278 / 762
第11章・新たな武器と過酷な道のり
孤児院③
しおりを挟む
翌朝、起床したヒナの元にある少年がやってきたのである。
「お姉ちゃん、おはよう。僕ね、対場健太(たいば・けんた)と言います。弟の優磨(ゆうま)と一緒にここに住んでいるの。」
どうやら兄弟揃って預けられているようだが直子によると生まれてすぐの時に母親が連れてきてそれっきりだという。
「ここは大体はそういう子ばかりなのよ。勿論一時期だけと決まっている子もいるけどやはり大体はは親が面倒見切れないからということで預けたきり顔すら出さないのよ。」
ヒナはその話を聞いてなにも言えなかった。彼女自身、父親に施設に入れられてから一度たりとも両親は顔を出すことはなかったのである。尚徳が父親に引き取るよう迫っても断られてしまっており、彼女もまた身内から見捨てられていたのだ。
「(私もこの子達と同じ立場だからこそこの子達の悔しさや悲しさが分からなくもないわ…………)」
ヒナはこの孤児院に来たのは一つの運命だったのではないかと思ったのである。
「(ここにきてあらためて私の立場というのが他の人に味わわせたくないというのが分かった……)」
自分のような人が出てきてほしくない……ヒナはこの孤児院に来たことを通じて強く思うようになったのだ。しかし孤児院に来る子供が減らないのも現実である。
尚徳はヒナが孤児院にいる頃、東口を自宅に招いて話をしていたのである。
「ヒナちゃんとは面識は強かったですか?」
「いえ、彼女とは少し話をしましたが深くは印象に……」
「長い時間じゃなかったようだから仕方ないですけどね……」
「すみません。記憶力が悪くて……」
「仕方ないですよ。僕も時々数日前の記憶がないときがありますから。」
東口は尚徳の話を聞きながらヒナという一人の人間の話を聞いていた。
「ヒナちゃんはずっと両親がいなくて唯一彼女の手元にあった戸籍を調べて父親は突き止めましたが引き取りを拒否されてしまい、この時僕は『ヒナちゃんは孤独になってしまったんだ……』と思いました。」
「親が子供を捨てるなんてどんな神経しているのか……普通なら大切に育てるのが親の役目でしょうに。その父親は子育てできない状況とかでは……?」
「いや、家はそんな悪いものでもなかったし、普通に経済的に不安定な感じは見受けられませんでした。それと彼女にはいってませんが、父親には新しいパートナーらしい人物がいたような気が……」
「………………!!?」
尚徳と東口の会話が真剣になってきた頃、ヒナ側にも動きがあった。
「お姉ちゃん、おはよう。僕ね、対場健太(たいば・けんた)と言います。弟の優磨(ゆうま)と一緒にここに住んでいるの。」
どうやら兄弟揃って預けられているようだが直子によると生まれてすぐの時に母親が連れてきてそれっきりだという。
「ここは大体はそういう子ばかりなのよ。勿論一時期だけと決まっている子もいるけどやはり大体はは親が面倒見切れないからということで預けたきり顔すら出さないのよ。」
ヒナはその話を聞いてなにも言えなかった。彼女自身、父親に施設に入れられてから一度たりとも両親は顔を出すことはなかったのである。尚徳が父親に引き取るよう迫っても断られてしまっており、彼女もまた身内から見捨てられていたのだ。
「(私もこの子達と同じ立場だからこそこの子達の悔しさや悲しさが分からなくもないわ…………)」
ヒナはこの孤児院に来たのは一つの運命だったのではないかと思ったのである。
「(ここにきてあらためて私の立場というのが他の人に味わわせたくないというのが分かった……)」
自分のような人が出てきてほしくない……ヒナはこの孤児院に来たことを通じて強く思うようになったのだ。しかし孤児院に来る子供が減らないのも現実である。
尚徳はヒナが孤児院にいる頃、東口を自宅に招いて話をしていたのである。
「ヒナちゃんとは面識は強かったですか?」
「いえ、彼女とは少し話をしましたが深くは印象に……」
「長い時間じゃなかったようだから仕方ないですけどね……」
「すみません。記憶力が悪くて……」
「仕方ないですよ。僕も時々数日前の記憶がないときがありますから。」
東口は尚徳の話を聞きながらヒナという一人の人間の話を聞いていた。
「ヒナちゃんはずっと両親がいなくて唯一彼女の手元にあった戸籍を調べて父親は突き止めましたが引き取りを拒否されてしまい、この時僕は『ヒナちゃんは孤独になってしまったんだ……』と思いました。」
「親が子供を捨てるなんてどんな神経しているのか……普通なら大切に育てるのが親の役目でしょうに。その父親は子育てできない状況とかでは……?」
「いや、家はそんな悪いものでもなかったし、普通に経済的に不安定な感じは見受けられませんでした。それと彼女にはいってませんが、父親には新しいパートナーらしい人物がいたような気が……」
「………………!!?」
尚徳と東口の会話が真剣になってきた頃、ヒナ側にも動きがあった。
0
あなたにおすすめの小説
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~
Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。
それでも、組織の理不尽には勝てなかった。
——そして、使い潰されて死んだ。
目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。
強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、
因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。
武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。
だが、邪魔する上司も腐った組織もない。
今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。
石炭と化学による国力強化。
情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。
準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。
これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、
「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、
滅びの未来を書き換えようとする建国譚。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
妻が通う邸の中に
月山 歩
恋愛
最近妻の様子がおかしい。昼間一人で出掛けているようだ。二人に子供はできなかったけれども、妻と愛し合っていると思っている。僕は妻を誰にも奪われたくない。だから僕は、妻の向かう先を調べることににした。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる