ヒナの国造り

第９章・世界の歪み

山道デンジャラスダンス③

ヒナを探しに行くという“何か可笑しげ”な展開となったわけであるが竜太達は必死で彼女を探すのであった。しかし山道は猛獣だらけで危険なものであった。すると竜太・雪の前にある人物が現れたのである。

「はじめまして、宇佐鷺通(うささぎ・つう)ともうします。」

「誰ですかおたくさん？」

「はい……この山の事実を知る者です。」

意味がわからないので首をかしげた竜太だったがとりあえず事情を説明したのであった。

「なるほど……知人の女性が行方不明に…………まあいいでしょう。私も協力いたしましょう。」

『まあいいでしょう。』という一言が気にはなるものの竜太にとってありがたい話だったのだとみられ、二人はついていくことにしたのであるが……

一方の松浦・サトキ組と稲田・京介組は安全を考えてかゆっくり登山をしていたようだ。そのため誰かに会う機会も少ないという問題点もあったようだ。

「さて竜太さんはどうだろうか。」

サトキは呟いた。一方、竜太・雪組はある山のなかの小屋に到着したのである。そして竜太と雪にコーヒーを宇佐鷺は入れた。ところがそれを飲んだ竜太は突然酔いが回り、ブラブラしながら小屋を出ていったのであった。雪はその数秒後に眠りについたのである。宇佐鷺は二人を様子を見るや否やにやつきはじめたのであった。

「あー、目が回る～～気持ちよくて～～！！」

目を回しはじめる竜太は何を飲んだかは分からないが強烈に泥酔しており、そのまま小屋から離れた崖にやって来たのである。

「プールや！！ここは飛び台やな！！」

竜太は崖下の海を眺めてプールと勘違いしてなんとそのまま飛び込んでしまったのであった。


竜太が目を覚ますとある古い家の布団の中で寝ていたのだ。『一体何が……』と思っていると老夫婦が現れたのである。

「秋田野(あきたの)ばあさんや、若い男の子じゃよ。」

「おじいさん、可愛らしい子だね……大切に育ててみるか！！」

「…………！！？」

なんと竜太の身体が落ちる前の服装が同じ以外は背が小さくなり、声も小さい頃の声に似ており子供の姿と化していたのである！


一方、残りの二組の間から竜太と雪が行方不明になっているのではと声が上がる。

「普通ならもう合流しているはずなのだが…………何処(いずこ)へ？」

「伊豆湖(いずこ)？」

「その『いずこ』じゃないっ！！」

松浦の真面目な語りについつい京介は突っ込んだが仕方ないのかもしれない。そして場面は再び竜太に戻る。