ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第14章・日常へ戻る時

キララと護と奇跡を託された医者⑨

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場面は戻り、護とジェルとの戦い。一瞬豹変したキララに竜太は話しかけたのである。

「さっきの豹変は何かな?今の君が言うような発言とは思えないが……」

「すみません……私、花粉を吸って咳をすると体質からかは分かりませんが少し人格が変わるんです……ああ、恥ずかしい。」

「だからか……仕方ないな……」

どうも体質的なものもあってキララは花粉が大の苦手だったようだ。だがさすがに大切な人を失った直後のあれはないだろうと竜太や皆は思うに違いない。するとジェルは苛立ちながら護に話しかけていた。

「お前、そろそろ潰す。まずはこれだっ!!」

すると剣獣はヒナの方まで伸びて彼女の右腕に噛みついたのである。

“ガブッ!!”

「くっ……!?」

「ああ、君!?」

護は驚いた。そしてジェルに対して更なる怒りを露にした。

「ジェル……貴様……!!いい加減にしろっ!!」

「貴様こそ仲間を傷つけたくなければさっさと首を差し出せ。すぐにでもレオニダス家の墓の前に持っていってやるよ。」

「……んだと……!?」

お互いの怒りは強くなり、また戦いは再開された。

「いくぞっ!!ハイデルン!!必殺“業火斬り(バーニングブレイド)!!”」

ジャンプして斬りかかる護の剣(ハイデルン)は炎に包まれていたがここはジェルに避けられた。

「次は俺の番だなジョイ・アラブレヨゴノニハ!!」

少し剣獣(ジョイ)の口が震えた。

「(めっちゃ嫌がってるやんその名前!)」

竜太が呟いて笑うとジェルは竜太を睨み付けたのだ。

「今、何て言ったお前……!?後で覚えとけよ……」

「(地獄耳!!)」

ジェルは地獄耳だったようだ。

「まあいい、やつらは後で始末する。いくぞ!!『口撃弾丸(マウスアタック・バレッタ)』っ!!」

すると剣獣の口から光の弾が何発も放たれたのである。なんとか護は回避したが……

「フハハハハハハハ!!俺はまだ疲れてないぞ……貴様は逆に息が乱れているようだな!!」

「はぁ……はぁ……くそっ!!ここで負けてたまるか!!」

するとヒナは眠気がひどくなり、そのまま倒れてしまったのである。そしてそれに気付いた竜太がヒナの身体を起こして膝に頭を乗せたのである。

「疲れていたんだな……少し休め……」

竜太はヒナを心配しながらもゆっくり休ませることにしたのである。一方、ヒナは気がつくと視界には何もない真っ黒な世界が広がっていた。

『…………お嬢ちゃん、不毛な争いを終わらせたいだろう。』

ある高齢の男性のような声が聞こえてきたのである。

『あの男は…………彼の言うことに耳を傾けようとはせず、人の行動に異常なまでの関心を持つ。狂暴とはまさにあの男にふさわしい言葉だ……』

「狂暴……」

『ああ、彼は何も考えず何も計算していない。本当に救いようのないバカだ……』

「救いようのないって……」

ヒナはこの声の主がなぜか分かるような気がしたのである……というより分かったようである。

「あなたは……もしかして……」

『ああ。私の正体に気付いたなら戦っているあの霊獣使いの子に言ってくれ。私の正体を出していいから。』

「何を伝えれば……?」

『それは……「あの救いようのないバカに一泡吹かせてやってくれ」と……』

「分かりました。伝えます。」

『すまないな……ありがとう……』

するとヒナは目を覚ましたのである。竜太は目を覚ましたヒナを見て安心したのである。

「良かった!!大丈夫?」

「うん、大丈夫よ。ありがとう。」

そしてヒナは護に向かって声を上げたのである。

「護さん!!“闘いの神様”からの伝言があります。『あの救いようのないバカに一泡吹かせてやってくれ』とのことです。」

「だ……誰が……“救いようのないバカ”だとぉーーーっ!!?」

「オッケー!!伝言ありがとう!!」

これを聞いて当然ジェルは怒り狂ったが、護はヒナの方を向いて親指を立てて“グッド”のポーズをした。そしてジョイの口が微かに笑っているのをヒナは見たのである。
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