ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第15章・古座川町編

妙造の解決

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 同じ頃、妙造の従兄の菅野と北條はある町のベンチで話をしていた。


 「なあギャレット……妙造は頭は回る方か?」


 「妙造……あいつは回るよ。ああ見えて剣技の修行と読書は毎日欠かさないからな。」


 …………北條の記憶……


  「くそぉ!ヘイグ!ギャレット!退散だーっ!!」


 元気の良い妙造の声が出て、そして竜太達から逃げる三人であった。


 …………記憶再生終了……


 「いつもバカなことばかりしていたからなあ……」


 「確かにな。でもあいつは本当は天然だけど賢いんだぜ。」


 「ほぅ……“能ある鷹は爪を隠す”ってか……」


 その頃、旅館では妙造の推理が始まったのである。


 「まあ……夜の9時頃に殺害されたということが分かりましたから詳しく解説しましょう。ノリカさん……お兄さんの就寝時間は何時でしょうか?」


 「はい……大体早ければ8時前ですね。昨日は用事すらないのでそのくらいに就寝しているはずです。」


 その時、ニャシャの横にいた烏帽子谷徹は何かのにおいをかいで鼻を手で押さえたのである。


 「(……!?ガソリンのにおいか?こぼれているようには見えないが……)」


 すると徹の脳内にある声が響き渡る。


 『私、優しくて正義感の強い“えぼにー”君が好きだな。そんな“えぼにー”君のお嫁さんになっていいかな……?』


 するとおでこに手を押さえてうなだれる様子を見せた徹にカンイチが声をかけたのである。


 「だ……大丈夫ですか?」


 「すみません……大丈夫です……探偵さん、続けてください。」


 心配して一瞬口を止めた妙造だったが徹の言葉を受けて再開したのである。


 「実はこの旅館が少し古いというのもからくりの一つなのですよ。」


 「?」


 すると妙造は被害者の部屋の扉のノブの鍵を閉める部分に紐を掛けては結んだのである。そしてドアを閉めるとなんと若干だがドアのノブ側と壁との間の部分に小さいが隙間があったのだ。部屋のなかには読組が入り、鍵を閉める。


 「閉めました。これでいいですよー!妙造さん!」


 「ドアと壁がぎっしり詰まっていたら出来ないトリックです。」




 「だが被害者も鍵を閉めたら糸があることに気づくでしょう……」


 ニャシャは確かな指摘をすると妙造はニヤリと笑ったのである。


 「実はこの糸は上に伸ばしていたから被害者は『何だろう』程度にしか思いません。横ならなにか不審がるが……」


 「あっ!!上に伸ばしていたら気づかないときもある。」


 アルタは糸のからくりに気付くと妙造は紐をつかんで右の方に引っ張ったのである。


 “ガチャっ!!”


 「あ……鍵が開いたっ!!」


 「でしょ?ドアと壁との間に僅かな隙間があることを利用してこうやって開けたんですよ。そして被害者を“グサリ”とね……ところでもう1つあの朝のトリックについてですが……」


 「まさか……」


 皆が驚く中、妙造はあるトリックにも攻略していたのだ。ノリカはそれに気付いたのである。それは……


 「死んだはずのお兄さんの声です。朝、ノリカさんが呼んだときに聞こえた声……それは犯人の寝起きの時の声です!!」


 「!?」


 「実は犯人は鍵を閉めて片付けをしようとしてそのまま寝てしまったのですよ。幸い誰も声を掛けに来なかったので熟睡できたようですが朝6時頃に被害者を起こしに来たノリカさんの声に反応してしまったようです。ただ声が被害者の寝起きの声によく似ていたみたいでしてね……」


 「何が言いたいんだ……?」


 「すぐに分かりますよ……!!」


 新平は苛立ちながら話を聞いていたが妙造は動じない。


 「ノリカさんは被害者の声を聞いて起きているのだと確信してその場を一旦去りました。そして起こされた人は少し、食事と入浴を済ませて再び仮眠をされたんですよね…………ニャシャさん!!」


 「!!?」


 妙造が指名した犯人は『ニャシャ』だったのである!!
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