ヒナの国造り

第５章・地獄の懸垂と古代都市の復活阻止と成分の正体

ヒナ・直露対直伸⑤

二人の信頼を頂いた直露は前向きさを出しはじめたのである。

一方、直伸はなぜかドーリンの村の中にいた。彼はかなり苛ついているようすだが、二人(二上達)が帰ってこないので当然なのかもしれない。

「あいつら、まだか！！」

苛立ちを隠せない直伸は支援者に当たりはじめたのである。しょっちゅうキレるのだが支援者にとってはたまらないことである。支援者に向かってペットボトルを投げ飛ばしたりするのであったが当たりかけた支援者の一人がついにぶちギレたのである。

「あんたねえ！！いつも俺らにあたって何考えてるの！？いい加減にしろよコラア！！！俺らはあんたを支えているのにその態度は気にくわない！！“あの人”に報告する！！」

すると直伸は顔色を変えて全員に謝罪したのである。

「申し訳ない……これからは気を付けるから……ちょっと“あの人”にだけは…………」

あれだけ強気の直伸が“あの人”の存在をちらつかせただけでかなり怯えているので相当な権力者と思われる。

「(え……怖がってる？一体どんな人だろう……)」

支援者の一人が呟いた。直伸が恐れるのだからそれなりの人物と大体が分かっているようだ。すると直伸はある男性に電話をかけたのである。

「ちょっと二人が帰ってこない。どうすればいいか……」

直伸は誰かのアドバイスを受けたようだ。

「ええ、それは有り難い。まだ移動しませんので少しお待ちします。」

そして一時間後、ある作業服姿の二人の男性が現れたのである。

「はじめまして直伸さん！僕は辛井名隆昌(からいな・たかまさ)といいます。僕の右横(直伸から見て左横)のやつは条束英(じょうたば・すぐる)といいます。僕と条束で直伸さんのお手伝いをさせていただきます。」

どうやら直伸は知人に助けを依頼したようでその知人を通じて二人を呼んだようである。爽やかな雰囲気の辛井名と少し無精ひげがあるダンディーな条束の二人からはとあるオーラが醸し出されていた。

「むむっ、部外者か？」

条束は村の空き家に向かって手からレーザービームを出して飛ばしたのである。空き家は少し崩壊し、中には当然誰もいなかった。

「誰だ！！空き家を破壊したのは！！？」

空き家の近くで畑作業をしていた農業・光山フィオーレコフという老年の男性が激怒したので条束は再び彼に向かってレーザーを食らわせたのである。

一方、ヒナと直露組は選挙活動中だった。光山と東に会えただけではなく鏑木が自分のために色々してくれたことに感動しまくり、嬉し涙を隠せなかったのだ。