ヒナの国造り

第１６章・ステラガーデン編

離陸まで②

　一方でステラガーデンの近くの居酒屋『しもつけや』である一味がワイワイ盛り上がっていたのである。


　「稀哲きてつ、ほら飲め！」


　「は……はい……！！」


　「とりあえず計画は順調に進んでいるなあ。」


　「まあ順調に進めば良いってことよ。」


　すると店に大きな剣を背負う怪しげな人物が現れたのである。


　「やあ……」


　「おお……“第六感”の異名を持つ『尾張おわり虎之助とらのすけ』様ではございませんか！！」


　この“尾張虎之助”なる人物は一体何者なのか……ただこの時点で分かるのは“しもつけや”の面々が皆笑顔で迎えていたので彼が率いる何らかの一味と思われる。



　一方、ヒナに“オーシャン・エメラルド”の武器を提供したあの『尾張おわり晴偉はるたけ』はトラックを止めて海岸で浜風に黄昏ていた。その表情は穏やかである。


　「はあ……気持ちいい浜風だ……生きるって楽しいなあ。あいつさえいなければ……！！」


　晴偉の表情が一瞬にして険しくなった。すると晴偉の元に新聞を持ってきて走る力士風の男性が現れたのである。


　「ハルちゃん！！新聞記事を見てほしい！！」


　「やあ、アキちゃん。どうしたんだい？」


　「ハルちゃんと仲の良い子が死刑に処されかけているんだよ！！」


　「何っ！？」



　一方、竜太は菊三朗達に何かを話し終えたようで菊三朗達の顔は驚いていたのであった。


　「それは本当か？」


　「ええ……詳しくはよく分からないのですがこう聞いています。」


　「また詳しく聞かせてもらう……それと僕が養子に行った“ファミリー公園前”氏について話をしたい。」


　「ワハハハハハハ！！」


　「竜太さん！！」


　“フズ・ムジカ”の話を終えて次は菊三朗の実家の話をしようとしたらやはり竜太は笑い出したのである。たしなめるキララに菊三朗は言う。


　「怒るな。まあ……“ファミリー公園前”氏は元々佐渡根さどね家の分家でね……佐渡根家はクレーターの近くの土地を持つ一族だったんだ。だから“この世界の歴史”を把握している。」


　「“この世界の歴史”？」


　「それは詳しくは分からない。だがある一族が詳しくは知っているはずだ。それは“ファミリー公園前”氏の分家の一つである“尾張”氏だ。」


　「尾張氏？」


　「ああ……『尾張おわり秋親あきちか』が現当主の一族だ。ただ……あの尾張氏には問題があってなあ……」


　「問題？」


　ある問題を抱える尾張氏。“クレーター”の近くといえばグリーンウッドフィールドと何か繋がりがあるのだろうか？