179 / 762
第9章・世界の歪み
大洪水を止めるぞ①
しおりを挟む
ヒナは似非雨雲の方を向いて両手を前に伸ばして気をいれる。
「………………」
凍らせるための気力を出そうとするが雨雲が大きすぎるからかなかなか凍りつく気配はない。疲労が現れたヒナはなんとかこらえながら気を入れ続けたのである。
「なんとか……凍って……!!」
しかしなかなか凍る気配がなく、ヒナの体力がどんどん減っていく一方であった。だけど諦めれば洪水で全世界が沈むと思うと今は我慢していくしかない!!
「凍って!!凍って!!」
すると少しずつ雲が固まっているように感じたのである。どうやら凍りつつあるようだ。しかし体力はかなり減ってきており、全てを凍らせることが出来るかどうか難しくなってきた。
「誰も死なせたくない!!どの町も水に沈んでほしくない!!」
ヒナは強く声を出し続けた。人々のためなら死んでも構わないという精神だった。だが一喝が横から入ってきたのである。
「自分の命を捨てるな!!」
ヒナはそれを聞いた途端に疲労を感じなくなった。その声の主は竜太である。マスクと頭にタオルを巻いた姿ではあるがヒナを強く注意した。
「もし、自分の命を……と思うなら能力を使うな。」
「でも……私が頑張らないと……」
「頑張れ。俺らも頑張るから……だけど命は捨てるな!!体力のケアは後でしっかりするから命を捨てない気持ちで力を入れろ!!」
「…………うん!!」
ヒナは頷くと力みを緩めたのである。すると力を緩めた瞬間、少しずつ雲の凍りつきが広がっていることが分かったのだ。
「死ぬときは寿命を尽くすまで生きた後の話!今はまだ早いから……頑張っていこう、お互いに!!」
「うん!!」
竜太の熱い叱咤激励を受けてヒナは元気を取り戻してきたのである。すると竜太は筆を持ち、空に向かってなにかを描いたのである。
「…………それを実現させる……!!」
空から誰かの声が聞こえてきたのである。空になにかを書き終えた竜太は何もしゃべらずにヒナを見つめていた。ヒナは何をしたのか気にはなったが、今は言えないのだと確信して空に気を送り続けていたのである。
「雲が……雲が大分固まってきたぞ!!」
雲は大きく固まってきていた。あと少しだ!!しかしヒナの体力がそろそろ無くなりつつある。するとヒナの背中を誰かが支えている……竜太だ!!
「何事も何とかなる!!気合いをむやみに入れずに自分の出せる力をだそう!!」
少し力まず、自分のペースで入れれる力を入れろとのことである。顔つきが険しくなっていたヒナだったが竜太の強い檄には常に頷いた。竜太も能力行使と檄を飛ばしていたため少しずつ疲労はたまってきていたのである。
「おお、雲が全体的に凍ったぞ!!」
ヒナの限界突破の力で似非雨雲を完全に凍らせたのである。だが、ヒナはそれを確認して笑顔を見せると疲労の凄さからか倒れ混んだのである。
「しんどかったな……お疲れ様やで。」
竜太はヒナを背負って寝室に連れていく。その時、松浦が自信を持って大きなハサミを取り出したのだ。
「はーい、切りますよ!!」
松浦は雲の周囲を上手くハサミで切りはじめたのである。上手く切れても体力が減れば異空間に似非雨雲を飛ばせない危険性もある。だが、松浦はヒナの姿を見て自分も本気で取り組もうとしていた。
チョキ、チョキ、チョキ、チョキと切り刻む異空間切りのハサミ。体力との勝負はあるが松浦は切り続けてきた。すると異空間の入口が出来上がり、後は似非雨雲を無の空間に送るだけである。しかし……
「どうやって異空間に送るんだ……」
竜太は呟いた。なんと異空間に似非雨雲を押し込む方法がないというのだ。どうしようかと悩んでいると雪がキッチンからやって来たのである。
「どうしました?」
「あの雨雲、どうやって動かせばいいか悩んでんの……」
「私に任せて……!」
「…………!?」
すると雪の身体は光り、手で雲を押す仕草をすると雲は異空間に入っていくのである。
「こ……これは……!?」
「夢でお告げがありました。これが私の能力です。『神の代理の手(チェンジゴッドハンド)』という能力で私の手を使えば何でも動かせるみたいです。」
「…………凄いなあ!!凄いなあ!!ありがとう!!」
「では、早く雨雲を消しましょう!!」
竜太が雪に感謝した直後に松浦は空間を切り裂いた部分を気力で塞いで雨雲はこの世界から消えたのである。
「……よかった!!ヒナちゃん、やったよ!!」
「本当によかった!!」
「みなさんのおかげです!!」
「雪ちゃんもありがとうな!!」
能力を使って皆で協力し、奇跡を連発してこそ出来た人類最大の危機の回避。松浦も竜太も疲れていると雪が水を持ってきたのである。
「水を飲めばその味がします。栄養として飲んでください。」
二人が水を飲むと身体が回復したようで元気になった。だが大洪水の危機を完全に回避するためにもうひとつするべきことがある。
「あの雨雲マシンの破壊やな。」
竜太は呟いた。そう、あの機械がなくならないとまた危険がやって来るのである!!
