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ルーが、王宮から公爵家に戻り、毎日ルーの顔を見る事が出来ない。
はぁぁ~~
ルーに会いたい・・・・
会いたくて仕方がない。
体調も良くなって来てみたいで、安心するが、ルーが俺に会いに来る事はない。
だが、王宮には来ているみたいだ。
医師棟に。
やはり、ルーはあの女の医師が好きなんだろうか?
あの時、好きだと言ってた。
人として好きなのか、恋愛的なものなのかは分からないが・・・
あの女と、ルーが恋人になる?
考えただけで、気が狂いそうになる。
俺の手から離れていくルー。
どうして俺じゃないんだ?
俺じゃダメなのか?
そんな事ばかり考えてしまう日々だったが、ルーから会いたいと連絡あり、いつでもいいからと、返事をしてルーに会える喜びでさっさと仕事を済ませて、ルーに会いに行く。
可愛い笑顔で俺を待つルーが、愛しくて抱きしめてしまいたくなる。
あぁ、本当に可愛い。
きっと今の俺の顔は、緩みきってる。
そんな俺をルーは、澄み切った目で見ている。
首をコテリと傾げるルーが、
「ライ?疲れてる?大丈夫?」
と、心配してくる。
「ああ、大丈夫だよ。ちょっと仕事が立て込んでてな。ルーに会う時間くらいあるから、いつでも会いに来て?」
「うん、ありがとう。忙しいのに、ごめんなさい。仕事もお手伝い出来なくて・・」
「気にすんな。ルーが元気でいる事が1番だからな。」
「ふふっ、ありがとう。えっとね、今日はライに話があってね?聞いてもらっていいかな?」
なんだろう?
嫌な予感しかないんだが・・・
聞きたい気持ちと、聞きたくない気持ちとで、胸がザワザワする。
「ん?何かな?」
「・・・あのね、僕、僕が出来る事をやってみようと思うんだ。ライにせっかく側近のお仕事をさせてもらったのに、ごめんなさい。」
「いや、気にしなくていい。ルーが決めた事を頑張ればいいよ。で?何をする事にしたんだ?」
「僕ね、医師になろうと思うんだ。」
「はっ?医師?ルーが?」
「う、うん。無理かな?」
「あ、いやいや、無理とかではなくて、想像もしてなかったから、少しビックリしただけだ。どうして?」
「僕はさ、これまで身体が弱くて何も出来なくて、皆に守られてここまで生きて来たと思うんだ、それは凄く幸せな事だと思ってる。でも、成人してからこのままぬくぬくと、生きて行くのは違うと思う。だからずっと考えてた。ライも知ってるよね?」
「ん、ルーが何か自分に出来る事はないかと、考えていた事は、知ってる。それが医師になる事だと?」
「うん、医師と言っても、病気になった人達や、病気に不安になる人達のケアが出来る医師になりたいんだ。」
「・・・なるほど。確かに、ルーなら誰よりもその人達の気持ちがわかるかもな。優しいルーには適任かもな。」
「ありがとう!ライ。嬉しい!反対されるかも知れないと、思ってたから。」
「だが、ルー。医師になるには、生半可な気持ちでは無理だぞ?人の死を見る事がルーに出来るのか?」
「うん。それは何度も考えたよ。きっと辛く厳しいし、悲しい事だよね。実際にその場にいないと、分からない。けど、人は必ず死ぬ。ずっと生きる事は出来ない。それを受け入れないと、前には進めない。人の生死を司るのが医師だと思うんだよね。だから、その覚悟は出来てる。僕は、その死に向かって行く人や、死に抗う人達の心に寄り添う事が出来ればと思う。」
「そうか、そこまでの覚悟があるなら、俺はルーを応援するよ。」
「良かった。ライに応援してもらったら何でも出来そう。ありがとう。それでね?医師になる為の勉強をしたいんだけど、帝国に留学したいんだ。その為の試験を受けに来月には、帝国に行きたい。」
何?帝国に留学??
ルーが?
俺の側からいなくなる?
~っっ!
どう、どうすれば?
応援するって言ったけどーーー!
まさかの留学!!!
ち、ちょっと待て!
ゔぅーゔぅーー!
落ち着け!俺!
「んんっ!そ、そうか。留学か。ルー身体の方は、大丈夫なのか?無理してないか?」
「うん、無理しないよう気をつけてる。アンナ先生も、大丈夫って。」
「まぁ、それなら、大丈夫か。」
くそッ!
はっ!もしや、あの女の医師がルーを焚き付けたのか?
ああ、絶対そうだ!
間違いない。
許すまじ!
俺のルーを~!!
帝国になんぞやらないぞ!
はらわたが煮えそうになりながらも、ルーには、
「ルーの考えてる事は、分かったよ。留学の件も、まずは試験を受けに行くんだろう?」
「うん。」
「そうか、来月か。間に合うかな。」
「えっ?何が?」
「いや、俺も行こうかと。」
「はい?何でライが?」
「心配だしな。ルーは帝国に行った事ないだろう?」
「うん、でもアンナ先生も一緒に付いて行ってくれるから、大丈夫だよ?」
「なんだと?いや、俺も行くから。」
「えっと、ライが付いて来てくれるなら心強いけど、いいの?」
「ああ、任せろ。」
俺は、絶対にルーに付いて行く。
そう決めて、ルーと別れて兄貴の所へ向かう俺だった。
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