ヒナの国造り

第１７章・ステラガーデン死刑台編

光の希望と絶望①

　突然光の前に現れた湯浅宮はあいさつをしてから突然意味深な発言をしたのである。


　「こんにちは、光君。」


　「こちらこそこんにちは。」


　「君はあれだな・・・希望を見出しているかい？」


　「？」


　「あっ・・・そうか・・・君は知らなかったね。」


　「何がですか？」


　何のことか理解できない光と泰幸は湯浅宮の顔をじっと見つめることしか出来なかったのであった。


　「ジロジロ僕を見てどうしたんだい？」


　「・・・それは・・・ん～、何でもないです！！」


　「そうか・・・それなら構わないけど。」


　「では失礼しますっ！！」


　何故か慌てて光と泰幸は湯浅宮の元を去ったのであった。その姿を見て湯浅宮はニヤリッと笑っていた。


　「(光君・・・世の中には“上手く行きそうで上手く行かないこと”がある。君にはそれを近いうちに理解してもらうかもしれないよ・・・！！)」


　湯浅宮はそう呟きながら二人の姿を見つめ、見えなくなってからどこかへと向かって歩いていったのである。夕日の綺麗な日の入り時刻であった。



　その後、光は戦闘能力を以前よりも高めたようである。兄の銀汰との戦いで銀汰の攻撃を全て回避した上に彼の頬に一撃の拳を喰らわしたのであった。


　「・・・お前、やるじゃないか！！強くなったな！！」


　「いや・・・俺はまだだ。このままでは誰も守れないっ！！」


　「・・・らしいな。お前らしいよ・・・負けず嫌いだもんな！！」


　「ああ！！」


　「それに・・・」


　「？」


　光が何かを言いたそうなのを銀汰は気になっていたのである。


　「俺は・・・必ず四道将軍に匹敵する強さを手に入れたいんだ！！」


　「・・・！！」


　兄の竜を越えたい気持ちを持つ光の意気込みを聞いた銀汰だが驚いた表情をしていたのだ。


　「いつか・・・どの兄弟よりも自分が一番強くありたい！！だから俺は強くなりたいっ！！」


　「すごい意気込みだ・・・だが・・・や・・・」


　すると光は姿を消したのであった。驚く銀汰だが何やら表情が危機感を持っていたのである。


　「(もしあれ・・が本当なら・・・光・・・やめろ！！これ以上向上心を持つな・・・・・・・！！！)」


　銀汰は何かを知っているようであった。しかし光は銀汰の気持ちに気付くはずがなかった・・・