ヒナの国造り

第１１章・新たな武器と過酷な道のり

孤児院①

将志はマンションのような建物を指差して言う。

「お姉ちゃん！あれが孤児院だよ！」

ヒナが見つけたマンションのような建物は孤児院だったのだ。到着すると穏やかな感じの女性職員が心配そうな顔をしていたのである。

「将志君！何してたの！？みんな心配してたのよっ！？」

「ごめんなさい……」

「あなたはどちら様でしょうか？将志君を連れてきてくださりありがとうございます。」

「いえいえ、この子とはたまたま出会いましてね……それで悩みを抱えていたからそれを解決してあげたいから一緒に行こうと思いました。」

ヒナと話をする女性職員は古座山直子(こざやま・なおこ)といい、孤児院内で子供達の母親的存在である。将志を心配する姿は本当の母親のようであった。そんな直子はヒナの優しさに心を打たれたのである。

「あなた、この子の悩みを聞いてあげていたのですか？」

「はい、私に何か力になれるか分からないけど……」

「もしよければ一緒に食事でもしましょう。」

ちょうど昼食の時間のようでヒナはとりあえずご馳走になることとなったのである。ご飯とお肉が並び、野菜もあってバランスが採れていた。

「将志君、美味しいね！」

「うん、美味しい！ここの料理は最高だよ！！」

すると女の子の声がしたのである。

「あ、将志君！いつの間に帰ってきたの？」

「………………！！？いや……さっき……」

急に将志のテンションが下がったのである。どうやら嫌われた子というのはこの子のようである。

「あなたが将志君の言ってた子？」

「将志君、自分が悪いのに人に『私に嫌われた』とか話していたの？男の子でしょ！？そんなんじゃダメだよ！」

「………………」

「将志君…………」

「お姉ちゃん、私ね……周参見野凛(すさみの・りん)っていうの！将志君の元カノよ！」

「リンちゃんね……よろしく！(元カノって…………)」

リンによるとどうやら将志は自分の非を棚に上げているようである……とリンは言うが本人は『些細なことで喧嘩して嫌われちゃったんだ』という時点で自分にも原因はあるような言い方をしているようにも受け止められるが……まあヒナと将志のやり取りをリンが知るはずもないから仕方ないが……

「俺とリンちゃんは両親がいなくて孤独に生きてきたから……」

どうも二人は同じ場所の出身のようである。昔からの付き合いがあるので将志は嫌われたのが辛かったのだろうか？