ヒナの国造り

第１４章・日常へ戻る時

解散前に②

とりあえずバスに乗ることにするのだが、席は満員となり少し暑苦しいものである。

「あつ～い。」

皆が暑がるなか、ヒナも例外ではなかった。バスは特殊なバスではなくヒナの世界にもあるような旅行用のバスである。

「さて、出発や！」

竜太は新聞を読みながら掛け声を掛けたのである。しかし竜太は新聞を読みながらとあることに気付いたのである。

「ん？なんでコフキイモとガーリーの連合軍が幹部も含めて怪我人が多いのにゼファーマ軍の怪我人は少ないんや？」

「どういうことだ？」

竜太の発言に護は気になったようだ。なぞの戦況に二人は首を傾げたのである。

「ではもう少ししたら出発しますね。」

お知らせをしたのは運転手・細見バファロー(ほそみ・ばふぁろー)である。イケメンではあるが『暴走猛牛(クレージーバッファロー)』の通称がある。

「さて、解散が近いんでそろそろ行きましょ！急ぎましょう！！」

出発準備を終えてバスガイドの不岡坂シャルロッテ(ふおかざか・しゃるろって)が全員の確認をするとバスは出発したのである。

「では出発いたします。目的地は温泉街・アディーマです！！」

「おぉぉぉぉっ！！！」

だが解散は本日中である。でも前向きに考えれば最後の休息みたいなものである。しかしＷはどこへ行ったのか現在も不明である。

「Ｗはどうなったんだろ？」

「分からん、どこかへ逃げたかもしれない。あいつは逃げるのはすごいからな……」

「まあ“逃亡力”は抜群だからな。」

「あれで逃亡に失敗したらおかしいだろ。」

「本当だな。」

バス内で語と林平は話をしていた。Ｗがどうなったかの消息確認である。恐らく逃げただろうと推測される。バスの席でヒナはリラの形見のバッジを眺めていた。

「(将志君……待っててね……)」

バスは揺れていた。ロージーパインから出発して高速道路(この世界の名称は不明)に入るとヒカーゴ方面へと向かうのである。

「…………」

なぜかげっそりしているキララ。どうもストレスが重なり、体調を崩したようだ。外川は心配してかキララに声をかけたのである？

「君、大丈夫か？」

「ええ……大丈夫です……」

注意をしておくが二人は初対面である。にも関わらず知り合いみたいな会話と化した。

「戻しそうか？」

「それはないです。ただ少し……」

「俺が隣に座ったる！」

「私が向こうに行きましょうか？」

「すまんな、頼むわ！！」

さっきまでは敵でなおかつ自分より年上のファルルにもこれである。外川のある意味芯の強さに竜太も目を点にしてしまったのであった。