ヒナの国造り

市川 雄一郎

文字の大きさ
47 / 762
第5章・地獄の懸垂と古代都市の復活阻止と成分の正体

地獄の懸垂ダービー⑤

しおりを挟む
直露の目から流れ落ちるものがあった……というのも彼はヒナが来る前から行方不明者の捜索に力を注いでいたからである。ヒナと行動していた理由のひとつに行方不明になった人々が見つかるかもしれないというのがあったからだ。

ヒナが直露の前に現れる1年前には当時の捜索活動の仲間であった男性がいた。彼は直露を弟のように可愛がっており、直露も彼と一緒に捜索活動すると一人で捜索活動する日より心強いと周りに言うほど大切な存在であった。

しかし、その男性は突然小屋の近くの道で一瞬の離れた隙に行方不明になってしまっていて現在も見つからないという。

「お前、あの捜索活動していた人はどこへ行ったんだよ!?」

「ああ、あの男か。あれは確かこの前ゲームで敗れたはずだぜ……!!正義感ぶって俺の嫌いなタイプの人間だったからいなくなって良かったぜ。」

直露の顔は青くなった。あの仲間の男性はゲームで敗れた……すなわち死を表していたからだ。直露は崩れ落ちて表情はかたまってしまい人形のようになってしまったのである。

「けっ!正義感ぶって都合が悪くなれば無表情か……!!バカバカしい……ぐっ!!」

小屋の男性を取り押さえていた直露の父親は突然彼の首を腕で締めはじめたのである。無理もない。直露の仲間の男性と直露の父親も面識があったからだ。

「あの子はお前らが死なせたのか!!?許さんぞ!!」

「ぐ……ぐ……や~め……」

直摩が父を制止した。

「父さん!ダメですよ。二人の気持ちは痛いほど分かりますがこいつを殺してしまうのはよくないです。まずヒナちゃんたちがどこにいるのか聞き出さないといけませんよ!!」

「すまんかった……あの子の暖かい顔を思い出す度に怒りが収まらなくなっていた……どこにヒナちゃんをやったか教えろっ!!」

「誰かしらんけどゲーム会場は小屋の奥の扉から下に行けるからそこから行ってくれ!!俺はまだ死にたくないっ!!」

「人の命を奪って“自分は死にたくない”とか自分勝手きわまりない。あなたにはそれなりの後締めが必要ですね……」

「く……!!?」

小屋に入った直露、直摩、父、男性、渋鞍は階段を降りて先へと進んだのである。洞窟はなにやら薄暗さはあったものの崖の下辺りから何かの熱さからか明るく感じられるような状態であった。

「この洞窟はミニホットスポットなだけあるな。」

「ええ、確かに熱いですけど何か明るく感じられますね。」

「…………」

「(兄さん……いつもの表情じゃない。やはりあの人の……)」

そして5人はついにある大きな扉の前にやって来たのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

自由を愛する妖精姫と、番にすべてを捧げた竜人王子〜すれ違いと絆の先に、恋を知る〜

来栖れいな
ファンタジー
妖精女王と精霊王の間に生まれた特別な存在――セレスティア。 自由を愛し、気ままに生きる彼女のもとに現れたのは、竜人族の王子・サイファルト。 「お前は俺の番だ」 番という名の誓いにすべてを捧げた彼は、王族の地位も未来も捨てて森に現れた。 一方のセレスティアは、まだ“番”の意味すら知らない。 執着と守護。すれ違いと絆。 ――これは、ひとりの妖精姫が“特別”に気づいていく物語。 甘さ控えめ、でも確かに溺愛。 異種族の距離を越えて紡がれる、成長と守護のファンタジー。

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

廃城の泣き虫アデリー

今野綾
ファンタジー
領主の娘だったアデリーはある日家族を殺され育った領地から命からがら逃げ出した。辿り着いた先は廃城。ひとり、ふたりと住人が増える中、問題が次々とおこって… 表紙はフリー素材です

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

処理中です...