んー僕の国?では、貴族はいなかったですね。違う国には少ないですけど居ましたよ。僕は、両親と共に色々な国へ行って、それなりの偉い人達と、食事する事があったんです。その時、両親から食事の仕方やマナーを習いました。」
「そうなのね。とても素晴らしいご両親だったのね。」
母上がそう言うと、
「はい!本当に僕を大切にしてくれて、愛してくれました。だから、両親が幸せになりなさいって僕をジークの所へ送ってくれたんだと、思うんです。だって、僕あの時、、、両親の所へ行きたいって願ったんです。」
えっ?聞いていた俺は、固まった。
何?両親の所?それって、、、
思わず、隣にいるハルを抱きしめる。
「ハル、、、どうして?」
「ええと、せっかくの食事がさめちゃうから、また後でお話ししよう?ねっ?」
ハルを離したくなくて、抱きしめまま、動けない。だって、離したらハルがいなくなりそうで怖い。
「ジーク大丈夫。どこにも行かないよ。
だから、食べよ。」
ハルは俺の背中をポンと、叩く。
俺は、ゆっくりハルから腕を離す。
ハルの顔を見ると、笑顔で俺を見ていたけど、瞳が少し揺れた。
ハルの為に俺も笑い、食事を再開したが無理矢理飲み込んだ。
「ハルちゃん、ごめんなさいね。辛い思いをさせちゃって。」
「いいえ、そんな事ないです。今が幸せだから。それがあって、こちらに来られて、ジークに会えました。それに、お父様、お母様、ヴィーちゃん、屋敷の皆さんに凄く良くしてもらって、本当に嬉しいんです。だから、謝らないで下さいね。」
「ハルちゃん、、、なんていい子なのかしら。こちらの世界に来てくれてありがとう。ハルちゃんがジークの番で本当に嬉しいわ。これからもジークの事よろしくね。ねっ?あなた。」
「本当に、そうだな。もう家族なんだから、遠慮はなしだぞ。私は、ハルと呼ぶぞ、いいな、ジーク。」
「えぇ、まぁいいですけど、、、」
それからは、ピアノの事を中心に話に花を咲かせた。
ふと、ヴィーを見た時に、レオに言われた事を思い出した。
「ヴィー、もう少ししたら、レオが迎えにくるからな。レオが駄目って言ったからって黙って出て来たら駄目だろう?」
そう言うと、
「だって!兄様の番が見つかったって言うのに、じっと待つなんて無理よ。」
「そうは言っても、皆が心配して探し回ってたんだぞ。」
「大丈夫よ、ちゃんと女官長には伝えたもの。まぁ直ぐに迎えに来れないように少し遅く報告してもらったけど、、」
「はぁぁ、ヴィーもうすぐ皇妃になるんだから、責任ある行動しなさい。」
父上に言われて、シュンとするヴィーだが、横にいるハルの様子がおかしい。
「どうした?ハル?」
「えっ!あ、あの、皇妃って?」
「あぁ、まだ言ってなかったな、ヴィーは、皇帝陛下の番で、今年婚儀があるんだよ。」
「えぇ、そうなんだ。そんな偉い人なのに、馴れ馴れしくして、ごめんなさい。」
「止めて!ハルちゃん!全然偉くないから!お願い!」
ヴィーが泣きそうになりながら、ハルにお願いする。
「いいの?大丈夫?不敬にならない?」
俺は、ハルの頭を撫でながら、
「いいんじゃないか?公式な場所なら、それなりに弁えないといけないが、家族で過ごす時には普通にしていい。」
そう答えると、ホッとしていた。
「良かった。ハルちゃん、これからも、仲良くしてね。」
「はい、僕でよければ。仲良くしてね、ヴィーちゃん」
ヴィーと、ハルは嬉しそうに笑った。
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