ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第17章・ステラガーデン死刑台編

宇宙会食⑦の10~悲劇の王国・オビリスタ物語とオビリー族の帯里家~

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 レオが女性の悲鳴に気付く少し前、とある村の高齢の男性が空を見上げて呟いた。


 「100年前の悲劇が再び起きるかもしれないぞ・・・!!」


 男性のその言葉に周囲の人々の顔が青ざめたのである。そして男性の顔も険しさを増していた。


 「(ワシはのじゃ。100年前のあの【悲劇】を・・・!!)」



 ~100年前・オビリスタ王国~


 かつて男性が住んでいる村は巨大な王国であり、オビリスタ王国と呼ばれていた。王国にはオビリー族という古代オビリスタ王国の家系が存在し、その末裔とされる国民達は『帯里おびり』姓を賜ったとされる。この王国は戦争とは無縁で常に平和を保ち、貧富の差もなく皆が幸せに暮らしていたのだ。当時10歳だった男性改め【帯里おびり智彦ともひこ】も父と二人暮らしをしていたが何不自由なく幸せに過ごしていた。


 「お父さんの作る料理は美味しいね!」


 「ありがとう。智彦にそう言ってもらえたらもっと美味しい料理を作れるよう頑張りたくなるよ!」


 「楽しみにしてるよ!」


 「父さんはこの国に生まれて幸せだったよ。こうして平和に過ごしてこれたし、お前に愛情を注ぐ時間もある。私はオビリスタに生まれて本当に良かった。」


 「僕もオビリスタが大好きだよ!!だけど自分は幸せだけど貧困に苦しむ人もいる。だから僕はいつかは苦しい生活をしている人達を助けたいんだ!!」


 「お前はいい子だ。こんな優しい子の父親になれて嬉しく思うよ。」


 智彦は当時、オビリスタに生きる幸せを噛み締めながらも誰かのために力になりたいという優しい少年であった。だがこの幸せも長くは続かなかったのである。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆


 この数ヵ月後、国王の次に位の高い国政指導者(日本でいう総理大臣)の選挙が行われたのである。正確には全議員が対象となるオビリスタ王国の選挙であったがこの時に国政指導者に就任したのが長年国政議員として活躍していた【帯里おびり味賞みしょう】であった。しかしこの味賞の当選には批判的な声が見られたのである。


 「あの人が国政指導者・・・」


 「嫌な予感がする・・・」


 実はこの人物は戦地に兵器を贈呈するなどの奇行が目立ち、王国の機関紙で『国政指導者にしたくない人物ランキング』で見事1位に輝いた人物であった。すると就任早々とんでもない発言をしたのである。


 「このオビリスタは長年に渡って平和ボケが進行している。しかし私が指導するからにはどの国にも負けない力強さを付けてオビリスタを安全な国にしていこうではありませんか!!」


 この時テレビで会見を見ていた智彦はこの味賞の発言に期待感を抱いていたが父は顔をしかめていた。そしてこのあととんでもない展開になるのをオビリスタ国民は誰も知る由はなかったのだ。
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