ヒナの国造り

第１７章・ステラガーデン死刑台編

宇宙会食⑦の２２・歴史的作家の妻

　その頃、レオ達の前にある女性が現れた。その女性は高齢である。レオは何者か尋ねた。


　「あなたは？」


　「私は【日紙ひかみ御酒子みきこ】。ある作家の妻です。」


　「ある作家？」


　「はい、私はあの伝説の作家【日紙ひかみ選すぐる】の妻です。」


　「ひ、ひかみすぐる！？あの『ヴィンスターチの世界』の原作者！！」


　レオはよく分かっていないのか冷静だったが豪四郎達は驚いていた。ここからは豪四郎が御酒子に色々と質問する。


　「あ・・・あの日紙選の妻ですね！」


　「ええ、そうです。私は日紙ノッティの末裔の選の妻でありある国政議員の義母でもあります。」


　「あ！議員って今は弁護士の日紙ひかみ雄三ゆうぞうさんですね！」


　「そうですよ。彼はブルフォレにて【宿毛すくも雄三ゆうぞう】として生まれて４歳の頃から【田辺たなべ雄三ゆうぞう】を名乗りました。そして官僚として活動していた頃に男子のいない私達の日紙家に婿として来てもらったのです。」


　「雄三さんってそんな経歴が・・・！」


　「そこから国家議員として１２回の当選を果たして最近引退しました。今は弁護士です。雄三さんには孫もいるのですよ。」


　「最近名前を聞かないと思ったらもう引退していたのか。」


　「？」


　身の上話を楽しそうにする御酒子にその話を聞いていて無反応のレオと目を輝かせる豪四郎の違いが見えた。ちなみに御酒子自身も考古学者・手研たぎし和也かずやの娘である。また『ヴィンスターチの世界』が後にレオ達に強く関係する出来事の伏線だとは誰も知らないのである。


　「私は選さんの『走るダイタロス』や『酪陽』などの作品に魅せられた一人です。」


　「俺も！選さんの本全部持ってます！」


　豪四郎はなんと選の本を全て持っていた。そして目を鋭くして御酒子にある質問をしたのだ。


　「俺達の前に現れたのはあれでしょ？ヴィンスターチ絡みのことが起きるからでしょ？」


　「鋭いですね、さすがです。ええ、私は夫から【すごい話】を聞きましてね。」


　「ほぉ！」


　「ですがさらに詳しい情報を知る夫は既に他界していまして・・・」


　「いや、あなたからでも聞きたいですね。」


　「？」


　目の色を輝かせる豪四郎と良く分からないのかクエスチョンマークを頭によぎらせるレオ。そして選の作品である『ヴィンスターチの世界』とは・・・？