15 / 54
②はじめての恋愛……だが……
唱子のバイオリン
しおりを挟む
拍手を受けて唱子はバイオリンの演奏を開始したのである。まずはテンポのゆっくりな曲を演奏していたが……
「秀ちゃん、今は準備運動よ。今から本番よ……」
すると唱子は力強い演奏をはじめたのである。曲名は『オクラホマ・ミキサー』だ。この曲は戦後、長崎から日本全国に広まった曲である。その演奏する唱子の姿を見た秀太はすぐに直感したのである。
「(唱子ちゃん……この曲に思い入れがあるみたいやな……)」
推薦した二人もこの演奏を予想していたかのような顔で唱子の演奏を楽しんでいたのである。それまでマジックショーやトークショー中にもちょっとしたポジティブな野次みたいなのはあったが唱子の演奏には誰一人言葉を発しなかったのである。
そして曲は『藁の中の七面鳥』の演奏に入る。フォークダンスで有名な曲であるが、この部分に唱子はさらに力を入れて演奏したのである。聞いていて学生時代にフォークダンスをしていた記憶を思い出したのか皆が感慨にふけるような表情であった。勿論秀太も……
「(あの時……好きな子と一緒にダンスしたこと忘れられねえな……)」
自分もこのあと一発芸披露が控えているのを忘れているのか曲を聞きながら想い出を呼び起こしていたのである。気がつけば演奏は終わり、客席から拍手が沸き起こる。
「懐かしい想い出をありがとう!」
「もう一回やってくれ!アンコール!」
“アンコール!!”
“アンコール!!”
“アンコール!!”
アンコールの希望の声が大きかったのである。しかし秀太は唱子はアンコールに応えないかもしれないと思っていたのか何をしようか考えていたのであった。すると……
「もう一度演奏をしてもよろしいでしょうか?」
「ええ、構いませんが。」
唱子は司会者に再演奏をしてもいいか確認をとったのであった。その許可を得ると再び『オクラホマミキサー』の演奏をしたのであった。そして秀太は唱子の言葉が聞こえたのかマイクを彼女の顔の近くに持ってきたのである。
「みなさん!私は南唱子と申します!!私はこれまで色々な経験をしながらここまで生きてきました!!もう嫌なことばかりで頭が痛くなる時もありました!!ですが、小さいときにこの曲を聞き、感動しました。それからは辛いときはこの曲を聞いています。聞くだけで気持ちが高まるほどの曲です!!みなさんもこの曲に思い入れがあればじっくり聞いて記憶を思い出してください。思い入れがない方も聞いて下さい!!」
力強く訴える唱子の口調は何かの思いが込められているとマイクをあてながら秀太は感じたのである。そして再び演奏が終わるとさっきより大きな拍手が沸き起こったのである。秀太は演奏のすごさに感動したきりで自分の一発芸のことを完全に忘れていたのであった。
「唱子ちゃん……バイオリンが弾けたんだね……!!」
「ええ、小さい頃はバイオリンを学んでいまして最近でもまた教室に通っているのですよ。」
「そうなんか……だからプロみたいな上手さだね。」
「いや……そこまでは……あと、秀ちゃんの一発芸はどんなことするの?」
「………………!?」
秀太は完全に忘れていたためか急に焦り始めたのである。
「(どうしよう……何をすれば良いんだろ…………)」
困ってしまった秀太は頭を抱えてしゃがみこんでしまったのであった。彼は本当に何も出来ないのか本当に困っているのだ……
「秀ちゃん、今は準備運動よ。今から本番よ……」
すると唱子は力強い演奏をはじめたのである。曲名は『オクラホマ・ミキサー』だ。この曲は戦後、長崎から日本全国に広まった曲である。その演奏する唱子の姿を見た秀太はすぐに直感したのである。
「(唱子ちゃん……この曲に思い入れがあるみたいやな……)」
推薦した二人もこの演奏を予想していたかのような顔で唱子の演奏を楽しんでいたのである。それまでマジックショーやトークショー中にもちょっとしたポジティブな野次みたいなのはあったが唱子の演奏には誰一人言葉を発しなかったのである。
そして曲は『藁の中の七面鳥』の演奏に入る。フォークダンスで有名な曲であるが、この部分に唱子はさらに力を入れて演奏したのである。聞いていて学生時代にフォークダンスをしていた記憶を思い出したのか皆が感慨にふけるような表情であった。勿論秀太も……
「(あの時……好きな子と一緒にダンスしたこと忘れられねえな……)」
自分もこのあと一発芸披露が控えているのを忘れているのか曲を聞きながら想い出を呼び起こしていたのである。気がつけば演奏は終わり、客席から拍手が沸き起こる。
「懐かしい想い出をありがとう!」
「もう一回やってくれ!アンコール!」
“アンコール!!”
“アンコール!!”
“アンコール!!”
アンコールの希望の声が大きかったのである。しかし秀太は唱子はアンコールに応えないかもしれないと思っていたのか何をしようか考えていたのであった。すると……
「もう一度演奏をしてもよろしいでしょうか?」
「ええ、構いませんが。」
唱子は司会者に再演奏をしてもいいか確認をとったのであった。その許可を得ると再び『オクラホマミキサー』の演奏をしたのであった。そして秀太は唱子の言葉が聞こえたのかマイクを彼女の顔の近くに持ってきたのである。
「みなさん!私は南唱子と申します!!私はこれまで色々な経験をしながらここまで生きてきました!!もう嫌なことばかりで頭が痛くなる時もありました!!ですが、小さいときにこの曲を聞き、感動しました。それからは辛いときはこの曲を聞いています。聞くだけで気持ちが高まるほどの曲です!!みなさんもこの曲に思い入れがあればじっくり聞いて記憶を思い出してください。思い入れがない方も聞いて下さい!!」
力強く訴える唱子の口調は何かの思いが込められているとマイクをあてながら秀太は感じたのである。そして再び演奏が終わるとさっきより大きな拍手が沸き起こったのである。秀太は演奏のすごさに感動したきりで自分の一発芸のことを完全に忘れていたのであった。
「唱子ちゃん……バイオリンが弾けたんだね……!!」
「ええ、小さい頃はバイオリンを学んでいまして最近でもまた教室に通っているのですよ。」
「そうなんか……だからプロみたいな上手さだね。」
「いや……そこまでは……あと、秀ちゃんの一発芸はどんなことするの?」
「………………!?」
秀太は完全に忘れていたためか急に焦り始めたのである。
「(どうしよう……何をすれば良いんだろ…………)」
困ってしまった秀太は頭を抱えてしゃがみこんでしまったのであった。彼は本当に何も出来ないのか本当に困っているのだ……
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
なお、スピンオフもございます。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる