ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第5章・地獄の懸垂と古代都市の復活阻止と成分の正体

当日の朝①

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選挙投票日の朝、食堂に集まる直露軍団。ヒナも雪も早起きをして食堂に来ていた。直露は意気込みを語った。

「みなさんおはようございます。本日ついに投票の日を迎えました。今日で一週間近い活動の成果がどのようなものか分かります。皆様方にはこの一週間協力してくださったことを心より感謝しています。ありがとうございました!!」

直露の意気込みを聞いた全員は拍手をしたのである。この日はヒナも外出はしないつもりである。

「雪ちゃん、今日で結果は出るわよ。だから楽しみだね!!」

「ヒナさん、大事な選挙だから『楽しみ』という表現は不適切ですよ。」

「ごめんね!そこまで考えてなかった!!」

「いやいや、雪ちゃん。俺としては『楽しみ』だよ!!テレビで自分の批判を見るのも自分がどのように報じられてるのか見るのも一つの“楽しみ”だからね!!」

雪の指摘に直露が反応した。たしかに『楽しみ』と表現するにはなにか違う気もするが当事者が楽しみならば楽しみなのかもしれない。ヒナは色々な意見を聞くのも少しずつ楽しくなってきたようだ。

議席は45で出馬者は80人(内、日紙直伸はリタイアしたため79人)だから可能性は55%くらいである。ヒナは一週間の活動が実ってほしいと願っていた。

昼過ぎに玄関の扉を叩く音がしたので民宿に誰かがやって来たのである。ヒナが対応すると別の候補者を支援する兄弟であった。二人とも爽やかな感じで温厚な人柄に見えた。

「こんにちは、僕は五堂橋大機(ごどうばし・だいき)です。隣にいるのが弟の将生(しょうき)です。」

「どうも、五堂橋将生です!」

「どうも、はじめまして!」

「実は僕達選挙活動で回ってまして今日よければ水風武臣(すいふう・たけおみ)候補に投票してほしく思いました。よければよろしくお願いします!!」

「すみません……玄関の横の壁のポスターを見てください。」

「…………失礼しました……」

突然二人はやつれた顔をして帰っていったのである。ヒナはなんだったのかと思いながらもまた旅館の手伝いに専念するのであった。するとまた来訪者らしき人が旅館の扉を叩く。

「(また勧誘かしら……?)」

扉を開けると背広の男性がいた。よく顔を見ると見たことある人である。すると扉を叩く音に気付いてやって来た直露が笑顔を見せた。

「こんにちは!お疲れ様です!ヒナちゃん、選挙活動初日に来ていた義喜野久孝さん!!」

「あ、同じグループの方ですね!お久しぶりです!!」

どうやら訪問したのは同じ立候補者の義喜野久孝であった。彼は直露のことを心配してやって来たようである。ヒナと直露は彼を居間へと迎えたのである。
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