ヒナの国造り

第１３章・Ｗの野望

軟弱剣士・石受無ヌイ①

ヌイは剣を取り出すと勢いのある表情で構えたのである。怪物はまた素麺の塊を飛ばしてきたのである。

“ザッ！！”

今度はヌイも素麺の塊に拘束されたのだ……が……

“シャキーン”

塊に剣で切ったような閃光が走る。すると塊は粉々になり中からヌイが現れたのである。

「１０年以上戦いをして来た剣士がこんな子供騙しの技で負けるわけがない…………」

ヌイは剣で切りかかると怪物は真っ二つに切れたのである。

「私は…………常に強さを求めている。」

そして１０個の素麺の塊を全て剣で切りつけると中からヒナ達１０人が現れたのである。

「ふわぁ……出られた！！」

１０人を助けたヌイはなぜか彼らに顔を合わせずそのまま去ってしまったのである。ヒナは彼を追いかけたが見失ってしまった。

「あれ……どこに……？あの人が助けてくださったならばお礼を言いそびれたわ……」

その時、ヌイは助けたヒナの姿を見ていたのかその事について呟いたのだ。

「(あの娘は……もしかして息長さんの言っていた人か？聞いていた以上に立派な子のような気がするのだが……)」

ヌイは息長と面識があるのか彼の名前を出していたのである。なぜヒナのことを知っているのか？

「まあいい、今は小国町へ行く事が大切だ……」

そしてヌイはどこかに去ってしまったのであった。


一方、ヒナ達は怪物がいなくなったことに気付いた。

「あれ……あの怪物は……？」

「いなくなったわね……」

ファルルの言葉にヒナはいなくなったことを確認したのである。

「まあ、私はいなくなればそれでいいんですけどね……」

ヒナは本音を出した。いなくなればそれでいいのである。しかしキララは様子が可笑しかったのである。

「あら、キララ……あなたどうしたの？身体がめちゃくちゃ震えているわよ……」

「この……世界にはこんな化け物がたくさんいるのかしら……」

ファルルが心配するとキララは怖じ気ついていたのか異常に身体が震えていたのである。

「私……もう嫌……！！怖い、死にたくないっ！！」

ヒナと同じ世界出身であり、さらに精神的にも不安定なキララにとっては怪物の存在は恐怖以外の何者でもなかったのだ。

“ポトッ！”

「いたっ！！」

キララの頭に緑の本が落ちてきたのであった。キララはその本を読むと涙を流していたのである。

「何かあれば……逃げようと……していた私……だけど私より悔しい人生の人がいたことに私は人生を勘違いしていたのを改めて思い知らされたわ……」

その時、上の二人は本を落としてしまったようで焦っていたのである。

「ああ、本を落としたわ。」

「後で拾ってこいよ！！」

「俺が拾ってこいだと……ん……？」

“ガチャッ！”

「ここは危険だ……早く出なさい。」

ある男性が二人の部屋の鍵を開けたのである。どうやら二人は囚われの身だったようである。一方、ヒナ達はジッと待機していたのである。