ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第12章・ヒナの国造り

キララの悪夢②

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Wにいよいよ洗脳(コントロール)をされてきたキララはある日、二時からある報告を受けたのである。

「W様より連絡だ。これからも野球を教えていくから体力作りのために明日から任務を任せる。」

「はい。」

実際は野球の技術などは全く教えてもらっていないのだが感情を操られたキララにはそれを気付く思考がなくなっていたのだ……そして翌朝、キララをはじめとして四人が集まったのである。

●“ワイパーのクライサ”こと秦クライサ(はた・くらいさ)。

●“偽装者(フェイカー)のタット・ジョー”こと城達人(じょう・たつひと)

●“地下教師(アンダーティーチャー)のユキサダ”こと宝条雪貞(ほうじょう・ゆきさだ)

そしてキララの四人である。だがこのメンバーにはある問題があったのだ。メンバーを確認したキララの班(チョネゴ班)の班長の“チョネゴ”こと宝頼蝶子(ほうらい・ちょうこ)と副班長・人事管理の枠地アリーナ(わくち・ありーな)はその問題にすぐさま気付いたのだ。

「あの子(キララ)のサポートメンバーってさ……いつも野球をしている仲間はいないじゃないの?」

「蝶子さん、むしろ他の3人は超重要な任務を担当しているメンバーでは…………?」

「W様も酷ね……あの子本当に洗脳されてるわ…………」

「蝶子さん、今日は『フレーク諸島』の野球広場の観察のため、まずは『ブレード』の港町に行く予定でしたわね。」

「たぶんそうならないわ……」

意味深なことを蝶子はいうが、そのころ何も理解できないキララは3人と共にフレーク諸島へ行く船が出るブレードの港町へと向かう。車中で男さんにんぐみがキララをじろじろ見てくるのであった。

「君、可愛いな。」

宝条がナンパのような口調で話しかけてきた。しかしキララは質問をした。

「あのー、車で“ブレード”まで何分かかりますの?」

「え?ブレードだって?」

運転していたクライサは不気味な笑みを浮かべ、とんでもない発言をしたのである。

「ああ、フレーク諸島の野球広場を見てこいの任務か……あれは急遽変更になってね。僕達は『フズ・ムジカ』の捜索をしてこいということになったのだよ……」

「……!?ふ、フズ・ムジカだと!?何でその捜索に変わったのだ!?」

ジョーはなぜか驚いたのである。実はこの捜索は既に計画されており、フレーク諸島の野球広場観察は嘘であった。また宝条とクライサは既に知っていたのだが、ジョーにはその連絡が行き届いていなかったのだ。だがキララは洗脳下から前向き発言であった。

「急に変更も生きる上での運命(さだめ)よね。仕方ないですわ、行きましょう。」

キララが前向きなのを確認すると四人はブレードの近くの『メータ村』へと向かった。
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