「………………」
凍らせるための気力を出そうとするが雨雲が大きすぎるからかなかなか凍りつく気配はない。疲労が現れたヒナはなんとかこらえながら気を入れ続けたのである。
「なんとか……凍って……!!」
しかしなかなか凍る気配がなく、ヒナの体力がどんどん減っていく一方であった。だけど諦めれば洪水で全世界が沈むと思うと今は我慢していくしかない!!
「凍って!!凍って!!」
すると少しずつ雲が固まっているように感じたのである。どうやら凍りつつあるようだ。しかし体力はかなり減ってきており、全てを凍らせることが出来るかどうか難しくなってきた。
「誰も死なせたくない!!どの町も水に沈んでほしくない!!」
ヒナは強く声を出し続けた。人々のためなら死んでも構わないという精神だった。だが一喝が横から入ってきたのである。
「自分の命を捨てるな!!」
ヒナはそれを聞いた途端に疲労を感じなくなった。その声の主は竜太である。マスクと頭にタオルを巻いた姿ではあるがヒナを強く注意した。
「もし、自分の命を……と思うなら能力を使うな。」
「でも……私が頑張らないと……」
「頑張れ。俺らも頑張るから……だけど命は捨てるな!!体力のケアは後でしっかりするから命を捨てない気持ちで力を入れろ!!」
「…………うん!!」
ヒナは頷くと力みを緩めたのである。すると力を緩めた瞬間、少しずつ雲の凍りつきが広がっていることが分かったのだ。
「死ぬときは寿命を尽くすまで生きた後の話!今はまだ早いから……頑張っていこう、お互いに!!」
「うん!!」
竜太の熱い叱咤激励を受けてヒナは元気を取り戻してきたのである。すると竜太は筆を持ち、空に向かってなにかを描いたのである。
「…………それを実現させる……!!」
空から誰かの声が聞こえてきたのである。空になにかを書き終えた竜太は何もしゃべらずにヒナを見つめていた。ヒナは何をしたのか気にはなったが、今は言えないのだと確信して空に気を送り続けていたのである。
「雲が……雲が大分固まってきたぞ!!」
雲は大きく固まってきていた。あと少しだ!!しかしヒナの体力がそろそろ無くなりつつある。するとヒナの背中を誰かが支えている……竜太だ!!
「何事も何とかなる!!気合いをむやみに入れずに自分の出せる力をだそう!!」
少し力まず、自分のペースで入れれる力を入れろとのことである。顔つきが険しくなっていたヒナだったが竜太の強い檄には常に頷いた。竜太も能力行使と檄を飛ばしていたため少しずつ疲労はたまってきていたのである。
「おお、雲が全体的に凍ったぞ!!」
ヒナの限界突破の力で似非雨雲を完全に凍らせたのである。だが、ヒナはそれを確認して笑顔を見せると疲労の凄さからか倒れ混んだのである。
「しんどかったな……お疲れ様やで。」
竜太はヒナを背負って寝室に連れていく。その時、松浦が自信を持って大きなハサミを取り出したのだ。
「はーい、切りますよ!!」
松浦は雲の周囲を上手くハサミで切りはじめたのである。上手く切れても体力が減れば異空間に似非雨雲を飛ばせない危険性もある。だが、松浦はヒナの姿を見て自分も本気で取り組もうとしていた。
チョキ、チョキ、チョキ、チョキと切り刻む異空間切りのハサミ。体力との勝負はあるが松浦は切り続けてきた。すると異空間の入口が出来上がり、後は似非雨雲を無の空間に送るだけである。しかし……
「どうやって異空間に送るんだ……」
竜太は呟いた。なんと異空間に似非雨雲を押し込む方法がないというのだ。どうしようかと悩んでいると雪がキッチンからやって来たのである。
「どうしました?」
「あの雨雲、どうやって動かせばいいか悩んでんの……」
「私に任せて……!」
「…………!?」
すると雪の身体は光り、手で雲を押す仕草をすると雲は異空間に入っていくのである。
「こ……これは……!?」
「夢でお告げがありました。これが私の能力です。『神の代理の手(チェンジゴッドハンド)』という能力で私の手を使えば何でも動かせるみたいです。」
「…………凄いなあ!!凄いなあ!!ありがとう!!」
「では、早く雨雲を消しましょう!!」
竜太が雪に感謝した直後に松浦は空間を切り裂いた部分を気力で塞いで雨雲はこの世界から消えたのである。
「……よかった!!ヒナちゃん、やったよ!!」
「本当によかった!!」
「みなさんのおかげです!!」
「雪ちゃんもありがとうな!!」
能力を使って皆で協力し、奇跡を連発してこそ出来た人類最大の危機の回避。松浦も竜太も疲れていると雪が水を持ってきたのである。
「水を飲めばその味がします。栄養として飲んでください。」
二人が水を飲むと身体が回復したようで元気になった。だが大洪水の危機を完全に回避するためにもうひとつするべきことがある。
「あの雨雲マシンの破壊やな。」
竜太は呟いた。そう、あの機械がなくならないとまた危険がやって来るのである!!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる