ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第3章・若さを保つ食材

頂上、そして国造りの始まり

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ヒナは頂上に到着した。そこには美しい草原が広がり、崖に柵がないのは危ないが下を眺めると村が見える。そして綺麗な花が咲き、小鳥のさえずりが聞こえる。この平和な場所にヒナはやって来たのである。

「ここは本当にあの山道を越えた先なのかな?気持ちが良くなれる良い場所ね……」

すこし気持ち良さそうな顔をしたヒナは火口を目指して歩いていく。トイレ休憩をしたいなと思っていたヒナの目の前に小さな休憩小屋があった。そこでトイレを借りると小屋の中の自動販売機でジュースを買って少し休憩を兼ねて飲んでから再び火口を目指したのだ。

するとサングラスで道を見ると至るところに赤く染まる部分がある。どうやら火口は近いようだ。赤い部分を避けて火口方面へと歩いた。

歩いて数分後には火口に到着した。火口の中にはマグマが煮えたぎっており、熱さが伝わってきた。初めて見る火口にヒナは少しマグマの赤色が美しく感じたようだ。そして美味な果実のなる木を探すと少し大きな木を発見した。

「大きな木だね!」

するとその木からヒナの頭の上に何か柔らかい丸いものが落ちたのである。

「いたっ!何これ?」

見ると小さなイチジクみたいな実であった。先程イチジクみたいなのに食べられたから少しヒナはびびっていた。

「えーい、食べちゃえ!」

一口でその実をペロリと食べたヒナだったが、突然ヒナの顔が今までにない笑顔になったのである。

「甘いけどすごく優しい味わいがするの。それに水気が口の中に広がると心がスーッとする……気持ちが優しくなれるわ。美味というのは美味しい意味だけじゃなくて美しい気持ちに、心になれるという意味なのかもしれない……!!」

あまりの美味しさにヒナは心が癒されてきた……戦いやトラップへの警戒心などで大分尖っていた心が丸く穏やかになったのだ。これも地獄の山道を越えたものだけのごほうびか……持って帰ろうとしたが実に身体が届かないため、食べた実の中にあった種を持ち帰ることにしたのであった。するとまた落ちてきたのでこれも食べて種を自分のポシェットの中に入れておいたヒナであった。

火口からまだ坂道を少し進むととあるフラッグを発見した。そのフラッグには『この先頂上です』と書かれていたのである。

「この先が伝説の畑なのね……!!」

そして歩いていくと何か大きな畑を発見した。それは紛れもなく話に聞いていた大きな畑であった。そこには白いキャベツのような物が育てられており、これが“若さを保つ果実だなとヒナは確信したのである”!

実を一つもらいたいが土地主らしき人はいない。勝手にもらっていいのかなとヒナは思ったのである。
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