ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第5章・地獄の懸垂と古代都市の復活阻止と成分の正体

地獄の懸垂ダービー④

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直露達の元に現れたのはある青年であった。彼はドーリン地区の副区長の息子である渋鞍巧嶺(しぶくら・たくみね)と名乗った。

「みなさん、この小屋に何らかの用事が?」

「ええ、行方不明になった友人を探しにここまで来まして……」

「そうですか。僕はこの地区の副区長の息子である渋鞍巧嶺と言います。はじめまして!」

「こちらこそはじめまして。僕は日紙直露で二人は僕の父と弟です。」

「実はこの小屋ではとんでもないことが行われているのです!!」

「とんでもないこと?」

「この小屋はちょうどミニホットスポットと呼ばれる小型の火口の真上にある場所なのです。この辺は少し暑いでしょ?」

「言われてみれば暑いと言えばそうだが……」

「話はかわりますが実はこの小屋である恐ろしいゲームが行われているのです。」

「恐ろしいゲーム?」

「はい、このゲームは懸垂ダービーと呼ばれているゲームです。」

「懸垂のどこが恐ろしいの?」

「最後まで落ちなかったら勝ちなのは普通なのですが転落したら崖のしたまでまっ逆さまです……」

「!!?」

あまりにも衝撃な内容だった。転落したら命を落とす危険なゲーム……こんなゲームがここで行われていたとはと直露は思ったが渋鞍の口からさらにえげつない事実を聞かされた。

「行方不明になった方々の大体は恐らくそのまま命を落としているでしょう。“あの悪魔のような男”の金稼ぎのだしにされて……」

「う……そ……だろ!!?」

今まで行方不明になった人の大多数は命を落とした……この受け入れがたい現実に直露の顔は強ばっていた。

「まだこれからもこのゲームはやめる気はないでしょう。このままあの男を放置すると間違いなくドーリン地区の人間はたくさんいなくなるはずです。」

「わかった……その男を捕まえて見せます!!」

「チャンスはこの時間の前後に一度外に出てくるはずなのでその時に捕まえてください!!」

その頃、小屋の男性は自室でタバコを吹かしていたがそろそろタバコが切れたので小屋から少し離れた場所にある雑貨店にタバコを買いにいこうとして外に出てきたときであった。

すると今までにない強烈な怒りを出していた直露が駆け付けて男性の左頬をパンチしたのである!!

“ボカッッ!!”

「!!?」

「てめえ!!話は聞いたぞ!!金儲けのために人の命を軽んじているらしいな!!お前のようなやつはこの一発だけでは許せない!!」

すると直露を背後から直摩が制止して渋鞍と直露の父が男性を取り押さえた。しかし男性は捕まっているのにニヤニヤしていたのである。

「あのな……金儲けとか何がいけないの?金がなければ人生やってられないじゃん。後ね結局は自分が一番大事なんだよ……他人の命とかどうでもいいよね。」

「てめえ!!!!」

「兄貴、抑えて!!」

男性の一言一言に直露の正義感溢れる怒りは収まらなかった。直露は怒りの表情ながら少し涙を浮かべていた……
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