ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第15章・古座川町編

結婚の報

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 日は過ぎて9月27日朝、起きたヒロは手元にある新聞を読むとそこには結婚報道が2件あったという。


 『ルビィ王女、御成婚へ。御相手は“周参見野すさみのフランチェスコ”外務長官。』(一面)


 『一目惚れで即、結婚!!福岡俊一さんと日堂ファルルさん。』(8面の新婚さんコーナー)


 なんと以前色々あったルミと周参見野外務長官が結婚するとの報道がなされたのである。重大ニュースとあって一面にデカデカと取り上げられている。そしてひっそりと紹介されたもう一組は母方を継いだ俊策(飛鳥)の弟の俊一であった。母方を継いだのはいいが長らく縁はなくやっと吉報に辿り着いたようでファルルの一目惚れとされている。新聞をヒナの元に持っていくとヒナは興味津々に記事を読む。


 「わあー、ルミさん結婚かあ!!あとこのもう一組の女の人は会ったことがあるんです。私の似ているなあと思いました。」


 「君の知り合いに似ているのかこの日堂という人は。」


 「もしかしたらと思いまして……!!」


 「世の中には展開もある。もしかしたらそうかもしれないね。」


 ヒナは頷いた。確かに息長には素性不明な部分もある。だが、それはまだ確定ではなかった。


 …………そして夜になり、この日はヒナとヒロは二人とも“そうめんボール”を怪物から食らわされてそうめんの塊にされたりした(後にヒロは自力でそうめんを解いてヒナを助けた)が二人は大笑いをしていたのである。


 「俺にも攻撃してきやがった……アハハハハハ!!」


 「ホントね……ウフフフフ。」


 そして二人で緑の本を読みながら話を弾ませていたのである。


 「この作者、祖父の事が好きみたいだなあ。」


 「私は祖父(尚徳の育ての父)と一度会ったことがあります。わざわざ遠方から来てくださって……素敵な方でした。」


 「俺は祖父が好きだったなあ。もう亡くなったけど……」


 「あ、ごめんなさい……」


 「君が謝ることじゃないよ。誰にも寿命というものはあるからね。」


 話は弾み、終わりの時間を迎えたのである。ヒロが出ていってからヒナは少ししてから緑の本を置いてトイレを済ませてから眠りについたのである。寝る前に緑の本を自分の近くに置いていたのであった。


 一方のヒロだが、ついに大祐が動き出したようである。晩の集会直後に大祐はヒロを自室に呼び出したのである。


 「おい、お前……何か隠してないか?」


 「いや……何も……」


 「しかし最近、何か行動がおかしいんだが……」


 「気のせいだろ。俺は気分屋だとお前も知っているだろう……大祐よ。俺は常にいつもの俺だぜ。」


 場面は変わり、同日の夜でヒロが大祐と会話する数時間前のゴーザの孤児院にて……


 「まさゆきくん、今日新聞読んだ?」


 「読んでない……」


 「旅に出たいなら新聞読まなくちゃいけないでしょ!!だからな~んも知識を得られないのよ!!」


 「ごめんよリンちゃん……」


 いつもの将志とリンの会話である。食事で席が向かい同士となり、会話が弾んでいた。


 「今日、この前アディーマで一緒にいた人の何人かが結婚したの!!」


 「ふぅ~ん。」


 「コラ!!そんなんじゃだめでしょ!!将志くんもそろそろ結婚意識しなくちゃ!!」


 「え……まだ早すぎるよっ!!」


 いつのまにかヒナと会わない内に二人の展開が変化していたのであった。ちなみに緑の本の作者も未婚である。
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