ヒナの国造り

第１１章・新たな武器と過酷な道のり

ちょっと来てくれ

一旦、モルガナ女王妃の話を終わりにして山道を歩く一行だったが、全然下の町に着かない。

「まだか？」

直露が苛立ったような口調で呟いた。ヒナはなだめたのである。

「まあまあ、怒っちゃだめだよ。」

「怒っちゃいねえよ！」

「バリバリ、キレとるやないか。」

「おとーさーん、まだつかないのー？」

「まだだー！」

四人全員がそろそろ苛立ちはじめているのだが歩いていると車が一台止まっていたのである。

「君ら、ここは危ないよ。」

「あなたは誰かしら？」

「お嬢ちゃん、少し怪我していないか？とりあえず四人とも車に乗りなよ。」

「探している人がいるので乗れません。」

「手伝ってあげる。だけど……ちょっとうちの職場が最近乱れているから秩序を正してほしいんだ。」　

「でも探し人を８月までに……」

「職場が一丸で協力したらすぐになんとかなるわ。」

「それならよろしくお願いします！！」

ヒナは誰か知らない人というのと早くリンを見つけたい思いから車に乗るのを拒否したが話をすると良い人だったようだ。そして彼の職場に関してまずは協力してあげることにした一行であった。

「俺はロージーパイン村のスロープ新聞ロージー店店長の外川恭衛(ほかがわ・きょうえい)と言います。よろしくお願いします！！」

「私は猫屋敷日奈凛です。一緒にいるのが東住吉竜太さん、日紙直露さん、高直幹夫くんです。」

「おぉ！よろしく！」

「(テンションの高い人みたいね……)」

ヒナは苦笑いしていた。彼女はあまりテンションの高い人と関わりがないので外川みたいな人物は新鮮さがあったようだ。

「さあさあ、６人乗れますので……」

とりあえず車でロージーパイン村へ行くことになったのであった。しかしこれがまたややこしいトラブルに巻き込まれるきっかけになろうとは……大体予想済か……。

車に揺られて数時間後……例の新聞店に到着したのであった。

「ここがスロープ新聞の店や。」

スロープ新聞のトレードマークであるリアルな目玉がちょっと不気味ではあったが、雰囲気的には明るそうな場所であった。

「あ、外川君。またいっちゃんが南原さんに対して苛立ってるみたいよ。」

「ほんとか？またかよ……いっちゃんはトラブルばかり起こすなあ……」

女性事務員の西村(雄麿達との繋がりは不明)は店のことで外川に声をかけると四人のお客(ヒナ達)に気づいたのであった。

「外川くん？この人達は？」

「この人達はこの店の秩序を正しに来てくれた人達。」

「あ、そうなの？みなさんはじめまして。」

西村は四人に挨拶をするとヒナ達は深く頭を下げて挨拶したのである。

「こちらこそはじめまして。色々とよろしくお願いします。」

「ヒナちゃん、ここはラビリンシングタウンから比較的近い場所だよ。雪ちゃん達にもたまには会いに行けるね。」

「雪ちゃんも大切な仲間だけどまずはリンちゃんの安否が心配……」

「そやな！まずは問題を片付けてリンちゃんを探そうな！！」

ヒナは竜太にリンの安否が心配と伝えると竜太は納得したのである。すると四人に一人の従業員らしき人が声をかけたのである。

「こんにちはー！」

「こんにちは、はじめまして。」

ヒナは礼儀よく挨拶をしたのであった。すると西村は言った。

「あの子が例の“いっちゃん”よ。笑顔のいい子だけど機嫌の変わり方が激しすぎる子よ。」

ヒナ達にはそんな風には見えない温厚でふっくらした青年に見えたが彼が『職場の秩序』に関わる一人であった。ヒナは喜怒哀楽の激しいイメージを感じなかったのである。