ヒナの国造り

第１３章・Ｗの野望

高城家秘伝奥義『ゴメス流』③

高城と竜太が闘う二日前、ヒナのいた世界にある若い男性がいた。彼の名は円福寺信雄(えんぷくじ・のぶお)といい、先日新聞配達のアルバイトを辞めて別の仕事に就いていたのである。

「新しい職場に来ても本当に見ていて責任感のないやつらばかり！！一体どないなっとんねん！！」

苛立つ信雄はある日、パチンコ店に入ったのである。

「あ～ら、ノブちゃん！！最近配達はどうなの？」

「新聞配達か……辞めたよ。周りのやつらに責任感のないオーラしか感じられず苦痛だわ。」

「あらら～、勿体ないわね～」

「でもな、“ファナ”ちゃん……やる気のない連中と仕事をしていても自分もやる気を失うだけだからこれで良かったよ。」

「そうなの？もし良かったら私、仕事がもうちょっとしたら終わるから話を聞いてあげるわ……」

そして２時間後、ファナという女性は外で空をボ～っと見つめながら待っていた信雄の元にやって来た。

「ねえっ！！それなら楽しいことをしない？」

「？」

「あなたのいうムカつく連中のいない世界だよっ！！」

「ファナちゃん、面白いこと言うねえ！！」

「違うよ！本当だよ！！あとね……喉乾いたと思うからノブちゃんの大好きなコーラ用意したの！！」

「お！ありがとう！」

ファナは信雄にコーラの缶を渡した。それを信雄は相当喉が乾いていたのか飲み干したのである。

「ゴクゴクゴク……」

「ぷはー、うまいうまい！！」

一気に飲んだ信雄だが目がうつろうつろになっていた。

「ファナちゃん……俺疲れてるんかな？眠たい……」

“バタッ……”

信雄は寝てしまったのである。そしてファナは信雄を抱き抱えて呟く。

「(ノブちゃん……あなたもう少ししたら立派な人間になれるわよ……！！)」

その時のファナの目付きは何かを企んでいるのか鋭いものであった。するとファナの目の前に男性がいた。

「二時さん！！」

「ファナ……よくやった。Ｗ様もお喜びになられる……！！」

そして信雄の友人、中壺優也(なかつぼ・ゆうや)は信雄に電話をかけるも出ないので心配し、ある人物に電話をかけるのであった。

「もしもし……カッファンさんでしょうか？僕です、中壺です。」

その頃、竜太の息子の幹夫に怒り心頭の大人気ない？高城はついに本気を出そうとしていたのだ。

「さあ……いよいよ高城家伝統の必殺奥義を披露しよう。命を落とすかも知れないから覚悟しような……」

高城は気合いを入れると腕の筋肉が急に発展し、ムキムキの肉体になったのである。