ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第15章・古座川町編

黒い状況

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 ニャシャを犯人と認定した妙造であったがニャシャは動じることもなく笑い始めたのである。


 「ハハハハハハハハ!!探偵さん、そりゃ違うなあ。僕が殺害したという証拠がないじゃないか。無理ありすぎだよ……」


 しかも被害者の妹のノリカまでもがなんとニャシャを擁護したのである。


 「探偵さん、この方は兄と長年の親友で喧嘩はあっても殺したりとかはしないはずですよ。だから……間違いでは?」


 だが妙造は二人の発言を聞いても動じないどころか逆に不適な笑みを浮かべたのである。


 「いえ……僕の言ったことは事実です。証拠は掴んでいますから……」


 「?」


 「実はこの糸なのですが実は旅館の作業用品の糸なのですよ。」


 するとニャシャは顔が青ざめたのである。そして妙造は永山に質問をしたのである。


 「この糸、確か永山さんが貸した糸ですね?」


 「ええ……確かあの方が……」


 永山の向いた視線の先にいたのはニャシャであった。くちもとが震えるニャシャに新平は怒りを露にした。


 「正直に言え!!お前の犯行だろう?」


 「違う!!子供の工作に使うために貰った糸だ!!でたらめを言うなよ!!」


 キレるニャシャに妙造は冷静に返した。


 「ならばなぜ苛つかれるのですか?さっきまで気持ちは余裕でしたでしょうに。まずいことを言われているからでしょう?」


 「違う!!自分が俺を犯人扱いするからだ!!」


 「ならてのひらを見せてください。」


 「は?何いってんだ!?」


 「いいから見せてください。」


 するとカンイチはニャシャの利き腕の右手のてのひらを見せてもらうと……


 「あ、なんか線のような“あと”がある!!」


 「でしょうね。この糸は少し細いので強く引っ張ればてのひらに小さい痕がつきますよ。」


 「…………!!」


 「まだシラを切られますかニャシャさん……?」


 しかしニャシャはまだ反論を続けたのである。


 「というより君は何も分からない理解力の無いやつだね!!そもそも返り血を浴びてないし、部屋にいた証拠でもあるのかね!?」


 「ありますね。部屋にいた証拠までは分かりませんが先程あなたが入浴する際にあなたが使っていたロッカーから何かの血らしきものがついていたと鑑識さんから連絡がありました。」


 「!?」


 「ここは自分で確認していないので分かりませんが永山さんがロッカーの鍵を貸すなどの担当もされていてそのロッカーの鍵を渡した相手は……そう……」


 「この方です。」


 永山の視線の先には再びニャシャがいたのである。ニャシャは項垂れて何も言葉を発しなかったのである。


 「どうしました?先程までの勢いは?犯人でないのでしたらまだ反論をお聞きいたしますが?」


 「ニャシャさん、本当なの?」


 ついにはノリカもニャシャを庇う姿勢をやめたのである。もはや追い詰められたニャシャはとんでもないことをしでかすのであった。


 「捕まえてみろ!!こいつを殺すぞ!!」


 「キャア!!」


 ニャシャは突然、永山を背後から腕で首をしめて懐から包丁を取り出して彼女の首に尖端を近づけたのである。


 「で、犯行は?」


 「ああ、俺の犯行だ。大胆すぎたから今回は完全犯罪にしたのに……くそお!!」


 「そんな……ニャシャさん……どうして兄を……?」


 「お前の兄が悪いんだ……!!お前の兄が…………!!」


 人質まで取り、見苦しいニャシャを妙造は睨み付けたのである。そして旅館を舞台とした大バトルに発展するのであった。


 「追加で補足してやる!!返り血のついた服を着ていないのはその服はやつ(ノリカの兄)の鞄に入れたからだっ!!」


 その頃、ラビリンシングタウンのアパートに住み始めていた高直家……機嫌の悪そうな竜太は妻に話をしていたのである。


 「近い内に『イズム』へ行くよ。」


 「イズムってあの古代より歴史の伝わるあの場所よね?」


 妻は異世界(ヒナと竜太の世界とは違う完全な異世界)の出身のはずだがなぜか『イズム』を知っていたのである。


 「ああ、あそこに用事があってね。会わなくてはならない人がいるんだよ。」


 「お義母さん?」


 「いや、母じゃない。ちょっとやな。」


 「気を付けてね。深く関わったらダメですよ。」


 「ああ、そうならないよう気を付ける。その間だけ幹夫を頼むな……」


 「分かりました。」


 妻に子供のことを託し、竜太は明日12日よりイズムに入るのであった。一方で旅館の方は大変な事態であった。
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