NACHIGO～猫耳娘・菜苺の異世界アドベンチャー～

【第一章】猫耳娘・菜苺の冒険開幕

待つんだ

　シュリケは静かに怒りと闘志を露にしていた。


　「お前を倒して家族の仇を討つ！！師匠のことを思うとこんなことはしたくなかったがお前を倒して・・・！！」


　「私も協力するわ、シュリケ君！！」


　「ありがとう菜苺！！僕は必ずこの男を倒して・・・復讐を終わらせる！！」


　シュリケの怒りを覚った菜苺は彼に協力する姿勢を見せた。すると男は無神経な発言を連発する。


　「まあ、勝手に復讐でも何でもすればいいさ！どうせお前らは俺には勝てねえんだからよ！！」


　「やってみなきゃ分からないわよ！！」


　男の言葉に反応した菜苺は怒りを露にして、男に鋭い目線を向けた。


　「お前・・・ただのアマじゃねえな。どうやらこの時点で消す必要がありそうだ。」


　どうも男は何かを感じたのか菜苺を危険視しているようだ。だが菜苺の厳しい言葉が飛ぶ。


　「あなたは私を危険視する前にやるべきことがあるわ！！彼らの家族を殺したことを謝罪するべきよ！！」


　「何だとこの野郎！？俺に謝罪をしろだと！？ふざけるな！！俺は何も悪いことはしてねえ！！俺は常に自分の正義の道を歩む！！」


　「なにが『正義』よ！？人を殺すのが正義とかバカげているわ！！調子に乗るのも大概にしなさいよ！！」


　「こ、この野郎！？」


　怒りが増した男は気を高めて菜苺を斬りかかろうと彼女の元へと向かってくる。すると・・・


　「待つんだ・・・」


　「誰！？」


　「この声はまさか・・・！？」


　男を制止する声が聞こえ、男は止まるも菜苺は誰か疑問に思いヘンプーは覚えがあるのか顔を青くしていた。


　「ヘンプー、久しぶりだね。」


　「あ、あんたがどうしてここに・・・！！？」


　「いやいや、たまたま『夕媛ゆうひめ記録帳きろくちょう』を探していたらこの場所に来たというわけだ。」


　「うそだ・・・！！うそだ・・・！！」


　姿も表さない男性の声を聞いたヘンプーの様子がおかしいのだ。取り乱しては顔から汗が大量に流れているからだ。しかし【夕媛記録帳】とは一体何か？


　「ヘンプーさん？【夕媛記録帳】って何ですか？」


　「シュリケさん、それは私にも分からない。ただ、今私に話しかけている男は私にとって悪夢の歴史そのものだ！！」


　ヘンプーの言う悪夢・・の歴史・・そのものとはどういう意味なのだろうか。ヘンプー以外それを知る者はいない。ただ、シュリケの質問への回答ぶりからこの声の主の男はヘンプーにとって恐るべき存在であることは確実である。