ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第12章・ヒナの国造り

リラの自滅②(尚徳の語るヒナの姿)

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リラが人の心を取り戻しつつある丁度その頃、既に帰宅していた尚徳は妻と話をしていたのであった。

「なあ、俺のことどう思う?」

「優しい人かな?」

「そう見えるか?でもな、俺は野球を断念した後は一時期すごく荒れていたんだ。」

「え……そうは見えませんけど……」

意外な尚徳の発言に妻は驚いたのである。だが、尚徳はそれをつい最近の話のように話す。

「そりゃ、自分と出会う前だからな(笑)。あのときは高校時代だったかな。少し不良グループに所属していた。」

「そうだったのですね……」

「まあ、断念してからは人生楽しくなくなってきていたから……少し喧嘩もしたりしたさ。でもなぜか俺は負けたことは“一度”しかない……!!」

「強い……!!」

「いやいや……たまたまさ。それである日、実の親父が不良と絡んでいたときに現れて『お前の成長を期待しているのに何してんだ!!』と左ほほを右パンチでやられてな(笑)。ありゃーめちゃくちゃ痛かったわ(笑)。」

「あらら……」

笑いながら話す尚徳に妻も少し苦笑いをしたのである。酒を飲んでいたのか尚徳は少し明るかったのだ。

「しかし俺が気になるのは何で先生が不良グループに俺がいたのを知っていたのかということ。勉強は真面目に聞いていたのにバレないと思っていたからびっくりしたわ(笑)。」

「それでどうなりましたか?」

「ちょっと停学(笑)。だけど若いうちにハッスルしたから(笑)いつの間にか丸くなったよ。」

「昔の話を聞いたらヒナちゃんを見ているあなたと本当に同じ人物なのかなと思います……(笑)。」

「皆思うし(笑)。でもな、ヒナちゃんは俺に色々教えてくれた。俺の知らない世界も俺が知りたかった何かもあの子はいっぱい教えてくれた……」

そして尚徳はヒナのある特殊な力について話す。

「あの子は人の心を読める上に本心を導き出すことができる子だ。ずっと嘘ばかりついて悪事を明かさなかった施設の子にヒナちゃんが話しかけたらその子……全ての悪事を正直に言ってくれたんだ。」

「……!」

「悪事といってもつまみぐいとかおもちゃを取るとかそんなレベルだけどね(笑)。でもヒナちゃんが話しかけたら大体みんな、本心を語ってくれる。あの子はそれを導く言霊があるんだよ!!」

「すごいわね……」

一方、ヒナはリラの本当の気持ちを聞き出してWについてどう思っているのか気になっていたのである。

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