ヒナの国造り

第１６章・ステラガーデン編

周参見野ダグラス②

　市山は周参見野から裏事情を聞く気があったのか彼から色々な情報を聞き出すことにしたのである。


　「で、あのグリーンウッドフィールドという男はどのような人物で？」


　「あの御方は実は……」


　「？」


　「あの御方はＷウイユ様の部下の一人でです。Ｗウイユ様の組織内の重要幹部なのです。それでも実力や人望は非常に強く、大きな資産を得ることが出来たようです。」


　衝撃的な事実であった。あのＷウイユとの繋がりがあったのだから……と思いきや市山は普通の表情をしながら聞いていたのである。


　「あれ？驚かないのですか？」


　「大体、予想はついていたよ。自分の気にくわない人間を消すなんてＷやつくらいしか思い付かないしな。“リヴァイアサン”や“周参見野すさみの英寛えいかん”とかはそんなことしないからなあ。」


　「英寛さんをご存知で！？」


　「友人だよ。昔から知っているさ。」


　市山はどうやら周参見野一族と親しい関係にあったようである。そしてある質問をすることにしたのであった。


　「俺は昔から周参見野家や浦一族とは関わりがあって今に至るんだ。だけど何故対立しているＷウイユの傘下に自分が居るんだ？」


　市山の指摘通り、周参見野家は因縁からＷウイユの一味とは対立しているのである。何故ダグラスがＷウイユの部下であるグリーンウッドフィールドの下にいるのかは不思議なことである。するとダグラスは事情を説明したのである。


　「その理由は８年前にあります。当時スーザックの治安平和委員会の副会長をしていた父が何者かに殺害されたのです。」



　…………回想に入る。


　８年前、ダグラスの出身である『スーザック』村で殺人事件が起きていた。ダグラスの自宅内で彼の父親と母親が殺害されていたのを母方の祖父が発見したのである。二人は血まみれで身体には鋭い剣が刺されていたのである。


　「あ……おい……二人ともどうしたんだ！？」


　ダグラスの父親の身体を揺すっても目を冷ます気配はなかった。


　「おい、しっかりしてくれないか“寿明としあき”さんっ！！“コニー”も……何があったんだ！？しっかりしろ！！」


　この時、家には父親と父方祖父母に母親と母方祖父母に息子四人が住んでいたが息子四人はスーザックの子供会の企画で旅行に出ており、父方祖父母は買い物で不在であった。母方祖父母も独立していたダグラスの兄夫妻の元に出向いていたためこの時帰ってきて事件が発覚したのだ。


　「両親が殺された子供達はどうするのだろうか……」


　「一応、両親の親が健在……とはいえ傷は深いだろうな……」


　「しかも息子と娘を殺された親もいる……辛すぎるとかのレベルじゃねえ……」


　スーザックの人々はダグラスやその家族を心配していたのであった。実際、両祖父母は子供を殺された辛さで悲しみは深く子供達も親を殺されたという辛さは心の傷と化していたのである。


　だがある日、家にいたダグラスの元にある人物が現れるのであった。その人物はダグラスの狂った人生をさらに狂わせるのであった……