ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第3章・若さを保つ食材

畑へ行く前に②

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朝7時頃、食堂に全員が集まった。テーマは勿論『山の頂きにどうやって行くべきか』であった。

直露の家族もヒナも真剣な顔つきをしており、ここから話し合いが始まるのであった。しかし、ある問題に直面してしまうのであった。

「実を言えばこの山の頂きに行く方法についてだが、僕達の先祖は確かに頂きに行ったんだけど僕ら近代の親族は誰も行っていないということだよ……」

直露の発言からここ最近の世代は誰も山にすら入っていないと言う。理由として直露の父親が詳しく説明したのである。

「最近の世代の我々が山に行かないのは行く気がないからではなく、山に住む怪物達が近年凶暴化しており先日も山に入った人が殺されていたという話を聞いた。“安全が保障できない”から誰も山に行くことをおすすめはしていないのだ。」

彼はさらに他の理由も語る。

「あと山の中には人食植物や危険な罠がたくさんあると聞いている。これらを回避することができないと間違いなく頂上に辿り着くまでに命がたくさんあっても足りない。」

話を聞いたヒナは表情が強ばっていた。これだけ危険だとは思わなかっただけにさすがに話を聞くだけでも強い恐怖心とそれでも頂きへ行きたい好奇心が複雑に絡み合うのだから強ばるのも仕方ない。だがそこでヒナはある質問をした。

「ところで頂上には何があるのですか?」

すると直露の母がそれに答えたのだ。

「頂上にあるのは畑だけではないですよ。私の父の先祖も頂上へ行くのに成功したようでして、その時のことを日記に記していたそうです。」

「頂上から眺める景色はなかなか美しく、空気がとても綺麗といいます。さらに噴火口の周囲には木が生えているそうでその木に実る果実は若返るものではありませんが、かなり絶品の味だそうです。他にも詳細こそは記されてはいませんでしたが現実離れの素晴らしいものがたくさんある場所と記されていました。」

ヒナは話を聞き、決意をしたのである。さっきまでの強ばっていた表情はどこかへ消えたのかとても目を輝かせていたのである。

しかし直露は少し溜め息を吐いた後、ヒナを見つめると少し呆れたような顔をしながら彼女に注意をしたのである。

「君は頂きに何かがあると聞くとすぐにリスクを忘れて目を輝かせているけど素晴らしいオアシスに行くまでの道が前途多難というのを忘れてはいけないんだよ。下手したら君の命にも関わることだから甘く考えては駄目だよ!」

するとヒナは我に返ったような顔をして直露に謝ったのである。

「ごめんなさい!ちょっと行きたいという思いが強くなってしまって……」

直露も突然謝られたためかさすがにこれ以上強くは言えなかった。むしろ好奇心が強いだけで危険のことなどを本当はちゃんと理解しているのだなと思ったりもした。

だが、どうやって行くべきか。朝の9時になったが誰からもどうやって行くのかという意見が全く出ないままであった。さすがのヒナも諦めようと思い始めていた時であった。

「あ、あの人ならいい道具用意してくれるかもしれないよ。」

直露の夫人が直露に知人の紹介をしたのである。彼は少し渋るも知人に頼むことを決意する。

「彼の技術は変な方向に向かっているから決して旅のお供に強くはおすすめできないが危険の回避のためには彼の道具も必要かもしれない。」

そう言うと直露は携帯電話である人物に連絡をとったのである。電話を切った彼の表情は謎の自信に満ちた顔をしていたのである。
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