ヒナの国造り

第１０章・団結に向けて

東住吉家の謎②

竜太は布団のなかで黙りこんでいた。身体が子供のようになった竜太には本来の力が出せない……それで衝撃攻撃を受けても耐えきることができずに大ダメージを受けてしまっていたのだ。

「俺は……どうなるんだ……ホンマに……」

悔しそうな口調で呟くと涙が溢れてきたのである。悔しさは尋常じゃなく、大人の姿なら勝てたはずなのに……

「もし大人に戻れるなら戻りた……」

するとある本に竜太が気づく。そのタイトルは『東住吉の人間達』である。竜太のいる世界で有名なジャーナリスト・淀光高貞(よどみつ・たかさだ)が書いた本で東住吉の系譜について触れられているようだ。すぐさま本を手に取ると竜太は目が釘つけになったのだ。

「なになに……『東住吉家の祖、西大寺祥介(さいだいじ・しょうすけ)は東住吉に住む西大寺家２１代目の西大寺草介(さいだいじ・そうすけ)と大和の旧家・吉田家当主の吉田源五郎丸(よしだ・げんごろうまる)次女・はつの三男として生まれる。』…………ぜんぜん知らなかった。しかも西大寺家なんて聞いたこともないしな……」

西大寺家は竜太のいる世界で当然無名な家である。だが確かに彼にはその血が流れているのだ。彼は少しずつページを開けていくと知らない自分の“流れ”が見えてきたのである。

『東住吉の血筋というものは“強さ”と“優しさ”の血筋である。弱音を吐くような人はおらず、皆が強く清らかな心を抱いていた。インタビュー(東住吉家の人への)を通じて私はそう感じた。』

すぐに竜太は作者のプロフィールを確認するとすでに故人であった。自分の姿を見られていないという安堵感もあったが、今まで強さと優しさとはかけ離れたクズっぷりを見せていた竜太は涙を抑えきれることが出来なかった。

「俺は…………情けない…………なんで、なんでこうなったんだ。」

悔しかった……竜太は悔しかったのだ。そして起きた竜太はすぐに外に出て高直を探しにいったのである。

「高直ーーーっ！！！戦うぞーーッ！！身体が小さいからってなめてかかるなよ！！俺は強さと優しさを求めている！！今日は俺が勝つパラレルワールドだからお前を倒してやるんだッ！！」

すると声が聞こえていたのか高直が現れたのだ。

「ハハハ！お前、その言葉を待っていたゾッ！！さっきのように弱々しい声と今にも泣き出しそうな顔とは違うのがよく分かるぞっ！！」

高直は竜太のやる気に感心していた。そして再び対決が始まるのだ……