ヒナの国造り

第６章・ヒナの旅立ち

迷路の都会・ラビリンシングタウン②

ヒナはオフィスに着くと早速サトキにとある質問をした。

「この都会の街は迷いますね……」

するとサトキはそれに対して回答したのである。

「ここは『ドラスパステーション』と呼ばれていた街だったけどいつの間にか迷いやすい構造に発展しちゃって人々からは『ラビリンシングタウン(迷宮化の進む街)』と呼ばれるようになったよ。」

「ふーん、なんでそういう構造になったのでしょうね？」

「あのさ……」

「はい？」

「敬語やめてくれる？これじゃあ親しく会話できないじゃないか。気をつかわなくていいから肩の息を抜いて……ね！」

「え……分かったわ！」

敬語をやめたヒナにサトキは心を許したのか気持ち良い雰囲気で喋り始めたのである。

「僕は…………いや、俺はここで警備隊を長らく勤めながらこのオフィスで色々なことをしているんだよ。」

「フフフ……」

ヒナは口の下に手を当ててニコニコしていた。

「何がおかしい？」

「違うわよ。急に『僕』から『俺』に変えたのが可愛らしくてね。」

「バカな……俺は寝言なぞ聞かないからな。」

ヒナの言葉に反応したサトキは顔が赤くなっていたが、なぜかツンデレ的な反応をしたのである。

「サトキさんってなぜか可愛らしい顔をしてるよね。」

「ちょ！！話は終わってないぞぉ！！！俺がオフィスで何しているか話をするよ！！」

明かに顔は真っ赤になりつつあるサトキだったが話を戻してしまった。

「それで、オフィスで何しているの？」

「よくぞ聞いてくれました！！最近、地方を中心に猛獣が多く発生しているとのことから危険な地域の調査をして、それをネットで流したり書籍にして情報を広めているのだっっ！！」

「立派ね！！」

「母親が言いそうなセリフを言うなよ！！」

自信満々に語るサトキもヒナの言葉に頬を赤らめながらも話を進めた。彼は警備の仕事の間柄に人々の安全のために活動を続けていたのだ。

「あ、ヒナちゃんは日紙直露さんを知っているな？」

「はい、一緒に選挙の活動を……」

「そうかいそうかい！！それは良いね！！俺はあの人と元々同僚で優しい先輩だったよ。それで俺はドーリン出身だから彼に投票した。このオフィス周辺に友人は何人かいるけどみんなあの人を支持していたよ。」

「そうなのね……嬉しいわ。」

「元同僚の俺と選挙の活動をした君と出会うなんて本当に偶然だ。偶然過ぎて嬉しいよ！！」

確かに偶然とはいえ、直露と関わりのある二人が出会うのには不思議な縁を感じさせる。そしてヒナは何かを聞こうとしたのである。

「あのー、この街に電車の駅は……」

「ヒナさーん、迎えに来ましたよ！！！」

「誰だ？」

ヒナが後ろを振り向くとなぜか雪がいたのだ。どうやら早い段階で村から出てきた……と思いきや。

「誰ってサトキさん！！私だよ、雪だよ！！」

「雪ちゃん、今日も新しい『猛獣注意エリアガイド』を買いに来てくれたんだね！！ごめんね、彼女と話していて声を忘れていたよ。」

サトキは苦笑いしていたが雪は少し不満そうな顔をしていた。

「雪ちゃんも知り合い？」

「うん！！私もサトキさんとは知り合いですよ。今は両親とそばにいるからまだ村から出れないけど近いうちにヒナさんの元へ行きますよ！！」

「二人とも知り合いなんだ。やはり不思議な縁だねえ～」

サトキの『不思議な縁』という言葉に二人は笑顔で頷いた。縁があるからこそ素敵な出会いがあるということをサトキは知っているし、ヒナと雪はそれを実感しつつあったのだ。