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ジョルジュの企み (媚薬)
1
ジョルジュは騎士団が所有する厩舎の陰から、馬房で馬のブラッシングをしている隊員の姿を見ていた。
あの異世界人に恥をかかされた腹いせに嗜虐趣味のヴァルストーレン公爵にあの者を引き渡したというのに、第一部隊隊長と近衛団団長に邪魔をされ、折角の計画が台無しになってしまった。しかも関与した疑いで枢機卿の地位を剥奪され、ただの神官となってしまった恨みは計り知れない。確かな証拠がなかった為、宮廷の神殿を追い出される事はなかったが、必ずやあの異世界人に目に物を見せてやらねば気が済まない。
ジョルジュはあれから莉人の身の周りの人間関係などをこっそり調べあげ、今馬房にいるあの男ライザーと食堂でいざこざを起こした事を突き止めた。そして、彼がこの時間馬房で馬の世話をしている事も。
馬房から出てきたライザーの前にジョルジュはスッと姿を現わした。彼に顔を見られないようフードは深く被ったままだが、羽織っているローブから神官である事は分かる。ライザーは突然の訪問者に少し身構えたが、相手が神官であると分かると背筋を伸ばした。まだ下っ端の隊員であるライザーより宮廷内に属する神官の方が位は上だからだ。
「これは神官殿、このような厩舎に何用ですか?」
「お主に用があってな····」
「·····私に·····ですか?」
ライザーは少し訝しく感じながら、訪ねた。
「お前もあの異世界人に恥をかかされたと耳にしてな。私もあの者には少々、腹を立てておってな···お主の力になれるやもと思って訪ねたわけだが···」
ジョルジュはライザーの耳元に顔を寄せ、
「奴に恥をかかせてやらんか?」
と囁いた。ライザーはそのジョルジュの甘い誘惑に興味をそそられ、思わず喉を鳴らし唾を飲み込む。
ジョルジュは袖から小さな小瓶を取り出し、ライザーの目の前に差し出した。透明の容器の中には液体が入っている。
受け取る事を躊躇しているライザーにジョルジュは更に耳打ちする。
「心配せずとも毒ではない。気持ちの良くなる薬だ。これを奴の飲み物にでも混ぜてやれ。皆の前で快楽に悶える様を晒してやれるぞ」
思わず想像したライザーは顔を赤らめた。
「し、しかし···飲み物に混ぜると言ってもどうやって····」
「よく珈琲を飲んでいるではないか、運んでやったらどうだ?」
ジョルジュはライザーの手に小瓶を握らせた。
「い···いや····」
まだ気持ちが揺らいでいるライザーの目の前にジョルジュは自分の手を翳した。掌には魔方陣が描かれている。魔法をかける相手に強い拒絶心がなく、単純な命令であれば、相手を意のままに操る事の出来る魔法だった。
魔方陣が青白い光を放つのを、ライザーは視線を外す事が出来ず見つめていた。
── 何も躊躇う事はない
私の言う通りに飲み物にコレを入れろ ──
ジョルジュの言葉が脳裏に深く刻まれていく。ライザーは無言でコクリと頷いた。
あの異世界人に恥をかかされた腹いせに嗜虐趣味のヴァルストーレン公爵にあの者を引き渡したというのに、第一部隊隊長と近衛団団長に邪魔をされ、折角の計画が台無しになってしまった。しかも関与した疑いで枢機卿の地位を剥奪され、ただの神官となってしまった恨みは計り知れない。確かな証拠がなかった為、宮廷の神殿を追い出される事はなかったが、必ずやあの異世界人に目に物を見せてやらねば気が済まない。
ジョルジュはあれから莉人の身の周りの人間関係などをこっそり調べあげ、今馬房にいるあの男ライザーと食堂でいざこざを起こした事を突き止めた。そして、彼がこの時間馬房で馬の世話をしている事も。
馬房から出てきたライザーの前にジョルジュはスッと姿を現わした。彼に顔を見られないようフードは深く被ったままだが、羽織っているローブから神官である事は分かる。ライザーは突然の訪問者に少し身構えたが、相手が神官であると分かると背筋を伸ばした。まだ下っ端の隊員であるライザーより宮廷内に属する神官の方が位は上だからだ。
「これは神官殿、このような厩舎に何用ですか?」
「お主に用があってな····」
「·····私に·····ですか?」
ライザーは少し訝しく感じながら、訪ねた。
「お前もあの異世界人に恥をかかされたと耳にしてな。私もあの者には少々、腹を立てておってな···お主の力になれるやもと思って訪ねたわけだが···」
ジョルジュはライザーの耳元に顔を寄せ、
「奴に恥をかかせてやらんか?」
と囁いた。ライザーはそのジョルジュの甘い誘惑に興味をそそられ、思わず喉を鳴らし唾を飲み込む。
ジョルジュは袖から小さな小瓶を取り出し、ライザーの目の前に差し出した。透明の容器の中には液体が入っている。
受け取る事を躊躇しているライザーにジョルジュは更に耳打ちする。
「心配せずとも毒ではない。気持ちの良くなる薬だ。これを奴の飲み物にでも混ぜてやれ。皆の前で快楽に悶える様を晒してやれるぞ」
思わず想像したライザーは顔を赤らめた。
「し、しかし···飲み物に混ぜると言ってもどうやって····」
「よく珈琲を飲んでいるではないか、運んでやったらどうだ?」
ジョルジュはライザーの手に小瓶を握らせた。
「い···いや····」
まだ気持ちが揺らいでいるライザーの目の前にジョルジュは自分の手を翳した。掌には魔方陣が描かれている。魔法をかける相手に強い拒絶心がなく、単純な命令であれば、相手を意のままに操る事の出来る魔法だった。
魔方陣が青白い光を放つのを、ライザーは視線を外す事が出来ず見つめていた。
── 何も躊躇う事はない
私の言う通りに飲み物にコレを入れろ ──
ジョルジュの言葉が脳裏に深く刻まれていく。ライザーは無言でコクリと頷いた。
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