ヒナの国造り

第１４章・日常へ戻る時

アディーマでの休息①

一行はドタバタあったがバスから下りてホテルでチェックインした。そして皆は食事の前に温泉に入ることに。

「あ……後で将志君にこれ渡さないと……」

ヒナは将志にバッジを渡し忘れたようである。そして皆は湯に浸かるのだが旅の疲れか満足な表情で溢れていた。すると竜太の横にある男性がやって来たのである。

「こんにちは……」

「こんにちは、あんたは誰だい？」

「俺は周参見野玄竜(すさみの・げんりゅう)だ。」

「すさみの……？」

どうやらバスにいなかった人物のようである。だが悪い人間じゃなさそうだと竜太は話しかけた。

「あんたが竜太さんだな。」

「俺のこと知ってんの？」

「ああ、僕の一族の間では東住吉家の一人として有名さ。」

「今は“高直(たかじき)”だけどな。」

「いやいや、高直だろうが東住吉だろうがあんたはあんたさ。」

「言うねえ。」

入浴しながら二人の会話は続いた。幹夫はなぜかハイデルンになつかれており、護と入浴していた。そのため玄竜と竜太の熱い会話は続いた。

「あのさあ……」

「？」

「竜太さんの正義とは？」

「人のためになにかをすること。」

「俺は悪を全て潰してやることが最高の正義やと思っている。」

だがこの言葉に竜太は反応した。

「あんた……悪を全て潰すと言うことはあれか？そういう人達の生い立ちとか知ろうと思わないのか？」

「なぜ？」

「誰にだって心に闇はある。悪はあんたが考えるほど単純な存在じゃない……」

「竜太さん……あんたは俺の考えに背くのか。俺は悪を……悪を潰してやろうと考えている理由は正義のため！！悪は世の中に必要なしなんだよっ！！」

「しかし悪の生まれる背景から目を反らしてはいけない。必ず何かしらの理由があるはずや。」

「元々悪の側の人間のような発言だな。」

「ビンゴだ……行こう幹夫。」

「うん！」

風呂を出て更衣の部屋で竜太は服に着替えていると玄竜も出てきて近くで着替えをはじめたのである。すると竜太に何かを吐き出したのだ。

「俺の考えに賛同しないあなたは悪だ……！！」

「俺は元々悪だ……ほざけ……」

捨て台詞を吐く玄竜に返しをする竜太。正義とは色々な見解が存在するのだ。

「まあ、あんたは潰しはしないが悪は全て消し去る！！」

「その考え、どうかしてるぜ？」

竜太は鋭い眼差しで玄竜を見つめた。一方の玄竜は竜太の威圧感に少し怯みかけていた感じであった。