ヒナの国造り

市川 雄一郎

文字の大きさ
6 / 762
第3章・若さを保つ食材

畑へ行く前に③

しおりを挟む
直露が電話を掛けてから10分後、謎のケータリングのような車がやってきた。車内をよく見ると見たこともないような機械や工具などがたくさんあり、怪しさがただよっていた。すると車のドアが開き、運転席から少し痩せた体格の男性が降りてきた。

「こんにちは直露くん!」

「紹介するね、この人は尾張晴偉(おわり・はるたけ)さん!色んな物を作る発明家の人だよ!」

「今日は何を作るの?」

「この子の山登りの……あ!」

どうやら直露はヒナの名前を知らなかったことに尾張とのやり取りで気づいたようだ。

「君、名前は何かな……突然ごめんだけど。」

「私こそ紹介してなくてごめんなさい!私は猫屋敷日奈凛(ねこやしき・ひなりん)です!幼なじみからは“ヒナ”と呼ばれています!」

「ヒナちゃん……でいいんだね?このヒナちゃんの山登りの道具をお願いしたいと思ってね。いけるかな?」

名前を確認した直露は尾張に山登りに必要な道具を注文すると意外な回答が出たのである。

「いいよ!だけど本当に安全な道具を作るためには“オーシャン・エメラルド”という石が必要なんだ。この石は満潮のときにここの海岸の近くの洞窟に現れるという不思議な石なんだ。」

直露は石のことを知らなかったのか慌て始めた。

「俺、そんな石のこと知らないよ!そもそも次の満潮はいつなのさ?」

「石のことはあまり知らない人の方が多いよ。気にしなくても良いよ。あと満潮は明日の夜辺りがそうだと聞いているからその時に洞窟へ行けば何か分かるよ。」

尾張が色々語ると直露は首をかしげながらヒナにその“オーシャン・エメラルド”とやらを取りに行くか聞いたのである。

「ヒナちゃん、どうする?石があれば安全な道具が作れるというだけでなくても作れるには作れるということだよ。」

するとヒナは即答した。

「洞窟に入っていいの?昨日入り口を見つけたときから入りたくてウズウズしていたの!もちろんそのなんとかエメラルドとかいうのも探しに行きたいな!!」

笑顔のヒナに直露はやれやれと思いながらも苦笑いするしかなかったのであった。だがヒナが笑った際に空を見ると赤い雲が集まっていたのである。

「ん?赤い雲が……?」

ヒナの言葉で赤い雲を見た直露と尾張は恐ろしい表情に変わった。ヒナは二人の様子を見て少し怖がってしまったのである。直露は怖がるヒナに寄り添い赤い雲の説明を始めたのだ。

「あの赤い雲が空に集まると何か恐ろしいことが起きるんだ。何があるかは分からないけど油断は禁物だよ!」

どうもブルーサイド周辺では赤い雲が発生すると恐ろしいことが発生するという言い伝えがあるのだ。ここ近年では見られなかったが、100年近く前まではこの赤い雲は時々発生していたという。

「これは大変。僕も赤い雲は見たことないから何とも言えないけどあの雲が発生してしまったからには本当に気を付けて行動しなくちゃいけないよ。洞窟に行くときは必ず連絡に使える道具とかが必要になるから僕の古い携帯電話を貸しておくね。」

ヒナは直露から携帯電話を渡されたが、それは携帯電話というより小さなパソコンみたいなものであった。スマートフォンとも少し違うタイプに異世界の技術の特殊さをヒナは実感したのである。

「山登りのために色々しなくちゃいけないこともあるけど僕らもサポートするから気を付けてね!」

ヒナは力強く頷いた。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

安全第一異世界生活

ファンタジー
異世界に転移させられた 麻生 要(幼児になった3人の孫を持つ婆ちゃん) 新たな世界で新たな家族を得て、出会った優しい人・癖の強い人・腹黒と色々な人に気にかけられて婆ちゃん節を炸裂させながら安全重視の異世界冒険生活目指します!!

半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜

侑子
恋愛
 小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。  父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。  まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。  クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。  その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……? ※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する

ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。 きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。 私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。 この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない? 私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?! 映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。 設定はゆるいです

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

処理中です...