ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第14章・日常へ戻る時

キララと護と奇跡を託された医者⑩

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護は怒りをさらに強化させると目が異常なまでに引き釣ってきたのである。

「てめえ……ゆるさん……」


ジェルもまた過去の回想に入る。サウスアマベスのヒナの世界でいう団地の近くを宅配走行中、左折をしようとしたら車からブツブツ怒り声みたいな声が聞こえてきた。

「あ!?」

キレた彼は車を追いかけて隣スレスレになると車に向かって回し蹴りを食らわしたのである。彼の足も刃物と化しており、車は真っ二つに分かれた。

“スパッ!!”

「黙って走ってりゃいいのに静かに煽っていちゃもんつけるなど貴様は王か神か何かか!!」

彼は翌朝、朝刊を読むと昨日の車が斬られた記事を発見した。どうやら自分の犯行であることが知られてしまったようだ。

「俺に逆らうやつは全てすりつぶす!!」

ジェルは新聞を強く握りしめて王者の立ち振る舞うように大笑いしたのであった。


ジェルは以前から自分のことで納得できないことが多く、答えを見つけ出すためにWの部下になったという。

「護……俺はあの人(W)ほど心の底より尊敬できる人物はそういない。さすがなもんだぜ。」

「あんなやつに尊敬できるお前の神経はどうなっているのやら……」

「は……?てめえ何だよこの野郎!!斬り落としてくれるわ!!」

「やってみろ……ってうわっ!!」

“どてっ!!”

護は足を滑らせて前向きに転倒してしまったのである。すると護の顔の近くにしゃがみ彼の首をつかんでチョップの形にした右手を彼の首の上に添えたのである。

「死刑執行の時だな、バカたれ。」

「ぐっ…………」

「俺をこけにしたこと絶対許さん!!そして“あいつを殺した”こともな……!!」

ジェルは手を刃物のように鋭く変形させると舌をペロリとさせて首を斬ろうとしていたのである。

「いよいよ……終わりだな……」

この時、ヘリコプターがホテルから発車してどこかへ飛んでいったのである。ただ行き先の場所は不明である上、誰もそれに気付かないのだ。

「死刑……執行……!!」

もはや護の絶対絶命……と思いきや急にジェルが胸を押さえて苦しみはじめたのである。

「ぐっ…………こんな時に……!!」

ヒナはジェルの苦しむ姿を見て何が起きたか気になっていると竜太が話しかけてきた。

「ヒナちゃん、覚えときな。能力持つことにデメリットがあるということを。一つは私生活に支障が出ること、もう一つは能力を多用しすぎると胸が痛くなるということを。まあ胸の痛みは一定の期間がきたら来るもんだけどな。他にもデメリットがあってそれは研究中だ。」

ジェルの胸の苦しみから便利な特殊能力の裏側にリスクがあることをヒナは知ったのである。
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