ヒナの国造り

第３章・若さを保つ食材

オーシャン・エメラルドを手に入れろ！①

満潮の前日、ヒナは旅館で改めて直露と話し合いをしていたのであった。何せ“オーシャン・エメラルド”という石を手に入れなければ良い道具が得られないばかりか“赤い雲”が空にかかったという不吉な前兆が起きていたからであった。

「本当にややこしいことになってしまったな。もしあれなら登山は別の機会にしないか？」

さすがに直露もややこしくなってきたのか登山を一旦やめるようヒナに持ち掛けたのであった。しかしヒナは直露に少し苛立ち始めたのである。

「何でそれだけのことでチャレンジをやめなくちゃいけないわけ？私は山頂に行きたいから洞窟にだっていくし、今まで辛いことばかりだったから今さら不吉の前兆とか怖くないよ！！私は必ず山頂に行くから！！」

熱い思いを込めたヒナの言葉に直露は謝った。

「そうか、ごめんな。何でも挑戦したいよね……僕も力になれたら協力したい！！」

直露が助太刀を希望するとヒナは再び笑顔に戻ったのである。

「ありがとう！その時はよろしくね！」

そして夜は明けて満潮当日を迎えた。

この日のヒナは旅館の料理作りや店内の掃除を手伝いながら夜を待った。ちなみになぜ手伝いをしているのかというと宿泊代が無くなったので働く代わりに泊めてもらっていたのであった。

そして夜になった……

満潮を迎えるであろう海の近くにある洞窟の穴の前にやって来たヒナと直露はその時を二人で待つことにしたのである。

海を眺めると潮が上がるどころか普通の海面に「今日ではないのでは？」と二人は疑問を抱き始めたのである。

しかし数十分すると潮が高くなりはじめ、満潮となったのである。

「いよいよだな！」

直露が言うとヒナは大きく頷いて洞窟の中へと向かう。そのヒナに直露は安全のためにと小刀を渡した。ヒナは受けとると洞窟の中へと入っていったのである。

洞窟に入ると持っていた懐中電灯を点けると中には何もなく道が続いていくのみである。すると５分くらい歩いた辺りから謎のレールを見つけたのである。

「トロッコのレールなのかな？」

ヒナはレールがある事に疑問を覚えながらもそのレールの上を歩いて進んでいく。レールは時々欠けていたりしておりどうやら今は使われていないレールというのが分かった。

「このレール……今はどうやら使われていないわね。でもこのレールがオーシャン・エメラルドの在処を示すヒントになっているのは間違いないわ！」

ヒナはこのレールが目的に関わっていると感じたのか自信をもってレールに沿って歩いていったのである。

そして１０分後、レールが無くなっており再び普通の道になっていた。しかし分かれ道など複雑なものはないのでそのまま進んでいくのであった。

ところが歩いていくと行き止まりとなってしまっておりヒナは絶望感に襲われた。せっかく歩いたのに行き止まりとは……まさかの展開である。

「もうダメかな……諦めるしかないわね。もしエメラルドの在処に行けるなら行きたいけど……」

ヒナが悔しさのあまり行き止まりの壁に拳をついぶつけてしまった。手を痛めてもがくヒナだったが痛みが落ち着いて帰ろうとしたら行き止まりの壁から謎の番号入力式のボタンが現れた。

オートロックのマンションのインターホンみたいなタイプでここに番号を入力するのである。しかしヒナは番号を知らないのである。

「番号……聞いてない。」

しかし意外なところに道を開く記号はあった。だがそれは携帯電話ではない。

「あれ、懐中電灯の裏になにか数字が書いている……？」

ヒナが見つけたのは懐中電灯に書かれている謎の番号であった。少し滲んだ文字であったが幸いヒナは解読できたのである。