ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第9章・世界の歪み

山道デンジャラスダンス①

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そもそも竜太はある事実に気づいたのである。

「ヒナちゃん、剣を所持したつもりだけどたしかまだ強化するために預けているはず…………寝ぼけて鞘とサトキさんの家の足の防具しか装着してないはず。戦いすらできへんぞ……!!」

そうである。実はヒナは装備品は全て涼子に預けているため、彼女は寝ぼけていたのかサトキの部屋のものを装着していただけだったのだ。装着が脆いということは…………


やはりヒナは猛獣に囲まれながら倒れていたが、身体は傷だらけであった。

「寝ぼけて武器を預けていたことを…………忘れていたわ…………」

すると猛獣の一匹がヒナの胸ぐらをつかんで左頬をグーパンチしたのである。するとヒナは少し吹っ飛んだが囲む猛獣達がいるため逃げられなかった。

“ドっ!!”

「痛い…………」

激痛に涙を少しこぼしたヒナを別の猛獣が拳を握って殴り付けようとしたときであった。その猛獣の身体が突然真っ二つに分かれたのだ!!

「か弱いお嬢さんを泣かせるやつはたとえ猛獣でも容赦しまへんでーっ!!」

ヒナが木の上を見ると、太い枝の上にいたのは予備の短剣を所持している竜太の姿であった。

「りゅ……竜太さん!!」

すると竜太は枝から下に降りるとヒナの右ほほに平手打ちを食らわしたのである。

“パチン!”

「夜中に出掛けたらあかんって言うとるやんか!!女性を叩くのは男として最低やけどヒナちゃん、これは暴力やない。注意と心配を込めた指導やで!!」

「ごめんなさい…………」

「俺のためにしてくれたのは分かる。けど俺が死に至りかけたように逆にヒナちゃんがそうなれば俺は悲しいよな……」

「竜太さん…………」

ヒナは竜太の身体に抱きつくと恐怖心が取れたのか竜太の胸で泣いているのが伺えた。竜太は背後から殴りかかってきた猛獣を左手で剣を持って切りつけると右手でヒナの頭を撫でてあげたのである。

「よっしゃ…………よお、頑張ったな。痛かったな……もう痛い目に遭わへんよう俺がいるからな……」

ヒナは頷いた。彼女が今、竜太を深く信頼しているのが分かる。

「ヒナちゃん、しゃがんでて……」

そう竜太が言うとヒナはしゃがむ。そしてジャンプした竜太は大きく横に一回転して猛獣全部を真っ二つにしたのである。

「女を泣かす感情の持たない怪物どもはすっこんでろや!!」

竜太の目付きは立てこもり事件の時の目付きと同じで狂暴な目付きであった。…………が一方で瞳は誰かを助けたいという気持ちを輝かせていて優しい瞳であったのだ。剣技を鍛えた竜太にとって怪物など『へ』でもないのだ。ヒナは立ち上がると竜太に言う。

「竜太さん、ありがとう。」

「気にするなよ。男子たるもの大切な人を守るもんやから。」

優しさを兼ねた強さを持つ竜太は完全に蘇ったのである。
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