ヒナの国造り

第１１章・新たな武器と過酷な道のり

ヒナ探偵の推理！④

しかし目撃者も証拠もなくどうやって犯人を見つけるのか？さすがにこれは無理だろうと思われていたが……

「でもそういや、カバーが飛んでいるのに彼(市山)が気づいたときには南原さんは彼のバイクの近くで自分のバイクを洗車していましたね……」

作業室の中にいた枝村庸衛(えむら・ようえい)は言った。作業室には枝村の他に実井宗一郎(じつい・そういちろう)、渓本良一(たにもと・りょういち)、花田俊(はなだ・しゅん)の四人がいた。だがヒナは彼らの方を向いて少し睨み付けたのである。

「あなた達も少し怪しいわよね……」

「なんでですか？」

実井は反論したが、実際に現場から近いとあって彼らも充分に怪しいのであった。

「あなた達の中の誰かがいたずらでというのも有りうるわ。」

「いや、そんなはずはない。僕達は皆で雑談していたから出来るわけがない。」

渓本は四人は携わってすらいないことを強調したのである。するとヒナが怪しい動きを見せたのである。

「市山さん、本当はあなたが落としたんじゃないの？」

なんと市山を疑いはじめたのである。市山は当然否認したのである。

「違いますよ！！自分で落としたらバイクの前に落ちていますし、踏んで気づくかどちらかのはずですっ！！」

「ほんとかな……！！？」

怖い顔で笑うヒナの怖さもあれだが、市山にはなにかとんでもないものが見えたのである。

「(か、彼女の背後になんか守護霊なのかは分からないけど大きな竜がいるよ～！！)」

ヒナの背後に竜がいるというのだ。しかも竜の目付きとヒナの目付きは同じで顔つきも何となくだが似ていたのである。

「ま……まさか！？」

竜太も市山同様、ヒナの何かに気づいたようである。

「(背後に大きな竜……もしかしてヒナちゃんの正体は……！？)」

「はい、竜太くん！！あなたは助手でしょ？皆から話を聞きましょう！！」

「えー、急になぜ！？」

「つべこべ言わず、はい仕事！！」

竜太はヒナのなにかを追求したかったが、突然助手に任命されたので仕方なく人の話を聞くことにしたのである。


一方で孤児院の直子はヒナのことを心配していたのである。

「ヒナさん……大丈夫かしら……？」

直子はヒナとリンの無事を祈っていた。横には将志もおり、二人で二人の無事を祈っていたのであった。

「ヒナお姉ちゃんとリンちゃんが帰ってきますように……」

将志は手を合わせて無事を願っていた。


一方、ヒナに関しては心配無用であった。竜太をコキ遣って探偵気取りを楽しんでいたからである。